乳がんは女性ホルモンと切っても切れない関係があり、乳がんでの薬物治療の特徴といえます。
乳がん発生に強く影響しているものされているものの中に、以下の要素が挙げられます。「初潮が早かった人」「初産年齢が高かった人」「子供を産んでいない人」「閉経が55歳以上と遅い人」「未婚である」。
これらの対象となる人は女性ホルモンの分泌期間が長いのです。女性ホルモンの影響を長く受けているので、乳がんの発生に少なからず影響があります。そのため女性ホルモンの影響を抑える治療、つまりホルモン療法が有効となります。
乳がんのタイプを調べると約70%がエストロゲン、プロゲステロンの両方、もしくはどちらかの刺激で増加する"ホルモン感受性"があります。この感受性がないとホルモン療法の対象にはなりませんが、多くは対象となります。
ホルモン療法に使われているホルモン剤としては「抗エストロゲン薬」「LH-RH製剤」「アロマターゼ阻害薬」などがあります。
抗エストロゲン薬はがん細胞のエストロゲン受容体と先に結合して増殖を抑えます。LH-RH製剤は脳下垂体から卵巣を刺激してエストロゲンを分泌させるホルモンのゴナドトロピンの分泌を防ぐ薬です。アロマターゼ阻害薬は脂肪細胞からエストロゲン作用物質がつくられるのを防ぎます。
ホルモン剤は長期に使用できるものの、子宮体がん発生のリスクや副作用もあるので、主治医からメリット、デメリットの説明を十分に受けましょう。
以上、乳がんのホルモン療法についての解説でした。