喉頭がんの原因の多くは喫煙です。
喫煙歴のない人も少数いますが、この場合は胃液などの逆流による慢性刺激も誘因として考えられています。
食生活の欧米化に伴って胃食道逆流症が増えていますので、今後、日本では喉頭がんの増加が予想されています。
喉頭がんのタイプと症状
喉頭がんは声門上部がん、声門部がん、声門下部がんに分かれます。
声門上部がんは喫煙と飲酒、声門部がんは喫煙、声門下部がんは飲酒が関係しているといわれています。声門上部がん、もしくは声門下部がんの場合には、必ずしも声がれは現れません。時に、無症状のままがん病巣が増大し、気道狭窄、嚥下困難などの症状で発見されることもあります。
なお、最も発生頻度の多いのが声門部がんです。
声門部がんへの放射線治療について
声門部がんは声がれの症状が出るために、早期に発見されることが多いようです。
今までは早期がんには放射線治療、進行がんには手術による喉頭全摘術がおこなわれてきました。最近では患者の生活の質を考えて、化学放射線療法がおこなわれるようになってきました。
声が出なくなると、他の人とのコミュケーションが取りにくくなり、生活していく上で非常に困ることになります。
早期喉頭がんの照射は、4メガボルトのエックス線が用いられます。照射野の大きさは声門を中心として5センチメートル×5センチメートル、あるいは6センチメートル×6センチメートルです。
喉頭の皮膚表面から1.0センチメートル程度離し、上側は上甲状切痕の上方、下側は輪状軟骨下縁、後側は椎体前縁の位置とし、左右対向2門照射をおこないます。原則として、線量分布を改善するためにウエッジフィルタを使用します。
1回線量2グレイ、30日間で総線量60グレイを照射します。頸部を固定するためにシェルという固体具が用いられます。
5年制御率は早期がんで69~94パーセントです。進行がんでは42~67パーセント程度です。
後遺症や合併症には声がれの悪化、咽頭痛、咳、皮膚発赤があります。
照射中はこれらの症状を緩和するために、過度の声出しを避けます。また、飲酒は喉頭浮腫の原因となります。飲酒は控える必要があります。治療後に喫煙することは予後が不良となりますので、禁煙も徹底したほうがよいです。
以上、喉頭がんの放射線治療についての解説でした。
がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。
納得できる判断をするためには正しい知識が必要です。