【レジメン】
Nedaplatin(ナダプラチン)=100mg/m2:点滴静注(60~90分)
DTX(ドセタキセル)=60mg/m2:点滴静注(60分)
【制吐対策】
①5-HT3受容体拮抗薬(Day1)
②デキサメタゾン:9.9mgIV(Day1),8mgPO(Day2~3)
【投与前後】
補液1,000mL(Day1)
基本事項
【適応】
切除不能・進行再発非小細胞肺がん(扁平上皮がん)一次治療
・StageⅢB期、IV期
【奏効率】(WJOG5208L試験)
・無増悪生存期間(中央値)
4.9カ月
・全生存期間(中央値)
13.6カ月
・1年生存率
55.9%
・2年生存率
27.1%
【副作用】(WJOG5208L試験)
・好中球減少:All Grade=94.4%、Grade3以上=82.5%
・貧血:All Grade=74.0%、Grade3以上=11.3%
・血小板減少:All Grade=42.4%、Grade3以上=9.0%
・発熱性好中球減少症:All Grade=13.6%、Grade3以上=13.6%
・悪心:All Grade=71.2%、Grade3以上=4.0%
・食欲不振:All Grade=80.8%、Grade3以上=13.0%
・下痢:All Grade=41.8%、Grade3以上=4.0%
・低Na血症:All Grade=61.6%、Grade3以上=13.6%
・倦怠感:All Grade=69.5%、Grade3以上=3.4%
・ALT上昇:All Grade=41.8%、Grade3以上=1.7%
・AST上昇:All Grade=40.7%、Grade3以上=1.1%
レジメンチェックポイント
①前投薬の確認:輸液負荷、制吐薬
②投与量の確認
<Nedaplatin>
明確な減量基準はないが、血清クレアチニン値≧1.5mg/dL以上では25mg/m2減量するとされている。また高齢者では80mg/m2に減量することが推奨されている。重篤な腎機能障害
がある場合は禁忌
<DTX>
投与当日の好中球数が2,000/mm3未満であれば投与の延期を考慮する
<DTX:肝障害時の投与基準>
T-Bil>ULNで投与中止。AST、ALT>1.5×ULNかつALP>2.5×ULNで投与中止
③アルコール過敏症の確認
DTX(タキソテール)の添付溶解液にはエタノールが含まれているので、アルコールに過敏な患者に投与する場合は、添付溶解液を使用せずに生理食塩液または5%ブドウ糖液で溶解すること。アルコールで希釈された製剤では、アルコールを抜くことはできないため注意する。なお現在はプレミックス製剤でも、アルコールを含有しない製剤も発売されている
※DTX製剤について:現在本邦においては、アルコールを含む添付溶解液にて希釈後使用する製剤と、すでにアルコールなどで希釈された製剤、およびアルコールを含有しない液体製剤などが販売されており、濃度、アルコール含有量が異なるため注意が必要である
・タキソテール点滴静注用=エタノール含有量/DTX100mg換算:添付溶解液13%日局エタノール、955.5mg
・ワンタキソテール点滴静注=エタノール含有量/DTX100mg換算:無水エタノール、1.975g
・ドセタキセル点滴静注「ケミファ」、ドセタキセル点滴静注「トーワ」、ドセタキセル点滴静注液「NK」、ドセタキセル点滴静注液「サワイ」=エタノール含有量/DTX100mg換算:無水エタノール、1.975g
・ドセタキセル点滴静注液「サンド」=エタノール含有量/DTX100mg換算:エタノール、2759.0mg
・ドセタキセル点滴静注液「ホスピーラ」=エタノール含有量/DTX100mg換算:無水エタノール、2.3mL
・ドセタキセル点滴静注用「サワイ」=エタノール含有量/DTX100mg換算:日局エタノール、955.5mg
・ドセタキセル点滴静注「二プロ」、ドセタキセル点滴静注「ヤクルト」、ドセタキセル点滴静注「EE」=エタノール含有量/DTX100mg換算:アルコールフリー
④相互作用
アゾール系抗真菌薬(ミコナゾールなど)やエリスロマイシン、クラリスロマイシン、シクロスポリン、ミダゾラムの併用によりCYP3A4を阻害またはDTXとの競合により、DTXの血中濃度が上昇し副作用が強くあらわれることが考えられる
副作用対策と服薬指導のポイント
①アルコールに関する問診(DTX):自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること
②アレルギー症状(DTX):皮膚の異常(蕁麻疹)、顔面潮紅、息苦しさ、動悸などが出現した場合はすぐに申し出ることを伝える
※DTXの溶解補助剤のポリソルベート80による過敏症およびショック
③白血球減少:DTXの用量規制因子は白血球(主に好中球)減少であり、重篤な白血球減少に起因した治療関連死が認められている。患者には感染予防(手洗い、うがい、マスクの着用など)の励行を指導する必要がある。また、発熱性好中球減少症の治療として抗菌薬の投与を迅速に行う体制を整えておく必要がある
④脱毛(DTX):高頻度で出現し、治療開始から1~3週間で抜け始めることが多い。治療終了後には個人差はあるが回復する
⑤浮腫(DTX):浮腫などの体液貯留が高頻度にみられ、総投与量が350~400mg/m2を超えると発現頻度が上がるため、足のむくみなどの症状が出れば申し出るように伝える。浮腫の発症は毛細血管漏出症候群によるもので、発症後はデキサメタゾンなどを投与する