
こんにちは。がん専門のアドバイザー、本村ユウジです。
秋から冬にかけて旬を迎えるサツマイモは、日本人にとって身近な食材です。近年、サツマイモに含まれる成分とがん予防の関係について研究が進められています。
この記事では、サツマイモに含まれる栄養成分と抗がん作用について、2026年時点の最新情報をもとに詳しく解説します。
サツマイモの基本的な特徴と旬の時期
サツマイモの旬は9月から12月にかけてです。収穫後2〜3か月ほど貯蔵することで、でんぷんが糖に変わり甘みが増します。このため、出荷量が多くなるのは秋から冬にかけての時期となります。
主成分は炭水化物で、果糖やブドウ糖などを含み、体を動かすためのエネルギー源となります。日本では鹿児島県から広まったことから「さつまいも」と呼ばれるようになりました。
品種によって色や食感が異なり、一般的な黄金色のものに加えて、βカロテンが豊富なオレンジ色の品種(安納芋など)や、アントシアニンを多く含む紫芋などがあります。
サツマイモに含まれる抗がん成分と研究データ
ガングリオシドとがん細胞増殖抑制作用
尚絅学院大学の研究では、人間の子宮頸部がん細胞と皮膚がん細胞を培養したものに、サツマイモのしぼり汁を加えたところ、がんの増殖が5分の1以下に抑えられたという報告があります。
この作用は、サツマイモのしぼり汁に含まれているガングリオシドという糖脂質に、がん細胞の増殖を抑える作用があるためと考えられています。ガングリオシドは、がん細胞の増殖抑制だけでなく、がん細胞の分化を促進することで抗がん作用を示すことが研究で明らかになっています。
サツマイモには葉・蔓・茎および地下茎のすべての部位にこの成分が分布しており、特に抽出・精製された画分は血清蛋白質を含む培地でも有効に働くことが確認されています。
βカロテンの抗酸化作用とがん予防
サツマイモにはβカロテンが含まれています。特にオレンジ色の品種(安納芋、にんじん芋など)には豊富に含まれており、100gあたり23マイクログラム(一般的な品種)から、品種によってはそれ以上の含有量があります。
βカロテンは体内で必要に応じてビタミンAに変換されるだけでなく、それ自体が強い抗酸化作用を持っています。ハーバード大学の公衆衛生大学院の研究によれば、βカロテンを多く含む食事は前立腺がんのリスクを最大で40%低減させたという結果が報告されています。
抗酸化作用とは、体内で発生する活性酸素を抑制し、細胞の酸化ダメージを防ぐ働きのことです。紫外線、喫煙、ストレス、疲労などによって体内に過剰に発生した活性酸素は、老化や動脈硬化といった生活習慣病を引き起こすと考えられており、βカロテンはこの活性酸素の働きを抑えることで、がんをはじめとする生活習慣病の予防に寄与する可能性があります。
ビタミンCとビタミンEの相乗効果
サツマイモはいも類でトップクラスのビタミンC含有量を誇ります。100gあたり25〜29mgのビタミンCを含み、りんごの約5倍以上です。
重要な特徴として、サツマイモのビタミンCはでんぷんに守られているため、加熱しても壊れにくいという性質があります。一般的に、ビタミンCは熱に弱い栄養素として知られていますが、サツマイモの場合は蒸した後でも100gあたり20mgのビタミンCが残ります。
ビタミンCには、がんの発生原因の1つである活性酸素の発生を抑制する効果が期待できます。また、ビタミンEも1.6mg含まれており、これも抗酸化作用を持つ栄養素です。
サツマイモは、抗酸化ビタミンと呼ばれるビタミンC、ビタミンEを同時に摂取できる食材です。これらの抗酸化ビタミンを一緒に摂取することで相乗効果が高まり、抗酸化力がアップすると考えられています。
ポリフェノール(クロロゲン酸)の働き
サツマイモに含まれるポリフェノールは主にクロロゲン酸です。サツマイモのポリフェノール量は平均228mg/100gで、これはコーヒー1杯あたりのクロロゲン酸量(55〜240mg)に匹敵する量です。
クロロゲン酸には抗酸化作用があり、糖吸収遅延や脂肪の蓄積を抑える効果も知られています。サツマイモは表皮から5mmほどの部分に全体量の約80%のポリフェノールが含まれているため、調理する際には皮つきのまま食べるのが効果的です。
紫芋に含まれるアントシアニン
紫芋には、強い抗酸化力を持つアントシアニンが豊富に含まれています。サツマイモに含まれるアントシアニンの数は16種類以上と多く、そのうち8種類が主要なアシル化アントシアニンです。
アシル化アントシアニンは熱や光に対して安定しているため、他の植物のアントシアニンに比べると高い効果が期待できます。抗酸化作用のほか、肝機能軽減作用などの生体調節作用も認められています。
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サツマイモの主な栄養成分
日本食品標準成分表2020年版(八訂)に基づく、サツマイモ(皮なし、生)100gあたりの主な栄養成分は以下のとおりです。
| 栄養成分 | 含有量(100gあたり) | 主な働き |
|---|---|---|
| エネルギー | 126〜134 kcal | 体を動かすエネルギー源 |
| たんぱく質 | 1.2 g | 体を作る材料 |
| 脂質 | 0.2 g | エネルギー源、細胞膜の構成 |
| 炭水化物 | 31.5 g | 主要なエネルギー源 |
| 食物繊維(総量) | 2.3〜3.8 g | 腸内環境の改善、便秘予防 |
| カリウム | 470 mg | ナトリウムの排出、血圧調整 |
| カルシウム | 40 mg | 骨や歯の形成 |
| マグネシウム | 24〜25 mg | 酵素の活性化、骨の健康 |
| リン | 46 mg | 骨や歯の構成成分 |
| 鉄 | 0.7 mg | 赤血球の形成 |
| βカロテン | 23 μg | 抗酸化作用、ビタミンA源 |
| ビタミンE | 1.6 mg | 抗酸化作用 |
| ビタミンB1 | 0.11 mg | 糖質の代謝 |
| ビタミンB2 | 0.03 mg | 脂質の代謝 |
| ナイアシン | 0.8 mg | エネルギー代謝 |
| ビタミンB6 | 0.28 mg | たんぱく質の代謝 |
| 葉酸 | 49 μg | 細胞分裂、DNA合成 |
| パントテン酸 | 0.96 mg | エネルギー代謝 |
| ビタミンC | 25〜29 mg | 抗酸化作用、コラーゲン生成 |
サツマイモは、炭水化物が主成分でありながら、ビタミンやミネラルを豊富に含むことから「準完全栄養食」と呼ばれることもあります。
サツマイモに含まれる特有成分ヤラピン
サツマイモを切ったときに出てくる白い液体は「ヤラピン」という成分です。古くから緩下剤としての効果があることで知られており、食物繊維との相乗効果で腸の働きを活発にし、便秘の予防や解消に有効です。
この成分はサツマイモ特有のもので、他のいも類には含まれていません。
栄養を効果的に摂取する調理方法
加熱調理のポイント
サツマイモに含まれるビタミンCは、でんぷんに守られているため加熱しても壊れにくいという特徴があります。蒸す、焼く、煮るなど、さまざまな調理方法で栄養を摂取できます。
時間をかけてゆっくり加熱する方が、酵素が働いて甘みが増します。焼き芋が甘いのは、βアミラーゼという酵素がよく働く温度(40〜50℃)を経てじっくり加熱されるためです。
皮ごと食べる利点
ポリフェノールの約80%は表皮から5mmほどの部分に含まれています。βカロテンやアントシアニンなどの抗酸化成分も皮の部分に多く含まれているため、可能な限り皮ごと調理して食べることをおすすめします。
油と一緒に摂取する工夫
βカロテンは脂溶性ビタミンのため、油と一緒に摂取すると吸収率が高まります。天ぷらにしたり、バターやオリーブオイルを少量使った料理にすることで、効率よく栄養を摂取できます。
良いサツマイモを選ぶポイントと保存方法
選び方のポイント
色が均一でムラがなく、ツヤがあるものを選びましょう。ヒゲ根が伸びているものは避けます。表面に傷やへこみがなく、しっかりとした重みがあるものが新鮮です。
保存方法
サツマイモは寒さに弱い野菜のため、冷蔵庫での保存は避けましょう。水がつくと腐りやすいので、密閉しないよう新聞紙などで包み、常温(13〜16℃程度)で保存します。
カットしたものはラップでしっかりと包んで冷蔵庫に入れ、できるだけ早めに使い切ることが大切です。
がん予防における食事の正しい理解
国立がん研究センターの見解
国立がん研究センターを中心とする研究グループは、日本人のがん予防にとって重要な「禁煙」「節酒」「食生活」「身体活動」「適正体重の維持」「感染」の6つの要因を取り上げ、「日本人のためのがん予防法」を定めています。
食生活に関する研究では、野菜と果物が食道がんのリスクをほぼ確実に下げること、食塩・塩蔵食品が胃がんのリスクをほぼ確実に上げることなどが明らかになっています。
バランスの良い食生活が基本
アメリカ国立がん研究センターが発表したデザイナーフーズピラミッドでは、がん予防効果のある食品約40種類がピックアップされています。これらの食品に共通する成分は「ファイトケミカル」と呼ばれる機能性成分で、強い抗酸化作用があるとされています。
ただし、特定の食品だけを過剰に摂取するのではなく、偏らずバランスよく食事をとることが重要です。国立がん研究センターの津金昌一郎センター長は、「がん予防にこだわり、特定の食品を過剰に摂取したり避けたりすると、予防効果がないばかりか何かしらの弊害が生じることが多い」と指摘しています。
サプリメントと食事からの摂取の違い
国際的な研究報告では、サプリメントで高用量のβカロテンを摂取すると肺がんのリスクが増加するという結果もあります。一方、食事から摂取する場合はがんや心血管疾患の予防も期待できるとされています。
これは、食品には単一の成分だけでなく、さまざまな栄養素や機能性成分が含まれており、それらが相互に作用することで健康効果を発揮するためと考えられています。
サツマイモの摂取量の目安
食物繊維の1日の摂取目標量は、女性18g以上、男性21g以上です。サツマイモ(皮付き、蒸し)100gあたりには3.8gの食物繊維が含まれています。
中サイズのサツマイモ1本(約200g)を食べることで、1日の食物繊維摂取目標量の約3分の1を摂取できます。ただし、サツマイモは炭水化物も多く含むため、主食やおやつとして適量を取り入れることが大切です。
がん患者さんの食事について
国立がん研究センター東病院の情報によれば、がん治療中の食事で最も重要なのは、食べることが「義務感」になり苦痛にならないようにすることです。
抗がん剤や放射線治療中は正常細胞へのダメージも強く、通常よりエネルギー量も必要ですが、3食にこだわらず体調の良い時間帯に食べられそうなものを口にすることが推奨されています。
サツマイモは消化がよく、エネルギー源として優れているため、がん患者さんの食事としても適しています。ただし、病状や治療内容によって食事制限がある場合もあるため、必ず主治医や栄養士に相談してください。
まとめ
サツマイモには、ガングリオシド、βカロテン、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなど、抗酸化作用を持つ成分が豊富に含まれています。これらの成分には、がん細胞の増殖抑制や活性酸素の除去など、がん予防に関連する作用があることが研究で示されています。
しかし、「食事でがんが治る」と考えるのは適切ではありません。がん予防において食生活は重要な要因の1つですが、それだけでがんを完全に防ぐことはできません。
大切なのは、サツマイモのような栄養価の高い食品を含めた、バランスの良い食生活を送ることです。禁煙、節酒、適度な運動、適正体重の維持といった総合的な生活習慣の改善が、がんのリスクを低くすることにつながります。
がんとの向き合い方について納得できる判断をするためには、正しい知識を持つことが必要です。
参考文献・出典情報
- 国立がん研究センター がん情報サービス「科学的根拠に基づくがん予防」
- 健康長寿ネット「がん予防のための食事とは」
- 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
- J-GLOBAL「サツマイモに分布するガン細胞の増殖抑制および分化を促進することで抗がん作用を示す糖脂質」
- Esquire「サツマイモを食べるべき8つのメリット」
- さつこいマガジン「穀物と野菜のいいとこどり!スーパーフード『さつまいも』の栄養価を知ろう」
- さつまいもアンバサダー協会「サツマイモの機能性、特有の栄養成分に注目しよう」
- わかさの秘密「さつまいも 成分情報」
- 国立がん研究センター東病院「がんと食事」
- 時事メディカル「食事でがんを予防できるか」