治療の中心は強力な化学療法で、「全部のがん細胞を殺すこと」を目的に行われます。急性の場合は進行が速いので、診断がついた時点で早めに化学療法を開始します。これを「寛解導入療法」といい、イダルビシンとシタラビンの2剤併用療法がよく用いられます。
治療期間は通常1週間で、その間に大量の抗がん剤を使って白血病細胞を徹底的に叩きます。顕微鏡で血液を調べてもがん細胞が見えない状態を「完全寛解」といいますが、この治療で約8割が完全寛解に入ります。
完全寛解に入ったあとは、強力な抗がん剤を使った「寛解後療法(地固め療法)」を行って、治癒を目指します。これによって30~40%は治癒します。
再発または難治性の急性骨髄性白血病に対しては、細胞表面にあるCD33という分子を標的にした抗体製剤のゲムツズマブオゾガマイシン(マイロターグ)が、05年に日本で承認されています。
これはCD33に対する抗体に抗がん剤のカリケアマイシンを結合させた薬です。有効性を示す改善が見られないとの理由で、10年に米国で発売中止になりましたが、最近になってまた欧米で臨床試験が行われています。
再発の判定に関しては、急性骨髄性白血病の再発を早期に診断できる遺伝子検査が保険適用になっています。末梢血の白血球から抽出した特殊な遺伝子を高感度に検出することで、例えば白血病細胞が100万個に1個以下などといった微小残存病変(MRD)を調べることができます。
この検査を3カ月ごとに行うと、再発をいち早く予測することができます。この検査は、現在行っている治療が効いているかどうかの効果判定にも役立ちます。白血病の場合、50歳以下の人などでは、造血幹細胞移植も選択肢の1つです。