がん専門のアドバイザー、本村です。
当記事では腎臓がんの手術について解説しています。
腎臓がんの中でも、腫瘍のサイズが小さい腎臓がんにおいては、根治的腎臓全摘出(腎臓を1つ摘出する手術)のあと、5年生存率は95%程度と高い数値が得られていましたが、近年では腎臓のを全摘出せず「部分切除」する場合でも同じくらいの生存率が保たれるようになっています。
いうまでもなく、「部分切除」と比較すると、全摘出は術後の腎機能の低下が懸念されます。具体的には全摘後は部分切除と比べ、慢性腎臓病の発生率が高く、そのため生存率が低下するとされてきました。
また、生存率の低下だけでなく、腎機能低下に伴う生活の質の低下や、心血管障害の発生、透析しなくてはならないなどの問題もあります。
しかし、腎臓摘出後も残った腎臓の働きにより、時間の経過とともに腎機能は回復することが分かり、長期的には術前の75%の機能保持がされることが分かっています。そのため生存率も健常者と比較しても劣らないというのが現在の見解です。
東京医科大学の報告でも全摘出後の腎機能はいったん低下した後、時間をかけて回復を示したとされています。
しかし、腎臓を摘出することで慢性腎臓病の発生率は、部分切除に比べ高くなることは明らかであり、全摘出後に人工透析を受けざるをえない人も存在するので、可能であれば部分切除を行うことが望ましいといえます。