がんはある程度進行すると、手術だけでは治療後に再発や転移をするケースが少なくありません。そこで食道がんでは手術に抗がん剤や放射線による治療を組み合わせることが多くなっています。(補助療法といいます)
手術前に化学療法(薬を使った治療全般)で病巣を小さくして取り残しを防いだり、手術で取り残した可能性があるがん細胞を、術後に抗がん剤などで叩いたりします。
食道がんで補助療法を受けられる人(ステージⅡかⅢの人)
ある程度進んでいるが、手術が適応できる、ステージⅡとⅢの胸部食道がんが対象です。
最近は複数の治療を組み合わせる「集学的治療」が主流となっています。複数の治療法を組み合わせて、治療効果をより向上させようとするのが「集学的治療」です。専門病院では外科医をはじめ、内科医、腫瘍内科医、放射線技師などがチームを組んで治療にあたります。
食道がんの術前補助療法
<化学療法>
シスプラチンとフルオロウラシルを使う(2コースおこなう)
抗がん剤のシスプラチンとフルオロウラシル(5-FU)を使って治療し、その後休むことを2 回繰り返します。ステージⅡとⅢの胸部食道がんでは術前補助療法が推奨されています。
食道がんの術後補助療法
<化学療法>
シスプラチンとフルオロウラシルを使う(2コースおこなう)
術前補助療法同様の手法を、手術後に加えることで転移や再発を予防することを目的としています。とくにリンパ節転移をしている場合に、再発予防効果があるとされています。
<放射線治療>
約25回照射します。全部で50Gy(放射線量)
かつて、術前に放射線療法をおこなっていた時期がありましたが現在は術後のほうが、再発率が低いことがわかってきています。手術でがんが取りきれなかった場合にももちいられます。
以上、食道がんに関する解説でした。