腎臓は左右に一つずつあり、握りこぶしぐらいの大きさです。肋骨で後ろから守られるように、腰のやや高い位置で、後腹膜と呼ばれる体の後方にあります。
腎臓のはたらきとして、尿をつくって体に必要のない物質(老廃物)を排泄することはよく知られていますが、そのほかに、骨をつくるカルシウムの調整、血圧の調整、血液の成分の調整、貧血の調整などのはたらきをするホルモンをつくっています。
■腎臓がんの原因と危険因子
腎臓がんの場合、原因遺伝子の一つとして、がん抑制遺伝子であるVHL(フォン・ヒッペル-リンドウ)遺伝子の異常がわかっています。
腎臓がんになりやすい病気として、脳や網膜の血管の病気や、副腎の病気を合併する遺伝性のVHL病があり、その家系(日本で200家系)が知られています。
また長く透析を受けている人は腎臓がんになりやすいといわれています。
さらにこれまでの研究では、長期にわたってタバコを吸っている人、標準体重をオーバーしている人に腎臓がんが多く見つかっています。その他一部の発がん物質や薬剤などが、危険因子にあげられています。
腎臓がんの早期発見に役立つ腫瘍マーカーはまだありません。
健康診断で定期的に腎臓の超音波(エコー)検査を受けたり、機会があったら腎臓のCT検査を受けたりするのも早期発見につながります。
透析を受けている人は定期的に腎臓の超音波検査あるいはCT検査を受けるのが望ましいとされています。
長期間透析を受けている人で萎縮腎がみられる場合には、嚢胞が形成され、やがて嚢胞内に腎臓がんが発見される例が増加しているからです。
しかし、なぜ発生するかなどのしくみは不明です。