乳がんは治療の手立てが多く、薬物療法や手術、放射線療法などを組み合わせて治療を進めます。説明をしっかり聞き治療全体の流れを把握して、自分に合った治療法を選ぶことが大切です。
ステージ(病期)やサブタイブの決定
検査の結果、「ステージ(病期)」が決定されます。
ステージは、がんの広がりや進行を示すもので、主にしこりの大きさ、リンパ節転移の有無、遠隔転移の有無の3つの要素によって決まります。もっとわかりやすく「早期がん」「局所進行がん」「転移性乳がん」と区別することもあります。
・早期がん…初期の腫瘍(2cm以下)で、がんの広がりは軽度。リンパ節転移なし。
・局所進行がん…遠隔転移はおこしていないが、早期を超えた腫瘍。
・転移性乳がん…全身にがんの広がりを認める腫瘍。
組織診で採取した標本をさらに詳しく調べることで、がんのサブタイプ(生物学的特性)も決まります。
※ルミナルAとルミナルB(HER2陰性)は、Ki67という細胞増殖マーカーや、がんの組織学的グレード(悪性度)などにより区別します。(病理の詳しい見方はこちら)
※「ベーサルライク」の診断をつける手法が一般的でないため、実際には「トリプルネガティブ」という臨床的な診断名で呼ばれることが多い。両者はイコールではなく、80%程度が一致するとされています。
サブタイプによって、薬物療法の効果や予後(今後の病状についての見通し)を予測することができます。できるだけきちんと確認しておきましょう。
治療方針の提案
検査・診断を通して得られた数々の情報をもとに、医師から治療方針が提案されます。現在の乳がん治療は「手術して終わり」とされるのはごく早期の乳がんだけです。手術が終わったあとも薬物療法、放射線療法を組み合わせた方針が示されることが多いため、全体の流れを頭に入れておくことが大切です。
治療の選択
乳がんの場合、一刻を争う病状であることは多くなく、転移のない状態であれば治療を急ぐことはありません。
情報を整理し、焦らずに考え、治療法を決めることが大切です。主治医が全てをイチから説明してくれるケースは多くないので自ら情報収集し、乳がんについて勉強する姿勢も必要になります。
ほとんどの場合、ポイントになるのは、「治療は手術から始めるのか、薬物療法から始めるのか」「手術は乳房温存手術か、乳房切除術か」「術後に予定されている治療内容」などです。
この時点で治療に関する希望があれば伝えておきましょう。「定期的な通院はこの曜日がいい」「髪が抜ける抗がん剤の治療は避けたい」など、遠慮せずに主治医や看護師に伝えることです。必ずしも希望通りになるとは限りませんが、乳がんは治療の手立てが多く、選択の余地が大きいので、場合によってはセカンド・オピニオンも考慮して納得のいくかたちで治療法を選びましょう。
以上、乳がんのサブタイプ、ステージについての解説でした。