子宮頸がんの放射線治療は、1回の治療線量は少しずつですが、7週間にわたって骨盤の広い範囲に外からの照射と腔内からの照射を行います。放射線治療の治療時期により副作用が異なります。
子宮頸がん放射線治療 照射開始すぐの副作用
放射線宿酔(しゅくすい)という、つわりのような副作用(食欲低下と軽い吐き気)が出ます。
放射線治療中間から後半の副作用
下痢・吐き気・食欲低下などの消化器に関する症状が出てきます。また、次第に骨髄機能も低下し造血細胞の働きが悪くなります。その結果として白血球、赤血球、血小板が減少します。
通常は、このために放射線治療が中断を余儀なくされることは少ないのですが、抗がん剤を併用していると、1日10回近い下痢を起こしたり、白血球数が1,000/マイクロリットル以下に減少して、放射線治療を中断せざるを得なくなります。
放射線治療効果を保つためには、治療期間を最短(7週間以内)にすることが大切です。治療の中断がしょっちゅう起こったり長くなったりすれば、治療効果が低下してしまうことになります。そのため、患者の全身状態や骨髄機能をよく観察し、抗がん剤投与は早めに中止し、決して放射線治療を中断しないように努めることが重要なポイントだといえます。
放射線治療が終了するころの副作用
放射線治療が終了するころには、子宮頸部周囲臓器に生じる障害も積み重なり、副作用がピークになります。治療終了後約1か月は、倦怠感や下痢など様々な副作用から立ち直るために自宅療養が必要になります。
きちんと計画されたとおりに放射線治療が遂行できれば、治療終了後1か月で社会復帰できる状態になります。
放射線治療の晩期障害
放射線の副作用は時間の経過とともに、ゆっくり増悪する傾向があります。特にがんが浸潤していた部位の周辺は、線維組織が硬くなってきます。尿管は骨盤内で狭窄し、照射されていない部位は膨らんで水尿管症、水腎症となり、ひどいときには腎機能を失うこともあります。
同じことが直腸にも起こり、がんが浸潤していた直腸とその上流のS状大腸の境界部が狭窄すると腸閉塞になり、人工肛門の増設を余儀なくされます。リンパ節転移が放射線治療で治っても、後に血管が引きつれたりすると、静脈血やリンパ流が阻害され足の浮腫も起こります。
放射線膀胱炎や直腸、S状大腸粘膜炎
照射後数年たつと、粘膜炎を起こし、血尿や血便に悩まされることがあります(放射線性膀胱炎、放射線大腸炎<直腸、S状大腸粘膜炎>)。放射線治療は、時間がたってから予想外の後遺症を起こすことが少なくない、ということを理解しておく必要があります。
以上、子宮頸がんの放射線治療時に生じる後遺症についての解説でした。