【レジメン】
5-FU(フルオロウラシル)=500mg/m2:点滴静注(15分)
EPI(エピルビシン)=100mg/m2:点滴静注(15分)
CPA(シクロホスファミド:エンドキサン)=500mg/m2:点滴静注(30分)
【前投薬】
①5-HT3受容体拮抗薬(Day1)
②アプレピタント125mg(Day1),80mg(Day2~3)
③デキサメタゾン9.9mgIV(Day1),8mgPO(Day2~4)
④オランザピン5mgPO(Day1~6)(糖尿病患者には禁忌)
基本事項
【適応】
[術後化学療法]
・StageI~Ⅲの症例に推奨される
・リンパ節転移陰性例に対して、日常臨床での使用を推奨するだけの根拠は少ない
【奏効率】
・5年間無病生存率
73.2%
・5年全生存率
86.7%
【副作用】
・好中球減少:Grade3以上=33.6%
・発熱性好中球減少症:Grade3以上=8.4%
・嘔気、嘔吐:Grade3以上=20.5%
・口内炎:Grade3以上=4.0%
・無月経:Grade3以上=72.4%(All Grade)
・脱毛:Grade3以上=83.9%(Grade3)
・心障害:Grade3以上=1.3%(重篤な有害事象)
レジメンチェックポイント
①前投薬の確認:制吐薬・重篤な過敏症状の発現を防止
②投与量の確認
<EPI>
総投与量が900mg/m2を超えると心毒性のリスク増大のため、本治療以前の治療歴を含め、アントラサイクリン系薬剤の総投与量をチェックする
<EPI:肝機能低下症例に対する減量の目安>
・T-Bil 1.2~3.0mg/dLかつAST 2~4×ULN:50%減量
・T-Bil 3.1~5.0mg/dLかつAST >4×ULN:75%減量
<CPA:腎障害時の減量基準>
・GFR(mL/min)<10:25%減量
<CPA:肝障害時の減量基準>
・T-Bil 3.1~5.Omg/dL or AST >3×ULN:25%減量
・T-Bil >5.0mg/dL:中止
<5-FU>
T-Bilが5.0mg/dL以上の場合、投与中止
③点滴速度の確認
・5-FU:50mLの生理食塩液に溶解し、15分で点滴静注
・EPI:50mLの生理食塩液に溶解し、15分で点滴静注
・CPA:生理食塩液100mLに溶解し、30分で点滴靜注
④併用薬の確認
・5-FUはテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(ティーエスワン)との併用により、フルオロウラシルの血中濃度が著しく上昇するため併用禁忌
・5-FUはフェニトインの血中濃度を上昇させ、中毒症状の発現のおそれがあるため、併用時はフェニトインの血中濃度をモニタリングする(併用注意)
・5-FUはワルファリンの作用を増強させることがあり、併用時は定期的にプロトロンビン時間活性をモニタリングする(併用注意)
・CPAはペントスタチンとの併用により、心毒性の増強による死亡例が報告されているため併用禁忌
副作用対策と服薬指導のポイント
①EPIの投与歴の確認
既往歴と現在までの抗がん剤治療について確認し、総投与量の確認を行う
②血管外漏出
EPIは起壊死性抗がん剤であるため、血管から薬液が漏れている場合はすぐに申し出ることを伝える。血管外漏出時は治療薬デクスラゾキサンの投与を検討する
③着色尿
EPIの投与により1~2日間、尿が赤色に着色する
④出血性膀胱炎
CPAでは予防として水分の摂取を心がける。血尿が出た場合には、すぐに申し出るように伝える
※EPIの投与により尿が赤色に着色するため、色調による判断は難しい。自覚症状(排尿困難、排尿時の灼熱感など)がある場合には血尿を疑い、申し出るように伝える
⑤脱毛
高頻度で発現し、治療後1~3週間で抜け始め、全治療終了後は回復する
⑥便秘・イレウス
5-FUは便秘やイレウスを起こす場合があるため、排便コントロールをしっかり行い、激しい腹痛があれば申し出るように伝える