【レジメン】
Afatinib(アファチニブ:ジオトリフ)=1回40mg:1日1回 経口 連日投与 PD(増悪)まで。
※患者の状態により適宜増減するが、1日1回50mgまで増量できる
基本事項
【適応】
EGFR遺伝子変異陽性の手術不能または再発非小細胞肺がん
【奏効率】(LUX-Lung3試験/国際共同第Ⅲ相試験)
・奏効率(CR+PR)
56.1%
・病勢コントロール率(CR+PR+SD)
90.0%
・無増悪生存期間(中央値)
11.1カ月
【副作用】(LUX-Lung3試験/国際共同第Ⅲ相試験)
・下痢:All Grade=95.2%、Grade3以上=14.4%
・発疹/ざ瘡:All Grade=89.1%、Grade3以上=16.2%
・口内炎:All Grade=72.1%、Grade3以上=8.7%
・爪の異常:All Grade=56.8%、Grade3以上=11.4%
・皮膚乾燥:All Grade=29.3%、Grade3以上=0.4%
・食欲減退:All Grade=20.5%、Grade3以上=3.1%
・嘔吐:All Grade=17.0%、Grade3以上=3.1%
・眼障害:All Grade=22.7%、Grade3以上=0.4%
・味覚障害:All Grade=6.6%、Grade3以上=0%
・ALT上昇:All Grade=7.4%、Grade3以上=0.4%
・AST上昇:All Grade=5.2%、Grade3以上=0.4%
レジメンチェックポイント
①服用タイミングの確認
1日1回空腹時の内服であることを確認すること(食事の1時間前から食後3時間までの間の服用は避ける)
②減量・休薬基準の確認
・Grade1または2:同一投与量を継続
・Grade2(症状が持続的または忍容できない場合)もしくはGrade3以上:症状がGrade1以下に回復するまで休薬する。回復後は休薬前の投与量から10mg減量して再開する
③併用薬の確認
P-糖蛋白(P-gp)の基質であるため、P-gp阻害薬(イトラコナゾール、ベラパミル等)やP-gp誘導薬(リファンピシン、カルバマゼピン等)の併用により血中濃度の変動の可能性があるため注意する
副作用対策と服薬指導のポイント
①下痢:早期から重篤な下痢が発現する可能性があるため(初回発現までの期間中央値:5日以内)、下痢の発現にはロぺラミドなどの止瀉薬をただちに使用する。水様性の下痢が続く場合は、脱水症状を予防するため水分摂取を心がけるようにする。またGrade2の下痢で48時間を超えるものや忍容できないもの、またGrade3以上の下痢が認められた場合は、Grade1以下に回復するまで休薬する
②皮膚障害:発疹、ざ瘡様皮疹が強くあらわれることが多いため、あらかじめ症状などを説明しておく必要がある。対応については以下のアルゴリズムを参照
<ざ瘡様皮疹の治療指針>
・軽症
副腎皮質ステロイド外用薬を用いる。部位により、medium~very strongの軟膏、クリーム、ローション基剤を選択する。頭部はローション剤、顔面・体幹は軟膏、クリーム剤が使いやすいが、ローション剤やクリーム剤は時に刺激を感じることがあり、基剤選択にも留意する。なお、ミノサイクリンの予防内服も有用である。原疾患の治療は継続可能である
・中等症
軽症よりランクアップした副腎皮質ステロイド外用薬を用いる。なお、掻痒を伴う場合は、抗アレルギー薬を併用するが、接触性皮膚炎や白癬を併発していることがあり、悪化するときには皮膚科専門医の介入が必要である。なお、原疾患の治療は継続可能である。ミノサイクリン100~20Omg/日内服が目安となる
・重症
原疾患の治療薬を休薬のうえ、皮膚科専門医へ紹介する。基本的には、2週間を目安に副腎皮質ステロイドを内服で投与する
③間質性肺疾患:急性肺障害、間質性肺疾患があらわれることがあるので、患者には初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱など)を伝え、早期の医療機関への受診について指導する
④食後(高脂肪食)に服用した場合、CmaxやAUCが低下するとの報告があるため、1日1回空腹時に内服するように指導する(食事の1時間前から食後3時間までの間の服用は避ける)。患者の食事スタイルについてはじめに聴取して、内服タイミングを相談する