非ホジキンリンパ腫の治療成績は、タイプの違いなどさまざまな要因に影響されます。
・「活動性の強いタイプ」の治療成績
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を中心とする「活動性の強いタイプ」の非ホジキンリンパ腫では、年齢や病変部の拡がり具合など、治療開始前の状態を点数化すること(IPIスコアといいます)で、治療効果をある程度予測することが可能です。
IPIスコアの結果による生存率については、1993年に海外から発表された報告があります。その結果によれば、5年生存率は低危険度で70%台、低~中間危険度で約50%、中間~高危険度40%台、高危険度で20%台となっています。
このことから、IPIスコアが高い場合は、化学療法のみでは予後がよくないと判断され、造血幹細胞移植を選択する1つの根拠になると考えられます。
現在は、リツキサンの登場や造血幹細胞移植の進歩など、治療をめぐる環境が著しく変化していますので、治療成績自体が大きく変わる可能性があります。また、このタイプはIPIスコアの結果が悪い場合でも、治癒する可能性があります。
・「ゆっくり進行するタイプ」の治療成績
濾胞性リンパ腫などの「ゆっくり進行するタイプ」は、経過中に腫瘍の縮小と再発再燃を繰り返すことが多く、たとえ完全寛解が得られても、完治することが難しいタイプです。
5年生存率は70~80%ですが、20年間生存する患者さんは20%くらいといわれています。
濾胞性リンパ腫についても、治療開始前の状態を点数化(FLIPIといいます)することで、ある程度の予後を予測することが可能です。しかし、この場合もリツキサンやフルダラ、ゼヴァリンなどの治療薬の登場や造血幹細胞移植の応用によって、今後の治療成績は大きく変わってくる可能性があります。
「ゆっくり進行するタイプ」の中でも、マントル細胞リンパ腫については治療が難しいといわれ、5年生存率は30%程度と報告されてきました。しかし、このタイプに対しても、リツキサンやゼヴァリンなどの新薬の効果が期待されています。
・T細胞性リンパ腫の治療成績
T細胞性リンパ腫の5年生存率は30%程度であり、一般的にB細胞性リンパ腫と比べてよいとはいえません。今後は、造血幹細胞移植などによる治療成績の向上が期待されます。