ホジキンリンパ腫は悪性リンパ腫の1つの型で、リンパ球が"がん"化して、リンパ組織を中心に無制限に増殖していく病気です。悪性リンパ腫は、大きくホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫とに分けられますが、日本では非ホジキンリンパ腫が圧倒的に多く、ホジキンリンパ腫は5~10%です。
ホジキンリンパ腫は、腫瘍組織の形の違いからいくつかのタイプに分類されます。しかし、治療法の選択はタイプの違いには影響されず、病変の拡がりの程度によって決められます。
はっきりとした原因はわかっていませんが、親から子供へと遺伝する病気ではありません。
ホジキンリンパ腫の症状
リンパ節の腫れが主な症状ですが、特に、痛みのない頸部(首)のリンパ節の腫れが最も多く現れます。なかには、酒類を飲んだときに腫れているリンパ節が痛むことがあります。また、体重の減少、寝汗、原因不明の発熱、だるさといった症状が起こることがあります。その他、縦隔(胸の左右の肺の間の部分)に大きな腫瘤ができた場合などでは、咳が出ることもあります。
ホジキンリンパ腫の検査
ホジキンリンパ腫の診断には生検による病理検査(顕微鏡で細胞を確認する検査)が重要で、この結果により最終的にホジキンリンパ腫との確定診断が得られます。
ホジキンリンパ腫では、病気の拡がりの程度が治療方針の決定に直接影響するため、引き続きCT、PETといった画像診断を中心に病気の拡がりについて評価します。
骨髄へ浸潤する頻度は低いのですが、病変が広範囲に拡がっている場合や、発熱などの症状が認められるときには、骨髄検査も行います。血液検査では、貧血やLDH(乳酸脱水素酵素)値の上昇が見られることがありますが、血液検査のみでホジキンリンパ腫の診断をつけることはできません。
ホジキンリンパ腫の分類
・形態による分類
ホジキンリンパ腫は、リンパ腫組織の形態によっていくつかのタイプに分類されます。進行した状態で見つかることが多いタイプと、早期に診断されることの多いタイプとがあります。
・病期(ステージ)分類
ホジキンリンパ腫の病気の拡がりは、大きく4段階に分けることができます(病期分類といいます)。病期分類は、治療方針の決定にとても重要です。
Ⅰ期あるいはⅡ期で、大きな腫瘤がなく発熱、寝汗、体重減少などの症状を伴わないものを「早期」と考えます。Ⅰ期、Ⅱ期でも大きな腫瘤や発熱、寝汗、体重減少などを認めるもの、およびⅢ期、Ⅳ期の場合は「進行期」と判断します。
ホジキンリンパ腫の治療
ホジキンリンパ腫に対する治療としては、放射線療法か複数の抗がん薬による化学療法、あるいはその併用療法が選択されます。どの治療法を選択するかは、早期か進行期かによって異なります。
治療の最初の目標は、検査で異常を認めない状態(完全寛解と呼びます)を得ることです。
以上、ホジキンリンパ腫についての解説でした。