扁平上皮がんと腺がん
食道がんとは、食道に生じる悪性腫瘍の総称です。正常の食道の上皮は、扁平上皮と呼ばれるもので、日本人の食道がんは、90%以上がこの粘膜上皮から発生する「扁平上皮がん」と呼ばれるもので、胸部中部食道に多く発生します。
次に多いのは、胃がんと同じ腺上皮から発生する「腺がん」と呼ばれるもので、これは胃の近くの食道に生じます。欧米では、扁平上皮がんは少なく、半数以上が腺がんです。日本人の生活様式が欧米化するのに伴い、今後、腺がんの割合が増加するかもしれないと考えられています。
特殊な細胞から発生する腫瘍
そのほか、頻度は低いですが、特殊な細胞から発生するがんもあります。がん肉腫、内分泌細胞がんなどの上皮性悪性腫瘍のほか、粘膜上皮以外の細胞から発生する非上皮性腫瘍と呼ばれるがんと紛らわしい病気もあります。
また、筋層から発生する平滑筋性腫瘍や、粘膜下に発生する消化管間質腫瘍(GIST)などのがんとは異なる腫瘍が知られています。
そのほか、悪性黒色腫(皮膚がんのひとつ)、絨毛がんなどのまれながんの存在も知られていて、それぞれ異なった特徴を持つため、組織型に応じて治療方針が変わることがあります。
いっぽう、基本的に治療の必要のない、良性腫瘍やポリープなども見られます。大きくて食道の内腔をふさいでしまったり、出血が起きたりといった問題がある場合は切除を行いますが、これらは経過観察となることが多いです。
以上、食道がんに関する解説でした。