はじめに:支える立場にあるあなたへ
がんと向き合うのは、患者さん本人だけではありません。
そばで見守り、支えようとする家族やパートナー、友人もまた、心に大きな負担を抱えています。
「もっと優しくできたんじゃないか」「あのとき、違う言葉を選べばよかったのでは」
そんなふうに、自分を責めてしまうことはありませんか?
この記事では、支える側が感じやすい“つらさ”に焦点を当て、自分を責めずに心を整えるヒントをお伝えします。
1. 支える人こそ、感情の逃げ場が必要です
がん患者の前では、明るく、前向きで、優しい自分でいようとする——
その気持ちはとても尊いものです。けれど、自分の気持ちにフタをしたままでは、心がすり減ってしまいます。
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本当は泣きたいときに泣けない
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怒りや恐れを誰にも言えない
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「こんなことを思う私は冷たいのか」と自分を責めてしまう
そんな時は、「自分だってつらい」と口にしていいのです。支える人にも、感情の逃げ場が必要です
2. 「もっとできたかも」より「よくやってる」と言ってあげて
支える側は、ときに完璧を目指してしまいます。
でも、どんなに頑張っても「もっと何かできたんじゃないか」と思う瞬間はあるものです。
そんな時こそ、こう自分に言ってみてください:
「今日も精一杯やった」
「相手にとっての“安心”になれたかもしれない」
「うまくいかなくても、気持ちは届いている」
「完璧じゃなくていい。大切なのは“そばにいること”」です。
3. 弱音を吐ける人を、1人でも持つ
「支える側が弱音を吐くのはダメ」と思っていませんか?
でも、ずっと1人で抱えていたら、心が壊れてしまいます。
信頼できる友人、カウンセラー、同じ立場の人・・・
誰でもいいので、感情を言葉にできる場所を持ちましょう。
「つらい」「疲れた」「何もしたくない」・・・そう言えることが、心の解放につながります。
4. 小さな“自分時間”を確保する
支える毎日の中でも、自分自身のための時間を持つことはとても大切です。
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温かいお茶をゆっくり飲む
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好きな音楽を聴く
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10分だけ散歩をする
たとえ短くても、“自分を取り戻す”時間が、次の一歩を支えてくれます。
5. あなたもまた、支えられていい
支える立場にいると、「自分がしっかりしなきゃ」と思いがちです。
でも、あなたも人間です。つらいときは誰かに頼っていいのです。
「ありがとう」「助かったよ」と言ってもらえると、心が少し軽くなりますよね。
その感覚を、あなたも受け取っていいんです。
おわりに:そのままのあなたで、じゅうぶんです
がんと向き合う家族を支えることは、簡単なことではありません。
けれど、あなたがそばにいること、それだけでかけがえのない力になっています。
迷ってもいい、疲れてもいい。そして、自分を責めないでください。
▼このシリーズについて
このブログでは、がん患者とそのご家族を支えるための言葉や接し方について、シリーズでお届けしています。