子宮がんは初期治療に何を選択するか、も重要ですが、最初の治療が終われば完了、ということにはなりません。初回治療が終わった後で「再発リスク」がどれくらいあるのかが組織診断などによって評価されます。
通常、多くの病院では、初回の治療終了後に患者さんの持っているリスクに応じて、毎月あるいは数か月ごとに通院による定期検診をするように薦めます。
早期のがんの場合
早期がんで再発のリスクが少ないと評価された場合は、1年目は2~3か月ごと、2年目は3~4か月ごと、3年目から5年目までは4~6か月ごとの検診をするのが一般的です。
早期がんで低リスクの場合は遠隔臓器への転移再発は少なく、転移があるとしても骨盤内の子宮摘出部位付近です。そこで、婦人科的診察に加えて、子宮摘出後の膣断端細胞診断、コルポスコープ検査、経膣超音波検査および腫瘍マーカーを含む血液検査が行われます。
1年目、2年目の節目には、上腹部の超音波検査と胸部X線検査を行いますが、CT検査などは必ずしも必須な検査としては行いません。
進行したがんの場合
早期がんと思っても、手術後にリンパ節転移が判明した場合や初診時に進行しているがんの場合には、治療後再発のリスクは高いといえます。
しかも、リスクの要因が多いほど再発までの期間が短くなります。そこで、1年目は1か月ごと、2年目は2か月ごとに検診するのが一般的です。
リスク要因の多いがんは、骨盤内再発も遠隔転移もともに多くなります。そこで、毎月の検診時に、婦人科的診察に加えて、膣断端細胞診断、コルポスコープ検査、経膣超音波検査、腫瘍マーカーを含む血液検査が行われます。そして、半年ごとに画像診断(上腹部の超音波検査や上腹部と肺のCT検査など)が行われます。
手術後であれば、手術後1年6か月、不完全手術後であれば、手術後1年後くらいの再発が多いというデータがあります。この期間を無事に通過して、手術後2年で無事が確認できれば、再発のリスクは軽減していると判断できるので以後は3か月ごとに検診の間隔を延ばします。
再発が疑われる症状「早期がんで低リスクの場合」
婦人科的診察などで、膣粘膜側への再発や膣断端近くのがん腫瘍の出現、子宮組織や膣組織内での腫瘍の出現に注意することになります。腫瘍マーカー値が2回続けて増加する場合には再発を強く疑い、CT検査などを早期に実施します。
再発が疑われる症状「進行がんで高リスクの場合」
骨盤内にも遠隔臓器にも再発するので、検診のたびごとに検査結果を連続的な変化がないかという視点で評価します。
自覚症状は、再発の早期診断においてとても大切です。初回治療時にも不正出血などの明確な自覚症状はありますが、子宮外に病巣が激しく広がらない限り、痛みなどの自覚症状は少ないのが通常です。
がんが通常には存在しない場所に転移発育すると、痛みや違和感を生じることがあります。骨盤や背骨の転移では、安静にしていると感じない痛みが運動によって強まります。再発病巣が尿管を圧迫すると、水腎症になり腰背痛を起こします。血管をを圧迫すれば足の浮腫(むくみ)が生じます。
膣に転移性腫瘍ができると、異常な膣分泌物や出血が起こり、直腸や膀胱に浸潤すると排便、排尿異常が起きます。腹膜播種が起きれば、腸の通過障害になりやすく、おなかが張ったり、食欲が低下したりしやすくなります。頭痛、吐き気が続く場合は脳転移の初期症状かもしれません。
肺、肝臓、脾臓などの臓器転移は、小さいうちは無症状なので、腹部エコー検査、CT検査などの画像診断が頼りになります。
再発時には、早い段階からさまざまな症状が出る可能性があるので、患者さんは、どんな些細な症状であっても、すぐに主治医に報告するほうがよいといえます。
以上、子宮がんの定期検査についての解説でした。