
こんにちは。がん専門のアドバイザー、本村ユウジです。
非小細胞肺がんの治療において、EGFR遺伝子変異陽性のタイプにはEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)という分子標的薬が使用されます。
中でもタグリッソ(一般名:オシメルチニブ)は、2026年現在、治療の中心的な薬剤として広く用いられています。
この記事では、タグリッソが使える患者さんの条件、期待できる効果と奏効率、副作用について、最新の情報を踏まえて解説します。
非小細胞肺がんとEGFR遺伝子変異
肺がんは大きく「小細胞肺がん」と「非小細胞肺がん」に分類されます。非小細胞肺がんは肺がん全体の約85%を占め、その中でEGFR遺伝子に変異がある患者さんは日本人では約40~50%、欧米人では約20%とされています。
EGFR遺伝子変異陽性のがんでは、チロシンキナーゼという酵素が異常に活性化しており、この酵素が発するシグナルによってがん細胞が増殖します。EGFR-TKIは、このチロシンキナーゼの働きを阻害することで、がん細胞の増殖を防ぐ薬です。
従来の抗がん剤のように毒性でがん細胞を殺すのではなく、遺伝子の働きにピンポイントで作用するため、全身の副作用が比較的軽微で、高い効果を発揮することが特徴です。
EGFR阻害薬の世代と開発の歴史
EGFR阻害薬は開発された時期によって「世代」が区分されています。2026年現在、以下の薬剤が承認されています。
| 薬剤名(一般名) | 世代 | 承認年 | 用法・用量 |
|---|---|---|---|
| イレッサ(ゲフィチニブ) | 第一世代 | 2002年 | 1日1回250mg 経口投与 |
| タルセバ(エルロチニブ) | 第一世代 | 2007年 | 1日1回150mg 経口投与 |
| ジオトリフ(アファチニブ) | 第二世代 | 2014年 | 1日1回40mg 経口投与 |
| ビジンプロ(ダコミチニブ) | 第二世代 | 2019年 | 1日1回45mg 経口投与 |
| タグリッソ(オシメルチニブ) | 第三世代 | 2016年 | 1日1回80mg 経口投与 |
タグリッソは第三世代のEGFR阻害薬として2016年に承認されました。当初はEGFR-TKI治療後の耐性に対する二次治療としてのみ使用できましたが、臨床試験の結果を受けて適応が拡大され、現在では以下の状況で使用されています。
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がん専門アドバイザー 本村ユウジ
タグリッソが使える患者さんの条件
1次治療(初回治療)としての使用
2018年8月、タグリッソはEGFR遺伝子変異陽性の手術不能または再発非小細胞肺がんに対する1次治療(初回治療)として承認されました。現在では、EGFR遺伝子変異陽性と診断された患者さんに対して、最初の治療からタグリッソを使用することが標準治療となっています。
FLAURA試験という大規模な国際共同臨床試験において、タグリッソは従来の標準治療(イレッサまたはタルセバ)と比較して、無増悪生存期間(PFS)を18.9カ月と、対照群の10.2カ月より大幅に延長することが示されました。この結果により、病勢進行または死亡のリスクを54%減少させる効果が確認されています。
さらに、全生存期間(OS)においても、タグリッソ群は中央値38.6カ月、対照群は31.8カ月と、統計学的に有意な改善を示しました。
化学療法との併用治療
2024年6月には、タグリッソとペメトレキセド+白金製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)との併用療法も承認されました。FLAURA2試験の結果、併用療法はタグリッソ単剤と比較して、無増悪生存期間の中央値が25.5カ月(単剤群16.7カ月)と、さらに延長することが示されています。
この併用療法は、特に脳転移を有する患者さん、L858R変異陽性の患者さん、または予後不良の要因を抱える患者さんにとって、重要な治療選択肢となっています。
2次治療(EGFR-TKI耐性後)としての使用
イレッサ、タルセバ、ジオトリフなどの第一世代・第二世代のEGFR阻害薬を使用していた患者さんが、これらの薬剤に耐性を生じた場合、その耐性の原因を調べる必要があります。
耐性が生じる主なメカニズムの一つに「T790M変異」という二次的な遺伝子変異があり、耐性が生じた患者さんの約50~60%がこのパターンに該当します。タグリッソは、このT790M変異を有する患者さんに対して効果を発揮するように設計されています。
2次治療としてタグリッソを使用する場合の流れは以下のようになります。
- イレッサ、タルセバ、ジオトリフなどの第一世代・第二世代EGFR-TKIを使用
- これらの薬が効かなくなる(耐性が生じる)
- なぜ効かなくなったのか、再生検(リバイオプシー)して調べる
- T790M変異陽性と診断されればタグリッソが使用可能
術後補助療法としての使用
2022年8月には、完全切除後の病期IB~IIIA期(TNM分類第7版)のEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんに対する術後補助療法としても承認されました。ADAURA試験において、術後にタグリッソを投与することで、病勢進行または死亡のリスクを著しく低減することが示されています。
根治的化学放射線療法後の維持療法
2025年5月には、EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な局所進行(ステージIII)非小細胞肺がんに対する根治的化学放射線療法後の維持療法としての適応も追加されました。LAURA試験において、タグリッソは無増悪生存期間の中央値を39.1カ月(プラセボ群5.6カ月)まで延長し、病勢進行または死亡のリスクを84%減少させることが示されています。
タグリッソを使用するための検査方法
EGFR遺伝子変異検査
タグリッソを使用するためには、まずEGFR遺伝子変異の有無を調べる必要があります。初回診断時には、がん組織を用いた検査が基本となります。
検体は、気管支肺生検、CTガイド下肺生検などの方法で原発巣や転移巣から採取します。また、胸水、腹水、髄液などからも採取できる場合があります。
T790M変異検査(2次治療の場合)
第一世代・第二世代のEGFR-TKIによる治療後に耐性が生じた場合、T790M変異の有無を調べるための再生検(リバイオプシー)が必要です。
再生検には以下の2つの方法があります。
組織・細胞診による検査
がん組織を採取して検査する方法です。確実な診断が可能ですが、がんの進行により生検が困難な場合もあります。組織検体による検査では、T790M変異の検出率は約40%とされています。
リキッドバイオプシー(血液検査)
血液中に流れ出たがん細胞由来のDNA(ctDNA)を検出して調べる方法です。2016年12月に承認され、組織採取が困難な患者さんでも検査が可能になりました。
血液検査は患者さんへの負担が少ないという利点がありますが、血液検体によるT790M変異の検出率は約20%と、組織検体よりも低いことが報告されています。このため、実診療では、まず血液検査を行い、陰性であった場合に組織検査を行うという流れが推奨されています。
2020年の診療報酬改定により、リキッドバイオプシーによるEGFR遺伝子検査は、診断時に1回、再度治療法を選択する場合に2回、計3回まで実施できるようになりました。
タグリッソの効果と奏効率
1次治療としての効果
FLAURA試験の結果から、1次治療としてタグリッソを使用した場合の効果は以下の通りです。
| 評価項目 | タグリッソ群 | 対照群(イレッサ/タルセバ) |
|---|---|---|
| 客観的奏効率(ORR) | 80% | 76% |
| 無増悪生存期間(PFS)中央値 | 18.9カ月 | 10.2カ月 |
| 奏効持続期間中央値 | 17.2カ月 | 8.5カ月 |
| 全生存期間(OS)中央値 | 38.6カ月 | 31.8カ月 |
タグリッソは、従来の標準治療と比較して、無増悪生存期間を約8.7カ月延長し、全生存期間も約6.8カ月延長することが示されています。
化学療法併用時の効果
FLAURA2試験において、タグリッソと化学療法の併用は以下の効果を示しました。
| 評価項目 | タグリッソ+化学療法併用群 | タグリッソ単剤群 |
|---|---|---|
| 客観的奏効率(ORR) | 83% | 76% |
| 無増悪生存期間(PFS)中央値 | 25.5カ月 | 16.7カ月 |
| 奏効持続期間(DOR)中央値 | 24カ月 | 15.3カ月 |
| 24カ月無増悪生存率 | 57% | 41% |
併用療法は単剤療法と比較して、病勢進行または死亡のリスクを38%減少させることが確認されています。2025年7月には、全生存期間(OS)においても統計学的に有意な改善が認められたことが発表されました。
T790M変異陽性の2次治療としての効果
EGFR-TKI治療後にT790M変異陽性となった患者さんに対するタグリッソの効果は、複数の臨床試験で確認されています。
AURA試験シリーズの結果では、客観的奏効率(ORR)は約61~71%、無増悪生存期間(PFS)の中央値は約10~11カ月と報告されています。これは、T790M変異陽性の患者さんの約6~7割に腫瘍縮小効果が期待できることを示しています。
脳転移への効果
タグリッソの重要な特徴の一つは、中枢神経系(脳)への移行性が高いことです。FLAURA試験において、タグリッソは脳転移のある患者さんの病勢進行または死亡のリスクを52%減少させることが示されました。
非小細胞肺がんでは脳転移が起こりやすく、従来のEGFR-TKIでは脳転移に対する効果が限定的でしたが、タグリッソは脳転移に対しても高い効果を発揮することが確認されています。
タグリッソの副作用と安全性
主な副作用
タグリッソは従来のEGFR阻害薬と比較して、副作用が軽微であることが特徴です。FLAURA試験において、グレード3以上の有害事象の発現率は、タグリッソ群で34~42%、対照群で45~47%でした。
タグリッソ単剤療法で報告されている主な副作用とその発現率は以下の通りです。
| 副作用 | 全グレード発現率 | グレード3以上発現率 |
|---|---|---|
| 下痢 | 58~60% | 2~3% |
| 発疹 | 58~59% | 1~2% |
| 爪の障害 | 39% | 1%未満 |
| 皮膚の乾燥 | 36~38% | 1% |
| 口内炎 | 29% | 1%未満 |
| 倦怠感 | 21% | 2~3% |
| 食欲減退 | 20% | 2~3% |
従来のEGFR阻害薬で頻度が高かった重度の発疹は、タグリッソでは発現率が低く、グレード3以上の重度の発疹はわずか1%程度です。
重大な副作用
頻度は高くありませんが、注意が必要な重大な副作用として以下が報告されています。
間質性肺疾患(間質性肺炎)
日本人患者さんにおける間質性肺疾患の発現率は約6~7%とされています。間質性肺炎を含む薬剤性肺障害の発現率は、全集団よりも日本人で高い傾向があることが報告されています。
また、免疫チェックポイント阻害剤の投与歴がある場合や、根治的化学放射線療法後にタグリッソを投与する場合には、放射線肺臓炎を含む薬剤性肺障害の発現率が高くなる可能性があることが指摘されています。
治療開始前には必ず胸部CT検査と問診を行い、間質性肺疾患の合併または既往歴がないことを確認する必要があります。また、治療初期は入院またはそれに準ずる管理下で、慎重な観察が求められます。
その他の重大な副作用
- QT延長:心電図でQT間隔が延長することがあります
- 肝機能障害:肝機能検査値の上昇が見られることがあります
- 骨髄抑制:白血球減少、血小板減少などが起こることがあります
これらの副作用に対しては、定期的な検査によるモニタリングが重要です。
副作用への対応
副作用の程度に応じて、以下の対応が取られます。
- 休薬:副作用が改善するまで一時的に服用を中止します
- 減量:80mgから40mgへ減量します
- 中止:重度の副作用が継続する場合は治療を中止します
FLAURA試験において、有害事象による治療中止率は、タグリッソ群で15~18%と対照群と同等かそれ以下でした。多くの患者さんが適切な管理のもとで治療を継続できています。
タグリッソの用法と用量
タグリッソは1日1回、80mgを経口投与する薬です。食事の有無にかかわらず服用できますが、毎日同じ時間に服用することが推奨されています。
服用を忘れた場合は、気づいた時点で服用します。ただし、次の服用時間まで12時間以内の場合は、その回をスキップし、次の定時に1回分のみ服用します。2回分をまとめて服用してはいけません。
術後補助療法として使用する場合は、投与期間は36カ月間(3年間)までとされています。
タグリッソの薬価と医療費
薬価
2026年現在、タグリッソの薬価は以下の通りです。
- タグリッソ錠40mg:1錠あたり約4,835円
- タグリッソ錠80mg:1錠あたり約9,670円
1日1回80mgを服用する場合、1カ月(30日分)の薬価は約290,100円となります。これに診察料、検査料などが加わるため、実際の医療費総額は月額約30万円以上になります。
なお、タグリッソは市場拡大再算定の対象となり、2023年6月に薬価が約10.5%引き下げられました。これは、販売額が1000億円を超えたことによる特例拡大再算定です。
高額療養費制度の適用
タグリッソは保険適用の薬剤であり、高額療養費制度を利用することで、患者さんの自己負担額を抑えることができます。
高額療養費制度では、1カ月の医療費が一定額を超えた場合、超えた分が払い戻される制度です。自己負担限度額は、年齢や所得によって異なります。
例えば、70歳未満で年収約370~770万円の方(区分ウ)の場合、1カ月の自己負担限度額は以下の計算式で求められます。
80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
月の総医療費が100万円の場合、自己負担限度額は約87,400円となります。
さらに、同じ世帯で過去12カ月以内に3回以上、高額療養費の支給を受けている場合は、4回目からは「多数該当」となり、自己負担限度額が44,400円にまで軽減されます。
高額療養費制度を利用することで、実質的な月々の負担額は、所得区分にもよりますが、おおよそ3万~10万円程度に抑えることができます。
医療費助成制度
高額療養費制度以外にも、以下のような医療費助成制度があります。
- 各自治体の医療費助成制度
- がん患者団体による支援制度
- 製薬会社による患者支援プログラム
これらの制度については、医療ソーシャルワーカーや病院の相談窓口で詳しい情報を得ることができます。
タグリッソの耐性と今後の治療
タグリッソへの耐性
タグリッソは高い効果を発揮する薬ですが、他のEGFR阻害薬と同様に、使い続けるうちに耐性が生じることがあります。1次治療として使用した場合、無増悪生存期間の中央値は18.9カ月(化学療法併用では25.5カ月)であり、1年半~2年程度で効果が薄れる可能性があります。
タグリッソに対する耐性メカニズムは複数あり、主なものとして以下が報告されています。
- EGFR遺伝子のC797S変異
- 他の遺伝子(MET、HER2など)の増幅
- 融合遺伝子の形成
- 小細胞肺がんへの組織学的変化
耐性後の治療選択肢
タグリッソに耐性が生じた場合、次の治療として以下の選択肢があります。
- 化学療法(プラチナ製剤+ペメトレキセドなど)
- 免疫チェックポイント阻害剤
- 新しい分子標的薬(開発中のものを含む)
- 臨床試験への参加
現在、タグリッソ耐性後の治療法を改善するため、様々な新薬や併用療法の臨床試験が進行中です。
タグリッソ使用時の注意点
定期的な検査とモニタリング
タグリッソによる治療中は、以下の検査を定期的に受ける必要があります。
- 血液検査(肝機能、腎機能、血球数など):2~4週ごと
- 胸部CT検査:2~3カ月ごと
- 心電図検査:必要に応じて
これらの検査により、副作用の早期発見や治療効果の評価を行います。
薬物相互作用
タグリッソは主に肝臓の酵素CYP3A4で代謝されるため、以下の薬剤との併用には注意が必要です。
- CYP3A4阻害剤(イトラコナゾール、リトナビルなど):タグリッソの血中濃度が上昇する可能性
- CYP3A4誘導剤(リファンピシン、カルバマゼピンなど):タグリッソの血中濃度が低下する可能性
- 制酸剤:タグリッソの吸収が低下する可能性があるため、服用間隔を空ける
他の薬を服用している場合は、必ず医師に伝えてください。
妊娠・授乳中の使用
タグリッソは妊婦または妊娠している可能性のある女性には投与できません。また、授乳中の使用も避けるべきとされています。
妊娠可能な女性および妊娠可能な女性のパートナーを有する男性は、治療中および治療終了後6週間は適切な避妊を行う必要があります。
治療方針の選択について
EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんと診断された場合、治療方針は病期や患者さんの状態によって異なります。
早期肺がん(手術可能)
完全切除が可能な早期肺がんの場合、手術後の術後補助療法としてタグリッソを3年間服用することで、再発リスクを大幅に低減できることが示されています。
局所進行肺がん(切除不能)
切除不能なステージIIIの場合、根治的化学放射線療法を行った後、タグリッソによる維持療法を行うことが推奨されています。
進行・転移肺がん
手術不能または転移のある進行肺がんの場合、以下の選択肢があります。
- タグリッソ単剤療法
- タグリッソ+化学療法(ペメトレキセド+プラチナ製剤)併用療法
単剤療法と併用療法のどちらを選択するかは、患者さんの状態、がんの特性、副作用のリスクなどを考慮して、担当医と相談して決定します。
併用療法は、脳転移がある場合やL858R変異陽性の場合など、予後不良因子を有する患者さんでより大きな効果が期待できるとされています。一方で、副作用の頻度は高くなるため、患者さんの体力や希望も重要な判断材料となります。
患者さんが知っておくべきこと
EGFR遺伝子検査の重要性
タグリッソを含むEGFR阻害薬を使用するためには、EGFR遺伝子変異の有無を調べる検査が必須です。非小細胞肺がんと診断されたら、できるだけ早い段階でEGFR遺伝子検査を受けることが推奨されます。
検査費用は保険適用となり、患者さんの負担は数千円程度です。
セカンドオピニオンの活用
タグリッソを含む肺がん治療は、近年めざましい進歩を遂げており、治療選択肢も多様化しています。自分に最適な治療を選択するために、必要に応じてセカンドオピニオンを受けることも検討してください。
患者支援団体の活用
肺がん患者さんやご家族を支援する団体がいくつかあります。これらの団体では、治療に関する情報提供、医療費の相談、患者さん同士の交流の場などを提供しています。
- 日本肺がん患者連絡会
- 肺がん患者会ワンステップ
- 各地域の患者会
生活の質(QOL)の維持
タグリッソは経口薬で副作用も比較的軽微なため、多くの患者さんが日常生活を維持しながら治療を続けることができます。
治療中も、できる範囲で以下のことを心がけることが推奨されます。
- バランスの取れた食事
- 適度な運動
- 十分な休息
- 禁煙(喫煙は肺がんの予後を悪化させます)
- 心理的なサポートの活用
今後の展望
タグリッソを中心としたEGFR陽性肺がんの治療は、今後も進化が続くと期待されています。
新たな併用療法の開発
タグリッソと他の薬剤の併用療法について、さまざまな臨床試験が進行中です。特に、耐性を克服するための併用療法や、より効果的な治療戦略の開発が期待されています。
バイオマーカーに基づいた治療選択
リキッドバイオプシーなどの技術進歩により、血液検査で簡便に遺伝子変異をモニタリングできるようになってきています。これにより、耐性の早期発見や、個々の患者さんに最適な治療の選択がより精緻に行えるようになると期待されています。
新世代のEGFR阻害薬
タグリッソ耐性後に効果を示す、より新しい世代のEGFR阻害薬の開発も進められています。これらの新薬により、EGFR陽性肺がんの予後はさらに改善すると期待されています。
タグリッソの登場により、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんの治療は大きく前進しました。現在では、診断された時点から適切にタグリッソを使用することで、多くの患者さんが長期にわたって病勢をコントロールし、良好な生活の質を維持できるようになっています。
ただし、治療方針は個々の患者さんの状況によって異なります。担当医とよく相談し、自分に最適な治療を選択することが大切です。
参考文献・出典情報
- 日本肺癌学会「肺癌診療ガイドライン2024年版」
https://www.haigan.gr.jp/ - 日本肺癌学会バイオマーカー委員会「肺癌患者におけるバイオマーカー検査の手引き」
https://www.haigan.gr.jp/modules/guideline/ - 国立がん研究センター がん情報サービス「肺がん」
https://ganjoho.jp/public/cancer/lung/ - アストラゼネカ タグリッソ適正使用ガイド
https://www.astrazeneca.co.jp/ - 医薬品医療機器総合機構(PMDA) タグリッソ添付文書・インタビューフォーム
https://www.pmda.go.jp/ - Soria JC, et al. N Engl J Med. 2018;378(2):113-125. (FLAURA試験)
https://www.nejm.org/ - Ramalingam SS, et al. N Engl J Med. 2020;382(1):41-50. (FLAURA試験OS解析)
https://www.nejm.org/ - Planchard D, et al. N Engl J Med. 2023;389(2):137-147. (FLAURA2試験)
https://www.nejm.org/ - Lu S, et al. N Engl J Med. 2024;390(10):923-937. (LAURA試験)
https://www.nejm.org/ - がん情報サイト「オンコロ」タグリッソ(オシメルチニブ)
https://oncolo.jp/drug/tagrisso