肺がんでよく使われる胸部エックス線検査は、撮影した肺の影絵をみるようなものです。そしてその影から、医師は肺の異常を読みとります。
それに対して、CT(コンピュータ断層撮影)検査は、エックス線を一度に何本もあてて、肺を輪切りにしたときの状態を映し出すことができます。その結果、胸部エックス線検査よりもはっきりとした画像で、肺の異常の診断をおこなうことができます。
CT検査で撮った写真は仰向きに寝て、それを足元のほうからみた形で撮影されています。
CT検査で分かること
CT検査では、がんが肺のどの部分にあるのか、どのくらい広がっているのかなどの確認に役立ちます。実際、医療機関によっては検診で使われることもあります。
しかし、CT検査だけで、確定診断にはいたりません。肺がんの確定診断をおこなうためには、やはり生検などで採取した細胞やその組織状態を確認する必要があります。
これまでのCTは、1回にひとつの横断面しかスキャンすることができませんでした。しかし、新たに開発された「ヘリカルCT」では、3次元的に連続して撮影することが可能となりました。その結果、これまでよりもずっと速く、そしてより詳しい、画像が撮れるようになりました。
ちなみに、「ヘリカル」とは「らせん」という意味です。からだの表面をらせん状にスキャンしていくために、そのように呼ばれます。
肺がんの周囲の状態を確認するMRI
MRI検査はエックス線やCTとはしくみが異なり、磁場を利用してからだのなかを観察します。MRI検査では、がん病変の周囲との関係性や拡がりを確認することができます。
ただ、肺がんの場合はCT検査のほうが有用な情報を多く得られるため、MRI検査が必ずおこなわれるわけではありません。MRI検査は肺がん病変の観察よりも、転移、とくに脳転移の検査で役立ちます。
以上、肺がんの検査方法についての解説でした。