11.腎臓がん

【2025年更新】腎臓がんの転移確率は?転移した場合の治療手段、一般的な余命などについて解説

転移性腎臓がんのリスク分類「MOtzerスコア」


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こんにちは。17年間の活動実績を持つ、
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腎臓がんの転移とは

腎臓がんは、初期段階では腎臓の組織内にとどまっていますが、進行するとがん細胞が血液やリンパの流れに乗って他の臓器や組織に広がることがあります。この現象を転移といいます。

腎臓がんの転移は、がんの治療方針を決める上で重要な要素となります。転移の有無やその程度によって、治療法や予後が変わってくるためです。

腎臓がんは比較的転移しやすいがんの一つとして知られており、患者さんやご家族にとって転移に関する正確な情報を知ることは、今後の治療計画を立てる上で欠かせません。

腎臓がんが転移しやすい部位

腎臓がんが転移する場合、特定の臓器や組織に転移しやすい傾向があります。転移先として最も多いのは肺で、腎臓がんの遠隔転移の中でも高い割合を占めています。

主な転移先

腎臓がんの代表的な転移先としては、以下の部位が挙げられます。

肺への転移は、腎臓がんの遠隔転移の中で最も頻度が高く、全転移症例の約50%以上を占めるとされています。腎臓は血流が豊富な臓器であり、がん細胞が血液の流れに乗って肺に到達しやすいという特徴があります。

骨への転移も比較的多く見られます。骨転移が起こると、痛みや骨折のリスクが高まります。特に脊椎、骨盤、肋骨、大腿骨などの部位に転移しやすい傾向があります。

肝臓への転移も腎臓がんでは見られる転移パターンの一つです。肝臓は血液が集まる臓器であるため、血流を介してがん細胞が到達しやすいと考えられています。

脳への転移は、他の転移部位と比較すると頻度は低いものの、発生した場合には神経症状を引き起こすことがあり、生活の質に影響を与えます。

リンパ節への転移も腎臓がんでは重要な転移パターンです。腎臓の周囲や後腹膜のリンパ節に転移することが多く、画像検査で確認されます。


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腎臓がんのステージと転移の関係

腎臓がんのステージ(病期)分類は、がんの進行度を示す指標であり、転移の有無や範囲が重要な判断材料となります。

ステージ分類と転移

ステージI期は、がんが腎臓内にとどまり、大きさが7cm以下の状態です。この段階では転移はなく、予後は比較的良好とされています。

ステージII期は、がんが腎臓内にとどまっているものの、大きさが7cmを超えている状態です。この段階でも転移はありませんが、がんの大きさからステージIよりもやや進行していると判断されます。

ステージIII期になると、がんが腎臓周囲の組織や血管に広がっているか、近くのリンパ節に転移している状態です。遠隔転移はまだ認められませんが、局所的な進行が見られます。

ステージIV期は、がんが腎臓周囲の脂肪組織を越えて広がっているか、肺や骨などの遠隔臓器に転移している状態です。この段階では転移性腎臓がんとして扱われ、全身的な治療が必要となります。

腎臓がんの転移確率

腎臓がんの転移確率は、診断時のステージや腫瘍の特徴によって異なります。

診断時に既に転移が見つかる患者さんの割合は、約25~30%程度とされています。つまり、腎臓がんと診断された患者さんの約4人に1人は、診断時に既に転移がある状態ということになります。

早期の段階で手術を受けた患者さんでも、術後に転移が発生するリスクがあります。手術後の転移再発率は、ステージIやIIの早期がんでは比較的低いものの、ステージIIIでは高くなる傾向があります。

腎臓がんの再発の約80~90%は、手術後5年以内に起こるとされていますが、10年以上経過してから再発や転移が見つかる場合もあり、長期的な経過観察が重要です。

転移リスクを高める要因

腫瘍の大きさが大きいほど転移リスクが高まります。また、病理検査で悪性度(グレード)が高いと判定された場合も、転移の可能性が上がります。

腎静脈や下大静脈への腫瘍の浸潤が認められる場合、転移リスクが高いとされています。さらに、腎臓周囲の脂肪組織やリンパ節への浸潤がある場合も、遠隔転移のリスクが上昇します。


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転移性腎臓がんの症状

転移性腎臓がんの症状は、転移した部位によって異なります。

肺転移の症状

肺に転移した場合、咳が続く、息切れ、胸痛、血痰などの症状が現れることがあります。ただし、初期段階では無症状のことも多く、定期的な画像検査で発見されるケースも少なくありません。

骨転移の症状

骨に転移すると、転移部位の痛み、病的骨折(軽微な外力で起こる骨折)、脊髄圧迫による神経症状などが生じることがあります。骨転移による痛みは、夜間に強くなる傾向があります。

肝転移の症状

肝臓への転移では、腹部の不快感、右上腹部の痛み、黄疸、食欲不振などが現れることがあります。肝機能の低下により、全身倦怠感が強くなる場合もあります。

脳転移の症状

脳に転移した場合は、頭痛、吐き気、めまい、けいれん、運動障害、言語障害などの神経症状が出現します。症状は転移の部位によって異なります。

転移性腎臓がんのリスク分類:Motzerスコア

転移性腎臓がんには、進行速度に個人差があります。急速に進行するケースもあれば、比較的ゆっくりと進行するケースもあります。この進行速度を予測し、治療方針を決定する際の参考として、世界的に広く使用されているのが「Motzer(モッツァ)スコア」です。

Motzerスコアは、Memorial Sloan-Kettering Cancer Center(MSKCC)のDr. Robert Motzerらによって開発されたリスク分類システムで、MSKCCスコアとも呼ばれています。

このスコアは、サイトカイン療法を受ける患者さんの予後予測のために作られましたが、現在でも分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などの治療薬を選択する際の重要な指標として活用されています。

Motzerスコアの評価項目

Motzerスコアは、以下の5つの危険因子に基づいて患者さんをリスク分類します。

危険因子 内容
診断から転移治療開始までの期間 腎臓がんと診断されてから、転移が見つかって全身治療を開始するまでの期間が1年未満
貧血 ヘモグロビン値が正常下限値未満
高カルシウム血症 血清カルシウム値が正常上限値を超えている
高LDH 乳酸脱水素酵素(LDH)が正常上限値の1.5倍を超えている
PS不良 パフォーマンス・ステータス(PS)が2以上(身の回りのことが十分にできない状態)

リスク分類

上記の5項目の危険因子のうち、該当する項目の数によって、患者さんは以下の3つのリスク群に分類されます。

該当項目が0個の場合は「Favorable risk(良好リスク群)」に分類されます。この群に属する患者さんは、比較的予後が良好であり、治療効果も期待できるとされています。

該当項目が1~2個の場合は「Intermediate risk(中間リスク群)」に分類されます。この群は予後が中程度であり、治療方針の決定には慎重な判断が必要となります。

該当項目が3個以上の場合は「Poor risk(プアリスク群)」に分類されます。このグループは最も進行が速く、従来のサイトカイン療法の効果が限定的であると予測されます。現在では、このリスク群に対しても有効性が示されている新しい治療薬が登場しています。

Motzerスコアの臨床的意義

Motzerスコアは、治療薬の選択だけでなく、患者さんやご家族への説明、臨床試験での患者層別化などにも用いられています。近年の臨床試験では、このリスク分類ごとに治療効果が評価されることが一般的となっています。

ただし、Motzerスコアはあくまで統計的な予後予測ツールであり、個々の患者さんの経過を完全に予測できるものではありません。実際の治療方針は、このスコアだけでなく、患者さんの年齢、合併症、希望なども考慮して総合的に決定されます。

転移性腎臓がんの治療

転移性腎臓がんの治療は、近年の医学の進歩により選択肢が広がっています。

分子標的薬

分子標的薬は、がん細胞の増殖や血管新生に関わる特定の分子を標的として作用する薬剤です。腎臓がんの治療では、VEGF(血管内皮増殖因子)を標的とする薬剤や、mTOR(エムトール)を標的とする薬剤などが使用されています。

主な分子標的薬には、スニチニブ、パゾパニブ、アキシチニブ、カボザンチニブなどのチロシンキナーゼ阻害薬や、エベロリムス、テムシロリムスなどのmTOR阻害薬があります。これらの薬剤は経口薬として投与されるものが多く、外来治療が可能です。

免疫チェックポイント阻害薬

免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞が免疫システムから逃れるために利用している仕組みを阻害することで、患者さん自身の免疫力を活性化してがんを攻撃する治療法です。

ニボルマブやイピリムマブなどの免疫チェックポイント阻害薬が、腎臓がんの治療に使用されています。これらの薬剤は点滴で投与されます。

複合療法

現在、転移性腎臓がんの一次治療では、免疫チェックポイント阻害薬と分子標的薬の組み合わせ、あるいは異なる免疫チェックポイント阻害薬の組み合わせが標準的な治療として用いられています。

例えば、ニボルマブとカボザンチニブの併用療法、ペムブロリズマブとアキシチニブの併用療法、ニボルマブとイピリムマブの併用療法などが、臨床試験で高い有効性が示されており、実臨床でも広く使用されています。

サイトカイン療法

インターフェロンやインターロイキン-2などのサイトカイン療法は、以前は転移性腎臓がんの標準治療でしたが、現在では分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の登場により、使用される機会は少なくなっています。

外科的治療

転移巣が限られている場合や、症状を緩和する目的で、転移巣の切除手術が検討されることがあります。また、原発巣である腎臓の腫瘍を取り除く腎摘除術が、薬物療法と組み合わせて行われることもあります。

放射線治療

骨転移や脳転移による症状緩和のために、放射線治療が行われることがあります。特に骨転移による痛みの軽減や、脊髄圧迫症状の改善に有効です。

転移性腎臓がんの余命

転移性腎臓がんと診断された場合の予後は、リスク分類、使用する治療法、患者さんの全身状態などによって大きく異なります。

サイトカイン療法が主流だった時代のデータでは、Motzerスコアの良好リスク群で生存期間中央値が約20カ月、中間リスク群で約10カ月、プアリスク群で約4カ月とされていました。

しかし、分子標的薬の登場により、これらの数値は改善しました。さらに近年、免疫チェックポイント阻害薬や複合療法が導入されたことで、予後はさらに向上しています。

最近の臨床試験のデータでは、免疫チェックポイント阻害薬と分子標的薬の併用療法により、良好リスク群や中間リスク群の患者さんでは、生存期間中央値が40カ月以上に達するケースも報告されています。プアリスク群でも、以前と比較して予後が改善している傾向が見られます。

ただし、これらの数値はあくまで統計的なデータであり、個々の患者さんの経過は様々です。治療への反応性、副作用の程度、合併症の有無などによって、実際の経過は異なります。

転移性腎臓がんの治療における注意点

転移性腎臓がんの治療を受ける際には、いくつかの重要な点に注意が必要です。

副作用への対処

分子標的薬では、高血圧、手足症候群(手や足の皮膚の発赤や痛み)、下痢、疲労感などの副作用が現れることがあります。免疫チェックポイント阻害薬では、免疫関連の副作用として、皮膚炎、大腸炎、甲状腺機能異常、肝機能障害などが起こる可能性があります。

これらの副作用は、早期に発見して適切に対処することで、治療を継続しながらコントロールできる場合が多くあります。症状が現れたら、我慢せずに医療チームに相談することが大切です。

定期的な経過観察

治療中は、CT検査やMRI検査などの画像検査を定期的に行い、治療効果や病状の変化を確認します。また、血液検査で副作用や全身状態をチェックします。

生活の質の維持

治療を受けながらも、できるだけ日常生活の質を保つことが重要です。栄養状態の維持、適度な運動、十分な休息などに気を配ることで、治療を続ける体力を維持できます。

最新の治療研究動向

転移性腎臓がんの治療分野では、現在も新しい治療法の開発が進められています。

新規の免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬の開発が続いており、臨床試験が進行中です。また、既存の薬剤のより効果的な組み合わせ方法についても研究が進められています。

がん細胞の遺伝子変異や免疫状態を詳しく調べることで、個々の患者さんに最適な治療を選択する「個別化医療」の研究も進んでいます。

さらに、新しい作用機序を持つ薬剤の開発や、新規治療法の研究も行われており、将来的にはさらに治療選択肢が広がることが期待されています。

参考文献・出典情報

国立がん研究センター 腎がん(腎細胞がん)

日本腎臓学会

日本臨床腫瘍学会

日本癌治療学会

日本泌尿器科学会

国立がん研究センター がん情報サービス 腎細胞がん

American Cancer Society - Kidney Cancer

NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology - Kidney Cancer

PubMed - Renal Cell Carcinoma Treatment

Journal of Clinical Oncology - Kidney Cancer Research

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本村ユウジ
がん治療専門のアドバイザー・本村です。

私の仕事は【がん患者さんに正しい選択を伝えること】です。

「本村さん、おかげで元気になりました」

そんな報告が届くのが嬉しくて、患者さんをサポートしています。

→200通以上の感謝の声(これまでいただいた実際のメールを掲載しています)

しかし毎日届く相談メールは、

「医師に提案された抗がん剤が怖くて、手の震えが止まらない」

「腰がすこし痛むだけで、再発か?転移か?と不安で一睡もできなくなる」

「職場の人も家族さえも、ちゃんと理解してくれない。しょせんは他人事なのかと孤独を感じる」

こんな苦しみに溢れています。

年齢を重ねると、たとえ健康であっても、つらいことはたくさんありますよね。

それに加えて「がん」は私たちから、家族との時間や、積み重ねたキャリア、将来の夢や希望を奪おうとするのです。

なんと理不尽で、容赦のないことでしょうか。

しかしあなたは、がんに勝たねばなりません。

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