精巣がんには、環境的な発症原因というものが見あたりません。
非セミノーマのうちの「胎児性精巣がん」や「奇形精巣がん」は、先天的な遺伝子異常が原因となって発生する悪性度の高いがんです。統計では、停留睾丸(皐丸が腹腔の中にとどまっており、陰嚢に下りてこない)の男性が精巣がん患者の10パーセントを占め、一般男性に比べて発病リスクが3~14倍も高いとされています。
また、一方の睾丸にがんが生じた場合、他方もがん化する確率は、最初にがんが発生する確率の20倍以上と見られています。おたふくかぜも精巣がんを多発させるというデータがありますが、なぜおたふくかぜが精巣がんを引き起こすのかはわかっていません。
他にも、鼠径ヘルニアの病歴をもつ(アメリカの報告)、不妊症である(発症率は正常者の2倍)などの条件をもつ人が、統計的に精巣がんになりやすいとされています。また精巣がんが発生しやすい家系もあり、精巣がん全体の約20パーセントが遺伝性とされています。
2000年にイギリスの研究者たちが、精巣がんに関係する遺伝子「TGCT1遺伝子」を発見しています。それによると、母親から受け継いだ性染色体(X染色体)に乗っているこの小さな遺伝子が変異している場合、そうでない男性の50倍の確率で精巣がんを発症するといいます。
以上、精巣がんについての解説でした。