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こんにちは。17年間の活動実績を持つ、
「プロのがん治療専門アドバイザー」本村ユウジです。
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ロズリートレク(エヌトレクチニブ)とは
ロズリートレク(一般名:エヌトレクチニブ)は、ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対して承認されている分子標的治療薬です。この薬剤は経口投与が可能な錠剤タイプで、1日1回の服用で治療を継続できます。
ROS1融合遺伝子は、肺がん患者さんの約1〜2%に認められる遺伝子変異です。この遺伝子変異があると、細胞増殖に関わるシグナル伝達が異常に活性化され、がん細胞の増殖が促進されます。ロズリートレクは、このROS1融合タンパク質を標的として作用し、がん細胞の増殖を抑制します。
従来の化学療法と異なり、特定の遺伝子変異を持つ患者さんに絞って使用される精密医療(プレシジョンメディシン)の一つとして位置づけられています。
ロズリートレクの適応と投与方法
治療対象となる患者さん
ロズリートレクの適応となるのは、ROS1融合遺伝子陽性が確認された切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんの患者さんです。遺伝子検査によってROS1融合遺伝子の有無を確認することが治療開始の前提条件となります。
遺伝子検査は、組織検体や血液検体を用いて実施されます。近年では、次世代シーケンサー(NGS)による包括的遺伝子解析が普及しており、複数の遺伝子変異を同時に調べることが可能になっています。
標準的な投与スケジュール
ロズリートレクの標準的な投与方法は以下の通りです。
| 投与量 | 1回600mg |
|---|---|
| 投与回数 | 1日1回 |
| 投与経路 | 経口(内服) |
| 投与期間 | 病勢進行(PD)まで継続 |
服用は食事の有無に関わらず可能ですが、毎日同じ時間帯に服用することが推奨されます。飲み忘れた場合、次回投与時刻まで12時間以上ある場合は気づいた時点で服用できますが、12時間未満の場合は飲み忘れた分を飛ばして次回から通常通り服用します。
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ロズリートレクの治療効果
STARTRK-2試験の結果
ロズリートレクの効果は、多施設共同非盲検国際共同第Ⅱ相バスケット試験であるSTARTRK-2試験で評価されました。ROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん患者さんを対象としたコホートでは、以下の治療成績が報告されています。
| 評価項目 | 結果 |
|---|---|
| 奏効率(完全奏効+部分奏効) | 75.8% |
| 無増悪生存期間(中央値) | 13.6カ月(範囲:8.3カ月〜未到達) |
| 全生存期間(中央値) | 未到達 |
治療効果の理解
奏効率75.8%という数値は、治療を受けた患者さんの約4分の3でがんの縮小効果が認められたことを示しています。これは分子標的治療薬の中でも高い奏効率といえます。
無増悪生存期間13.6カ月は、治療開始から病勢の進行が確認されるまでの期間の中央値です。半数の患者さんで1年以上がんの進行を抑えられたという結果になります。
全生存期間については、試験の観察期間中に半数の患者さんが亡くなるまでに至らなかったため、中央値が算出できていません。これは比較的良好な生存成績を示唆するデータといえます。
ロズリートレクの主な副作用
全体的な副作用の傾向
STARTRK-2試験の全コホートで報告された主な副作用は以下の通りです。
| 副作用 | 全Grade発現率 | Grade3以上発現率 |
|---|---|---|
| 便秘 | 53.4% | 0.5% |
| 味覚異常 | 46.1% | 0.5% |
| 下痢 | 38.8% | 2.4% |
| 浮動性めまい | 37.9% | 1.5% |
| 疲労 | 36.9% | 4.9% |
| 認知障害・運動失調 | 36.3% | 5.3% |
| 末梢性浮腫(むくみ) | 32.5% | 1.0% |
| 体重増加 | 30.6% | 9.7% |
| 貧血 | 29.6% | 10.7% |
| 血清クレアチニン増加 | 28.6% | 1.5% |
| 悪心(吐き気) | 26.7% | 0.0% |
| 関節痛 | 22.3% | 0.5% |
| 心臓障害 | 14.2% | 4.7% |
| 間質性肺疾患 | 2.4% | 0.3% |
副作用の特徴
ロズリートレクで多く見られる副作用は、便秘、味覚異常、下痢、めまいなどです。これらの多くは軽度から中等度(Grade1〜2)で、重篤な副作用(Grade3以上)の発現率は比較的低い傾向にあります。
ただし、体重増加や貧血については、Grade3以上の重篤な症例が約10%程度報告されています。また、認知障害や運動失調、心臓障害といった副作用については、日常生活への影響が大きいため注意が必要です。
間質性肺疾患の発現率は2.4%と低いものの、重篤化する可能性があるため、早期発見と適切な対応が求められます。
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副作用発現時の用量調整
用量レベルの設定
副作用の程度に応じて、以下のように用量を調整します。
| 用量レベル | 1日投与量 |
|---|---|
| 通常投与量 | 600mg |
| 1段階減量 | 400mg |
| 2段階減量 | 200mg |
| 中止基準 | 200mgで忍容性が得られない場合 |
副作用別の対応基準
主な副作用に対する休薬・減量・中止の基準は以下の通りです。
【心臓障害(QT間隔延長を除く)】
全Gradeの心臓障害が発現した場合、Grade1以下またはベースラインに回復するまで休薬します。回復後は1用量レベル減量して投与を再開します。
【QT間隔延長】
Grade2の場合、Grade1以下またはベースラインに回復するまで休薬し、回復後に1用量レベル減量して再開します。Grade3も同様の対応となりますが、Grade4では投与を中止します。
【認知障害・運動失調】
Grade2以上が発現した場合、初発時はGrade1以下またはベースラインに回復するまで休薬し、回復後に1用量レベル減量して再開します。再発した場合はさらに1用量レベル減量するか、投与を中止します。
【失神】
全Gradeの失神に対して、初発時はGrade1以下またはベースラインに回復するまで休薬し、回復後に1用量レベル減量して再開します。再発した場合はさらに減量または中止を検討します。
【貧血・好中球減少】
Grade3では、Grade2以下またはベースラインに回復するまで休薬し、回復後に1用量レベル減量または同一用量で再開します。Grade4では、必ず1用量レベル減量して再開します。
【間質性肺疾患】
Grade1または2が初発した場合、ベースラインに回復するまで休薬し、回復後に同一用量で再開可能です。ただし再発した場合は投与を中止します。Grade3または4では直ちに投与を中止します。
【その他の非血液学的毒性】
Grade3または4の毒性が発現した場合、Grade1以下またはベースラインに回復するまで休薬し、回復後に1用量レベル減量して再開します。
治療中の注意点と併用薬
薬物相互作用への注意
ロズリートレクは主にCYP3Aという酵素によって代謝されます。そのため、CYP3Aに影響を与える薬剤との併用には注意が必要です。
【CYP3A阻害薬との併用】
イトラコナゾール(抗真菌薬)、クラリスロマイシン(抗生物質)、グレープフルーツジュースなどは、ロズリートレクの血中濃度を上昇させる可能性があります。血中濃度が上がると副作用のリスクが高まるため、これらとの併用は避けるべきです。
【CYP3A誘導薬との併用】
リファンピシン(抗結核薬)、フェニトイン(抗てんかん薬)などは、ロズリートレクの血中濃度を低下させる可能性があります。血中濃度が下がると治療効果が減弱する恐れがあります。
【CYP3A基質となる薬剤への影響】
ロズリートレクはCYP3A阻害作用を持つため、シンバスタチン(高脂血症治療薬)、リバーロキサバン(抗凝固薬)などの血中濃度を上昇させ、これらの副作用を増強させる可能性があります。
特に注意すべき副作用とその対策
間質性肺炎(間質性肺疾患)
間質性肺炎は発現率こそ低いものの、重篤化すると生命に関わる可能性がある副作用です。急性肺障害を含む間質性肺疾患があらわれることがあります。
【初期症状】
以下の症状が見られた場合は、速やかに医療機関に連絡してください。
・息切れ(特に階段の昇り降りや軽い運動時)
・呼吸困難感
・空咳が続く
・発熱
これらの症状は風邪と似ているため見過ごされがちですが、治療中に新たに出現した場合や症状が悪化する場合は、早期に医師の診察を受けることが重要です。
心臓障害とQT間隔延長
心不全、心室性期外収縮、心筋炎などの心臓障害があらわれることがあります。また、心電図でQT間隔の延長が認められることもあります。
【治療開始前の検査】
治療を開始する前に、心機能検査(心電図、心エコーなど)が実施されます。治療中も定期的にこれらの検査が行われるかを確認してください。
【必要に応じた追加検査】
心電図検査や電解質検査(カリウム、マグネシウムなど)が適宜実施されます。電解質バランスの異常はQT間隔延長のリスク因子となるためです。
【自覚症状】
以下のような症状があらわれた場合は、速やかに医療機関へ連絡してください。
・労作時(体を動かしたとき)の息切れ
・動悸(ドキドキする感じ)
・脈の異常(脈が飛ぶ、不規則になる)
・胸の痛みや圧迫感
認知障害と運動失調
ロズリートレクの特徴的な副作用として、中枢神経系に関連した症状があります。
【認知障害の症状】
・健忘(物忘れがひどくなる)
・注意力散漫(集中できない)
・失語・構音障害(言葉が出にくい、ろれつが回らない)
・幻覚
【運動失調の症状】
・手足の動きがぎこちない
・バランスを取りにくい
・歩行時にふらつく
これらの症状が出現した場合、転倒などのリスクが高まります。車の運転や高所での作業、危険を伴う機械の操作は避けるよう指導されます。症状が見られた場合は、医療機関に相談してください。
ロズリートレク治療を受ける際の心構え
定期的な検査の重要性
ロズリートレクによる治療中は、効果判定と副作用の早期発見のために定期的な検査が必要です。
血液検査では、貧血の程度、好中球数、肝機能、腎機能(クレアチニン値)などを確認します。画像検査(CT検査など)では、腫瘍の大きさの変化や新たな病変の有無を評価します。
これらの検査結果に基づいて、治療の継続、用量調整、休薬、中止などが判断されます。
日常生活での工夫
【便秘・下痢への対応】
便秘や下痢は高頻度で見られる副作用です。水分摂取を十分に行い、食物繊維を適度に含む食事を心がけることが基本です。症状が続く場合は、医師に相談して適切な薬剤(整腸剤、下剤、止痢剤など)の処方を受けてください。
【味覚異常への対応】
味覚異常により食欲が低下することがあります。味の濃いものや香りの強い食品を避け、酸味を利用したり、冷たいものを選んだりすると食べやすくなることがあります。栄養状態の維持が重要なため、食事摂取が困難な場合は医療スタッフに相談してください。
【体重増加への対応】
体重が増加傾向にある場合は、定期的に体重を測定し、記録をつけることが推奨されます。むくみを伴う体重増加の場合は、塩分制限や水分管理が必要になることもあります。
医療機関との連携
副作用の多くは早期に発見し対応することで、重症化を防ぐことができます。些細な体調の変化でも、気になることがあれば医療機関に連絡してください。
特に、息切れ、呼吸困難、動悸、めまい、意識障害、歩行困難などの症状は、重篤な副作用の可能性があるため、速やかな対応が必要です。
ロズリートレク治療の位置づけ
ROS1融合遺伝子陽性肺がんの治療選択肢
ROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんは、全肺がんの中では頻度が低いものの、分子標的治療薬が効果を示す重要なサブタイプです。
ロズリートレクの他に、クリゾチニブ(ザーコリ)もROS1融合遺伝子陽性肺がんに対して承認されています。どちらの薬剤を選択するかは、患者さんの全身状態、副作用のプロファイル、脳転移の有無などを考慮して決定されます。
ロズリートレクは血液脳関門を通過しやすい特性があり、脳転移に対する効果が期待できる点が特徴の一つです。
治療継続の判断
ロズリートレクは、病勢進行(PD:Progressive Disease)が確認されるまで継続されます。病勢進行とは、画像検査でがんの増大や新たな病変の出現が確認された状態を指します。
ただし、副作用が重篤で忍容性が得られない場合や、患者さんの全身状態が著しく悪化した場合には、治療の中止が検討されます。
一方、病勢進行後の治療については、個々の状況に応じて化学療法や免疫療法などの他の治療法への切り替えが考慮されます。
参考文献・出典情報
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)
- 日本肺癌学会
- 国立がん研究センター
- 国立がん研究センター がん情報サービス
- 日本臨床腫瘍学会
- American Society of Clinical Oncology (ASCO)
- National Comprehensive Cancer Network (NCCN)
- The Lancet
- The New England Journal of Medicine
- PubMed
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