06.食道がん

食道がん手術における合併症の種類

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食道がん手術における合併症

食道がんの手術は大きく開胸と開腹で食道の切除、リンパ節郭清、消化管再建の3つに分類されます。とても侵襲(からだに加わるストレスやダメージ)の大きな手術だといえます。

そのため手術をすることによって身体的には何らかの不具合、不快な症状が発生する可能性があります。このような症状を合併症といいます。

食道がんの手術直後は一般的には集中治療室(ICU)で管理されます。呼吸状態が安定していないときには、気管内挿管されたまま、数日間、人工呼吸器に装着し、管理をする施設が多いようです。手術後、5日目頃を過ぎると全身状態は安定してきます。

食道がんの手術は、患者のからだに与える負担が大きく、ほかの消化器がんに比べて術後合併症の頻度は高率です。合併症が原因で、不幸にして命を落とされる患者さんが2%ほど発生します(手術死亡率2%ほど)。

病院、医師の技量や経験によって合併症の頻度は異なります。また、患者さんの年齢、全身状態、持病(呼吸器疾患、心臓病、肝臓病、糖尿病など)の影響も無視できません。合併症が起きると、入院期間が長くなり、場合によっては再手術が必要になったりします。

食道がんの手術後の合併症として、頻度が高く、特徴的なものとして、呼吸器合併症、縫合不全、反回神経(声帯の動きを調節している神経)麻痺などがあげられます。

■呼吸器合併症

食道がんの手術では、気管や反回神経の周囲のリンパ節郭清を行うため、手術直後には気管の血流が悪くなったり、声帯の動きが低下したりします。そのため、うまく痰が排出できないことがあり、肺炎、無気肺(肺に空気が入らない状態)、低酸素血症などの呼吸器合併症が30%ほど起こります。手術後にうまく喀痰(痰を吐き出すこと)できない場合には、吸引や気管支鏡で痰を取り除いたりもします。

肺炎などの感染症を防止するために、手術前から口腔内ケアを行います。さらに、術後の早期に、経管栄養(胃や腸にチューブを入れ、栄養剤を注入)を行い、腸管免疫や栄養の改善にも努めます。

■縫合不全

食道と胃、または小腸を縫い合わせた部分がうまくくっつかない状態を「縫合不全」といいます。つなぎ合わせの部分(吻合部)の血流が悪かったり、吻合部に高い圧力がかかったりすると縫合不全が発生します。食道がんの縫合不全の頻度は10%ほどです。

縫合不全を起こすと、吻合部の周囲が漏れた消化液で感染し、膿がたまります。術中に留置したドレーン(管状のチューブ)で、膿が排出(ドレナージ)されればよいのですが、膿がドレーンから排出されなければ、再度、ドレナージを行います。

頸部に吻合部がある場合は、手術創部を開放して、ドレナージが得られる場合があります。しかし、後縦隔や胸腔内に吻合部がある場合は、胸に膿がたまり(膿胸)、呼吸状態が悪化するようなら、緊急にドレナージ(管を挿入して内容物を体外に誘導すること)が必要となります。

ドレナージがうまく行われ、感染の状態が落ち着けば縫合不全は改善します。しかし、縫合不全が改善しなければ、再手術も必要になります。

■反回神経麻痺

反回神経の周囲のリンパ節郭清を行う際に、神経を損傷してしまうと、声帯の麻痺が、15%ほどの頻度で発生します。反回神経麻痺が起こると、声がかすれてしまいます(嗄声)。

術後には痰をうまく排出できなかったり、食事がうまく飲み込めなくなったりします。
麻痺が一時期的なもので改善する場合もありますが、残る場合もあり、嚥下(飲み込む)の訓練が必要になります。

そのほか、食道がんの手術では、消化器がんの手術でも起こりうる合併症である、腸閉塞(腸の動きが悪くなった状態)や創感染(傷の化膿)などが起こることもあります。

以上、食道がんの手術についての解説でした。

食道の手術は体に大きなダメージを与えます。そして、手術をして終わりではなく、再発するケースも多いのが現実です。

今後、どのようなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。

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「がんの研究と、患者さんのサポート」を2008年から続けています。現在まで、3,000名を超えるがん患者さんやご家族をサポートしてきました。詳しいプロフィールはこちら。

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