がん専門のアドバイザー、本村です。
当記事では肺がんのリンパ節転移の症状と余命について解説します。
肺がんにかぎらず、がんは最初にがんができた部位(原発巣)から別の部位(他臓器)に移って、そこでがんが増殖することがあります。これを転移といいます。
人間のからだには、免疫をつかさどるリンパがめぐっており、ところどころに関所のような形で、粒状のリンパ節があります。リンパ節は、特に臓器の周囲にたくさん存在しています。
がん細胞がリンパ液に乗って流れ、リンパ節で増殖してしまうことをリンパ節転移といいます。最初にできたがんの近くにあるリンパ節に転移することが、多くみられます。
肺がんでよくみられるリンパ節転移の場所
肺がんの場合、縦隔や肺門、首や鎖骨上のリンパ節に転移することが多くあります。手術の際、急きょリンパ節を切除することがよくありますが、これは手術によってリンパ節への転移が確認されたり、リンパ節への転移を早期に確認・予防するためです。
がんは病変部位の近くのリンパ節には転移しやすいため、手術時にリンパ節を切除して、転移を確認することがしばしばあります。
肺がんリンパ節転移でみられる症状
肺がんが縦隔や肺門のリンパ節に転移すると、咳や上半身のむくみ、声のかれ、呼吸困難、などがあらわれます。また、首や鎖骨上のリンパ節に転移すると、顔や腕のむくみやしびれや痛みが生じます。
リンパ節転移がある場合のステージと余命(5年生存率)
一般にがんでは、リンパ節転移の有無や部位が臨床病期に影響し、治療の内容選択に大きく関係します。肺がんも同様で、リンパ節転移があるほど、また数が多いほど、そして最初の肺がんがある部位から離れた部位に存在するほど、がんの臨床病期(ステージ)は進みます。
なお、非小細胞肺がんでリンパ節転移がある場合は、ステージはⅡA以上になります。小細胞肺がんの場合はステージ分類がないですが、肺に近いリンパ節転移がある場合は限局型、広い範囲におよぶ場合は進展型になるといえます。
なお、非小細胞がんで手術をした場合の5年生存率は、ステージⅡ期(ⅡA+ⅡB期)が50%、ステージⅢA期が25%です。リンパ節転移の範囲が広く、手術ができなかった場合はステージⅢ~Ⅳになります。この場合はステージⅢでの5年生存率は15~20%、ステージⅣの場合は1年生存率が50~60%です。
詳しい記事はこちらにありますので参考にしてください。
以上、肺がんのリンパ節転移についての解説でした。