肺がんの予後(治療後の経過)は、がんの種類や発見時の臨床病期(ステージ)、全身状態などによって多様で個人差があります。つまり、画一的に説明することは、とてもむずかしいといえます。
そのなかでひとつの目安として用いられているのが「5年生存率」です。
5年生存率とは、治療開始から5年後の生存率をいいます。進行がんの場合では、より短いスパンの生存率(3年生存率など)を指標とすることもあります。
肺がんの種類による予後の違い
肺がんの予後は、がんの種類によって異なります。予後のよいほうから順に扁平上皮がん、腺がん、大細胞がん、小細胞がんというデータがあります。また、非小細胞がんのほうが、小細胞がんより予後がよいとされています。
非小細胞肺がんの5年生存率(2010年時点のデータ)
非小細胞がんで手術をした場合の5年生存率は、ステージI期(1A+IB期)が70%、ステージⅡ期(ⅡA+ⅡB期)が50%、ステージⅢA期が25%です。
非小細胞がんで手術の適応がない場合、ステージⅢ期で放射線療法と化学療法を併用した場合の5年生存率が15~20%(2年生存率は40~50%)です。ステージⅣ期で化学療法をおこなった場合ならば、1年生存率が50~60%となっています。
小細胞肺がんの5年生存率
非小細胞がんよりも予後が悪いといわれる小細胞がん限局型の5年生存率は、放射線治療と化学療法を併用した場合で25%(2年生存率は50%、3年生存率は30%)です。それに対し、小細胞がんの進展型の3年生存率は、化学療法をおこなった場合で10%です。
これらのがんの生存率は通常、がんの進行度や治療内容別に算出されます。この点は、肺がんでも同様です。上記の生存率は、国立がんセンターで収集されたデータに基づきます。
しかし、生存率、がんの予後はがんの種類や臨床病期(ステージ)、年齢、全身状態や合併症の有無などの所与の条件によっても変わってきますし、個人差があることに留意しましょう。
また、近年は新しい分子標的薬などが登場し、治療のプログラムなども変化しているので過去の生存率をそのまま当てはめず、さまざまな要素を踏まえて考える必要があります。
以上、肺がんの生存率についての解説でした。