08.子宮頸がん

子宮頸がんと出産~子供を産めるか~

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子宮頸がんと出産

子宮頸がんの治療方法を決めるときに、将来、妊娠・出産を希望するかどうかが重要な検討要素となります。20代という若い年代で子宮頸がんを発症するケースが増えているため、がんを治すには子宮を全摘出して妊娠をあきらめるのか、再発リスクの高い治療法を選んで妊娠の可能性を残すのか、という難しい選択を迫られることもあります。

しかし、妊娠の可能性を残す治療法が選択できるのは初期の病変に限られ、がん組織の種類によっても異なります。そのため、子宮の温存を望んでも治療法としては全摘出をするしかないと告げられるケースもあります。

■妊娠・出産を希望するときの治療法は

将来、妊娠・出産を強く希望する場合の治療法は、進行期とがんの種類によって違ってきます。子宮を残すことによって、再発のリスクはどうしても高まります。主治医とよく相談して検討することが大切です。

①扁平上皮がんの場合

・上皮内がん

上皮内がんは最も初期のがんです。ほかへの転移はほとんどないため、円錐切除術がすすめられています。円錐切除した組織の断端にがん細胞がなければ、ほぼ再発しません。しかし、断端にがん細胞があった場合には、再発の危険性があるため、再度の円錐切除術か子宮全摘出術を検討します。

円錐切除術後の妊娠には、流産や早産のリスクが高まるため、妊娠中は十分に注意して過ごすことが必要になります。

・ⅠA1期

ごくわずかにがんが浸潤している状態です。円錐切除術を行って、組織検査で断端にがん細胞がなく、リンパ節転移の目安である「脈管侵襲(血管やリンパ管へのがんの浸潤)」やがんの悪性の広がり方である「癒合浸潤」がなければ、子宮を残すことができます。ただし、そのいずれかが陽性なら、個別の対応が必要とされています。

・ⅠA2期以上

比較的大きな病巣と考えられており、リンパ節などへの転移の危険性が高いとされ、リンパ節郭清を含む、子宮の全摘がすすめられています。

最近は、ⅠA2期やⅠB1期の一部のケースで妊娠を強く希望する場合に、「広汎子宮頸部摘出術」という妊娠の可能性を残す手術が試験的に行われています。

この手術では、子宮体部を残して、子宮頸部や膣、その周囲などは広汎子宮全摘出術と同じくらいの範囲を切除し、リンパ節の郭清をしたうえで、残した子宮体部と膣をつなぎ合わせます。同じ進行期であっても、リンパ管や血管への浸潤、腫瘍の大きさなどによって、この手術が可能かどうか違ってきます。

この手術法ががんの治療としてどのくらい有効なのか、十分なデータはまだありません。また、手術後は自然妊娠が難しく、体外受精や顕微授精をするケースが多くみられます。妊娠しても早産しやすいといったデメリットもあります。

②腺がんの場合

頸部腺がんは、扁平上皮がんと比較すると治りにくく、放射線療法も効きにくい、早期からリンパ節に転移しやすいがんだとされています。

上皮内腺がんであれば、円錐切除術をし、断端にがんがなければ子宮を残すことが可能です。しかし、腺がんは、同時にいくつかの場所にできることがあり、円錐切除術でとり切れたと思っても、実際にはその奥にがんが残っているケースが20%ほどあるとされています。そのため、今後、妊娠の予定がない場合は、上皮内腺がんでも子宮全摘出術がすすめられ、もし子宮を残した場合には、厳菫な経過観察が必要になります。

■妊婦健診で子宮頸がんが見つかったら

子宮頸がんの細胞診は、妊婦健診の標準的項目になっていて、公費の補助で受けることができます。妊娠して初めて産婦人科を訪れる人も多く、この検査で異形成やがんが見つかって驚く人も少なくありません。

子宮頸がんの約3%は妊娠中に発見され、そのほとんどが上皮内がんやⅠA期の早期で見つかっています。早期に見つかるため、妊娠中に発見された子宮頸がんでは、多くの場合に出産が可能ですが、厳菫な経過観察を必要とします。

治療は、進行期によって次のように考えられますが、まずは自分がどうしたいのかをしっかり伝え、いちばんいいと納得できる方法をパートナーや主治医と検討しましょう。妊娠が子宮頸がんの進行を早めることはなく、子宮頸がんが胎児の発育に影響することもないと考えられています。

・上皮内がん

生検による組織診で上皮内がんと診断された場合、細胞診やコルポスコピー検査などで上皮内がん以上とみられるところがなければ、出産まで経過を厳重に観察していきます。経膣分娩も可能で、出産後に円錐切除術を行います。ただし、上皮内腺がんの場合は、正確な診断のために妊娠中に円錐切除術を行うことが望ましいとされています。

・ⅠA期以上

生検による組織診でⅠA期以上が疑われる場合は、妊娠14週~24週の間に円錐切除術をして、がんの広がりをしっかりと確認することがすすめられます。

そのうえで、ⅠA1期で切除断端にがんがなく、脈管侵襲がなければ、そのまま出産まで経過を観察します。経膣分娩も可能です。円錐切除をしたあとは、流産や早産を起こしやすいので、子宮頸部を縫い合わせておくこともあります。

もし、切除断端にがんが残っていたり、脈管侵襲がある場合、また、ⅠA期腺がん、ⅠA2期以上の場合は、一人ひとりに合わせた治療法を検討する必要があり、妊娠を継続するかどうかは、診断された時点の妊娠の週数や、本人、パートナーの希望によって違ってきます。

本人やパートナーが出産を望み、リスクを覚悟で強く希望したときには、慎重に検討して出産可能な週数まで妊娠を継続し、出産後に治療を行うケースもあります。その場合、帝王切開での出産が基本となり、そのまま広汎子宮全摘出術を行うこともあります。

以上、子宮頸がんと妊娠・出産についての解説でした。

子宮がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。

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本村ユウジ

「がんの研究と、患者さんのサポート」を2008年から続けています。現在まで、3,000名を超えるがん患者さんやご家族をサポートしてきました。詳しいプロフィールはこちら。

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