乳がんではさまざまなタイミングで薬物療法が行われます。大きく分けると「手術前に行う」「手術後に行う」「手術が適応外となる場合に行う」という3つのケースがあるといえます。
術前薬物療法の目的
手術前に薬物療法をする目的は大きく2つあります。1つ目は「がんを小さくする」、2つ目は「薬の効果を確認する」です。
①がんを小さくする
しこりが3cm以上あっても、薬で3cm以下にまで小さくできれば、乳房温存手術の対象になることがあります。手術前の薬物療法によりおよそ8割くらいの患者さんで、がんの縮小効果が認められています。
②薬の効果を確認する
術前薬物療法の最大の利点は、しこりが分かる状態で薬を使えるということです。手術と組み合わせる薬物療法には、術後薬物療法もありますが、この場合、その薬が本当に効いているかどうかは、その時点では確かめられません。
その点、術前薬物療法では、縮小効果や消失効果が見える形で確認できます。
術後薬物療法
術後薬物療法は、手術後の再発を予防することを目的にします。これまでの研究で、手術後にまったく薬物療法をしなかった人と比べて、一定期間内における再発のリスクが30~70%ほど減少することが分かっています。
進行、転移、再発がんの薬物療法
乳がんの遠隔転移がんや再発がんでは、進行を抑えることやQOL(生活の質)の改善のために、薬物療法が提案されます。