07.乳がん

乳がんの手術方法~広範囲の手術から温存手術へ~

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乳がんの手術方法

近年では「乳がんになると必ず乳房を全摘される」という恐怖を抱く患者さんは少なくなりました。

しかしながら、20年、30年前までは、そうした恐怖は現実のものとしてあり、乳房温存療法を導入せずに全切除を行っている病院に入院した患者さんが、手術前に病院を逃げ出したという話も現実にありました。

乳がんに対する手術は、乳房とその下にある筋肉(大胸筋や小胸筋)を切除する胸筋合併乳房切除術(ハルステッド手術)に始まり、胸筋を残す胸筋温存乳房切除術(アッキンクロス手術やペイティ手術)、さらには乳房温存術へと段階的に切除範囲の縮小化の方向で進んできました。

以前は、再発や転移の可能性を少なくするためには、手術でできるだけ大きく切り取った方がよいと考えられましたが、患部を大きく取ったとしても生存率は上がらない、ということが判明したからです。

切除範囲が大きい手術と小さい手術で治療成績が変わらないことがわかり、小さい手術のほうが整容的にもよく、患者さんの生活の質(「クオリティオブライフ、QOL」と呼びます)もよいと考えられるようになってきました。

したがって、現在では最小限の患部を切り取り、放射線療法で乳房内に残存している可能性のあるがん細胞を死滅させる、という治療が主流となっています。

とはいえ手術はまだ乳がん治療の根幹を成しています。通常はがん組織を含めた周りの正常乳腺組織を一塊に切除します。理由は、シコリの周りの乳管の中に広がるがん細胞を取り残さないためです。よって、切除する範囲は乳房内でのがんの広がりの予測に基づいて決められます。

通常、乳がんの切除と同時に、脇の下のリンパ節(「腋窩リンパ節」と呼びます)の転移を調べたり、あるいは腋窩リンパ節を脂肪組織ごと一塊で切除します(「腋窩リンパ節郭清」と呼びます)。

■小さなシコリであればまず乳房温存術

現在の乳がん手術式は、乳房温存術がすでに胸筋温存乳房切除術を上回り、その割合は増加傾向にあります。

まずは乳房温存術を検討し、がんの広がりが大きい場合などは乳房切除術を選択することが多いのです。3cmまでのⅠ期またはⅡ期乳がんであれば、乳房温存術が可能な場合がほとんどです。

また、5cmのシコリであっても、乳がんのある乳房のボリュームが大きい場合には、温存が可能になります。温存が無理な場合でも胸筋を残す胸筋温存乳房切除術が標準治療となっています。温存療法ができる条件というのは、
①シコリが小さくて、3cm以下であること
②シコリが大きくても、乳房のボリュームが大きく、温存できる乳房が十分あること
③シコリが大きくても乳管内のがん細胞の進展が広範囲ではないこと
などの3つで、放射線が可能で患者さんが希望している場合です。

近年はシコリが大きい場合には、術前に薬物療法を行って小さくすることで、乳房温存術を可能とする「術前化学療法」が標準治療として行われています。

しかし、術前化学療法によってシコリが見かけ上小さくなったとしても、手術前の最終的な画像診断によって、元々あったシコリの位置に一致して、がん細胞がぱらぱらと散らばって残っているような場合には、乳房を温存できないことがあります。

■乳腺部分切除術と乳腺全切除術

乳房とは、乳腺と皮膚と乳頭・乳輪などを含めた臓器を指します。最近は、皮膚や乳頭・乳輪を取らないで、乳腺だけを切除する乳腺部分切除術と乳腺全切除術も行われています。

この方法によって、シコリが小さければ皮膚を切除しないことから、術後の乳房の引きつれを最小限に止めることができます。

また、非浸潤性乳がんであれば、皮膚にがんが進展することはあり得ないので、皮膚を残して乳腺だけを全部切除します。もし、同時にエキスパンダーやシリコンによって乳房再建を行えば、整容性においても優れた結果をもたらします。

ただし、範囲が広い非浸潤性乳がんや乳房内に多発する乳がんの場合は、乳頭の内側の乳管にもがん細胞が進展していることが多いので、乳頭・乳輪を温存できない場合があります。

以上、乳がんの治療法についての解説でした。

がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。

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