腎臓がんの広がりが精密検査で明らかにされると、その状態を「TNM分類」という分類法で表すことになります。Tは「腫瘍の大きさと周囲への直接の広がりの程度」、Nは「所属リンパ節への転移の程度」、Mは「遠隔転移の有無」です。
TNM分類は治療法を決め、予後(初期治療の結果)を推測するうえで基本となる重要なものです。TNM分類が明らかになれば、T分類を基盤とするステージ(病期)も判定することができます。
T分類
T1a:最大径4センチ以下で腎に限局する腫瘍。
T1b:最大径が4センチをこえるが、7センチ以下で腎に限局する腫瘍。
T2a:最大径が7センチをこえるが、10センチ以下で腎に限局する腫瘍。
T2b:最大径が10センチをこえるが、腎に限局する腫瘍。
T3a:肉眼的に腎静脈、その分枝に進展、または腎周囲脂肪組織および/または腎洞脂肪組織に浸潤するが、ゲロータ筋膜(腎臓を包んでいる筋膜)をこえない。
T3b:肉眼的に横隔膜下までの下大静脈内に進展する。
T3c:肉眼的に横隔膜をこえる下大静脈内に進展、または下大静脈壁に浸潤。
T4:ゲロータ筋膜を超えて浸潤、または副腎へ連続的に進展。
このT分類にN・M分類を加えたステージは次のようになります。
ステージ(病期)分類
ステージⅠ:T分類がT1で所属リンパ節転移も遠隔転移もない。
ステージⅡ:T分類がT2で、所属リンパ節転移も遠隔転移もない。
ステージⅢ:T分類がT1またはT2で、所属リンパ節転移は1個あるが遠隔転移はない。あるいは、T3で所属リンパ節転移は1個以下で遠隔転移はない。
ステージⅣ:T分類がT4で、所属リンパ節転移に関係なく、遠隔転移なし。または、Tに関係なく、所属リンパ節転移が2個以上にあり、遠隔転移なし。または、Tや所属リンパ節転移に関係なく、遠隔転移がある。
ステ‐ジⅣになると遠隔転移のケースもありますが、腎臓がんの場合は肺、骨、そして肝臓に転移しやすいことがわかっています。
このように患者の腎臓がんの状況を把握した上で、インフォームドコンセント(十分な説明と同意)が行われ、治療が決まっていく・・・という流れが一般的です。
以上、腎臓がんについての解説でした。