10.肝臓がん

肝臓がん動注療法の種類

動注療法(リザーバー法)

動注療法(リザーバー法)

肝臓がんに対する動注療法とひと口にいっても、さまざまな方法があります。その違いは、1つは抗がん剤の注入のしかた、もう1つは使用する抗がん剤によるものです。

【抗がん剤の注入法】

①1回のみ、または必要なときのみの注入

1回だけの治療はふつう、血管造影検査の最後に行います。血管造影の際には、太ももまたは腕の動脈に細いチューブ(カテーテル)を入れて、先端を肝臓の動脈まで通します。そして、このカテーテルから造影剤を注入して血管を撮影します。

その後、必要な撮影が終わったら、カテーテルを腫瘍のできるだけ近くまで挿入し、抗がん剤を注入します。最近では一般に、1回のみの動注の後には、引き続いて肝動脈塞栓療法を行います(化学塞栓療法)。

②反復動注療法(リザーバー法)

反復動注療法では一般に、カテーテルとリザーバー(リザーバーポート)という装置を体内に埋め込み、これらを通して抗がん剤を注入します。

かつて反復動注療法では、治療のたびに太ももの動脈からカテーテルを挿入して、肝臓まで通し、カテーテルの先から抗がん剤を注入していました。これは操作が煩雑なだけでなく、患者の負担も重いものでした。

このような操作を避けるには、カテーテルを体内に置いたままにすればよいと考えられます。しかし、カテーテルの手元側の先端が体外に出ていると、日常生活にさまざまな支障が生じます。さらに、重大な感染症にかかったり、出血を起こす危険も高くなります。

そこで、こうした危険を避けるために、リザーバー(貯留装置)が登場しました。もっとも普及しているタイプのリザーバーは、直径2センチ、厚さ1センチほどの円盤状で、内部は空洞になっています。薬剤はいったんリザーバー内の空洞に入り、そこからカテーテルへと流れ出すしくみになっています。

リザーバー法では、まず体内にカテーテルを留置し、その先端にリザーバーをつなぎます。ついで、リザーバーを皮膚の下に埋め込みます。

薬剤を投与するときには、皮膚を通して、リザーバーの天井部分(セプタム)を刺します。すると、薬剤はリザーバーの内部からカテーテルに入り、目的の場所まで流れていきます。
リザーバーの天井部分はシリコン製で、くり返し刺しても薬剤がもれたりすることがありません。ただし、皮膚の損傷を少なくし、また天井の部分を弱くしないために、刺す場所は毎回少しずつずらします。

皮膚の下にリザーバーを埋め込むことにより、カテーテルの管理(おもに感染予防と血栓予防の処置)は容易になりました。そのため、抗がん剤を注入するときだけ病院を訪れ、入院せずに治療を受けることも可能になりました。

③反復動注療法2(体外留置式カテーテル法)

短期のみの反復動注療法を行部う場合、リザーバーを体内に埋め込む処置を行わず、カテーテルの先端を体外に出したままにすることがあります。

この方法は、リザーバー法に比べ、カテーテルを留置したり抜き去ったりすることが容易です。しかし、長期間この方法を続けると、カテーテルが細菌に感染する危険性が高くなります。そのため、他の治療を行う前や後の補助的な治療として、行うことが一般的です。

④ワンショット法と持続注入法

反復動注療法には、ワンショット法と持続注入法があります。ワンショット法は、注射器を使って抗がん剤をいっきに注入する方法です。

これに対して持続注入法は、比較的低い濃度の抗がん剤を、ポンプを用いて長時間かけて注入する方法です。いまでは、携帯式のポンプが開発されているため、いったんリザーバーにポンプをつないだら、その後は病院から離れることも可能です。

最近では、持続注入法が動注療法の主流になっています。なお、1回かぎりの治療も、短時間で抗がん剤を注入するため、ワンショット法と呼ばれることがあります。

以上、肝臓がんの動注療法についての解説でした。

ステージ3、4と進行してくると、病院でできる治療法の選択肢は少なくなります。しかし、病院で受ける治療法は、がんと闘うための手段の一部にすぎません。

肝臓がんを克服するためには、病院での治療より重要なことがあります。詳しくはこちらのガイドブックにまとめました。
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