
こんにちは。がん専門のアドバイザー、本村ユウジです。
肝臓がんの治療において、ラジオ波焼灼術(RFA:radiofrequency ablation)は身体への負担が少ない有効な治療法として位置づけられています。
治療の成功には医師の技術と経験が重要な役割を果たします。この記事では、全国の治療実績が豊富な医療機関を地域別に紹介し、病院選びのポイントをお伝えします。
ラジオ波焼灼術とは
ラジオ波焼灼術は、超音波画像で観察しながら、直径約1.5ミリの電極針を皮膚から肝臓のがんに刺し、約450キロヘルツの高周波を流して熱を発生させ、がん細胞を死滅させる治療法です。
治療時間は1カ所あたり約8〜12分です。がんの大きさが2センチ以下であれば1回で治療が完了することもありますが、3センチ程度になると電極針の位置を変えて複数回焼灼する必要があります。
全身麻酔や開腹手術が不要なため、肝機能が低下している患者さんや高齢の患者さんでも治療を受けることができます。また、再発した場合でも繰り返し治療が可能です。
治療の適応基準と成績
| 項目 | 基準・実績 |
|---|---|
| 一般的な適応基準 | 腫瘍の大きさ3センチ以内、個数3個以内 |
| 肝機能の条件 | Child-Pugh分類でAまたはB |
| 5年生存率 | 約55〜60パーセント(施設により差あり) |
| 局所再発率(5年間) | 約3〜5パーセント |
| 治療時間 | 1カ所あたり約8〜12分 |
| 入院期間 | 1週間前後(施設により異なる) |
「自分の判断は正しいのか?」と不安な方へ
がん治療。
何を信じれば?
不安と恐怖で苦しい。
がん治療を左右するのは
治療法より“たった1つの条件”です。
まず、それを知ってください。
がん専門アドバイザー 本村ユウジ
関東地方の治療実績が豊富な施設
東京都
| 医療機関名 | 所在地 | 治療実績・特徴 |
|---|---|---|
| 東京大学医学部附属病院 消化器内科 |
東京都文京区 | 累計約10,600例(2018年末時点)の実績。単一施設として世界最多級。5年生存率約60パーセント、局所再発率5年間で3.2パーセント。重篤な合併症発生率2.7パーセント。 |
| 順天堂大学医学部 附属順天堂医院 |
東京都文京区 | 累計13,000例超の治療実績。5年生存率60.4パーセント(全国平均40.6パーセント)。人工腹水法・人工胸水法などの先進技術を導入。合併症発生率1.2パーセント。 |
| 三井記念病院 消化器内科 |
東京都千代田区 | 無痛ラジオ波焼灼療法を特徴とする。延べ約4,000件の治療経験(2024年4月時点)。合併症発生率約0.5パーセントと低い水準。透析患者の3年生存率84.7パーセント、5年生存率78.2パーセント。全国ランキング12位。 |
| 大森赤十字病院 消化器内科 |
東京都大田区 | 全穿刺回数3,902回の実績。合併症頻度1.5パーセント。日本肝臓学会専門医によるチーム医療を実施。3センチ以上の腫瘍にも対応。 |
| 武蔵野赤十字病院 消化器科 |
東京都武蔵野市 | 豊富な治療実績を持つ肝臓がん治療の基幹病院。新規薬物療法の研究開発にも携わる。 |
| 関東中央病院 消化器内科 |
東京都世田谷区 | 5年生存率51パーセント。豊富な治療経験を持つ医師が在籍。転移性肝がんにも積極的に対応。 |
| 聖路加国際病院 附属クリニック |
東京都中央区 | 延べ約4,000件(2024年4月時点)の無痛ラジオ波焼灼療法の実績。合併症発生率約0.5パーセント。転移性肝がんにも対応。 |
神奈川県
| 医療機関名 | 所在地 | 治療実績・特徴 |
|---|---|---|
| 渕野辺総合病院 内科 |
神奈川県相模原市 | 東大病院で国内第1号症例の治療に関わった医師が在籍。19年で4,000症例以上(2018年3月時点)の治療経験。95歳以上の高齢者にも対応可能。 |
中部地方の治療実績が豊富な施設
| 医療機関名 | 所在地 | 治療実績・特徴 |
|---|---|---|
| 名古屋セントラル病院 | 愛知県名古屋市 | 5年生存率55パーセント。硬膜外麻酔や吸入麻酔により痛みを軽減。16列マルチスライスCTで全方位の治療判定を実施。 |
関西地方の治療実績が豊富な施設
大阪府
| 医療機関名 | 所在地 | 主要医師 | 治療実績・特徴 |
|---|---|---|---|
| 近畿大学医学部 附属病院消化器内科 |
大阪府大阪狭山市 | 工藤正俊教授 | ラジオ波焼灼術に加え、肝動脈塞栓療法と分子標的薬・免疫チェックポイント阻害剤を組み合わせた先進的な治療を実施。世界規模の免疫療法の新薬治験を積極的に実施。Highly Cited Researchers(2019-2022年)に選出された世界的研究者が在籍。 |
| 大阪大学医学部 附属病院消化器内科 |
大阪府吹田市 | 竹原徹郎教授 | ラジオ波焼灼術や肝動脈塞栓療法、分子標的薬による集学的治療を提供。慢性肝炎に対する抗ウイルス薬治療にも注力。大阪府の肝疾患拠点病院として豊富な治療実績。 |
兵庫県
| 医療機関名 | 所在地 | 主要医師 | 治療実績・特徴 |
|---|---|---|---|
| 明和病院 消化器内科 |
兵庫県西宮市 | 大崎往夫医師(院長補佐・内科系診療部長) | 日本肝臓学会専門医制度認定施設として豊富な治療実績。肝炎ウイルス除去や肝硬変ケアにも注力。 |
合併症について理解する
治療にはリスクが伴います。主な合併症を理解しておくことが大切です。
| 合併症の種類 | 内容 |
|---|---|
| 出血 | 肝臓や肋間動脈からの出血。治療後24時間以内に起こりやすい |
| 肝膿瘍 | 焼灼した組織への細菌感染により発生 |
| 隣接臓器損傷 | 消化管、胆嚢、横隔膜、肺、心臓などの損傷 |
| 皮膚熱傷 | 対極板を貼る部分の皮膚の熱傷 |
| 門脈内血栓 | 門脈内の血液が凝固し、門脈を詰まらせる |
| 肝梗塞 | 焼灼により血管が閉塞し、肝臓の一部が壊死する |
重篤な合併症の発生率は施設により異なりますが、一般的に1〜3パーセント程度です。経験豊富な医師と設備の整った施設で治療を受けることで、リスクを最小限に抑えることができます。
病院選びのポイント
ラジオ波焼灼術は医師の技術に大きく依存する治療法です。以下の点を参考に病院を選ぶことをお勧めします。
| 選択基準 | 確認すべき内容 | 推奨される水準 |
|---|---|---|
| 年間症例数 | 施設全体の年間治療実績 | 年間100例以上が望ましい |
| 医師の経験 | 担当医師の累計治療経験 | 累計500例以上の経験が望ましい |
| 設備の充実度 | 造影超音波、フュージョンイメージング等の導入 | 先進技術を導入している施設を選ぶ |
| 合併症対応体制 | 緊急時の外科手術の可否 | 外科との連携体制が整っている施設を選ぶ |
| 特殊技術の有無 | 人工腹水・胸水法の実施可否 | 困難な位置のがんにも対応できる技術があると安心 |
| 合併症発生率 | 施設の合併症発生率 | 2パーセント以下が望ましい |
| 5年生存率 | 施設の治療成績 | 55パーセント以上が望ましい |
治療を受ける際の流れ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1. 外来受診 | 紹介状を持参すると診療がスムーズ。肝機能検査、CT・MRI検査、超音波検査を実施 |
| 2. 治療適応の判断 | がんの大きさ、個数、位置、肝機能の状態から治療の適応を判断 |
| 3. 入院 | 治療の数日前から入院(施設により異なる) |
| 4. 治療当日 | 朝から点滴開始。治療は30分〜2時間程度。治療後6時間は安静 |
| 5. 効果判定 | 治療翌日以降にCTで焼灼範囲を確認。必要に応じて追加治療 |
| 6. 退院 | 最短で治療後3日目。一般的に1週間前後 |
| 7. 経過観察 | 退院後2〜3週間で受診。その後は3〜4カ月間隔でCT・MRI検査 |
費用について
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 保険適用 | 2004年から保険適用。通常の保険診療として治療可能 |
| 概算費用(3割負担) | 入院費を含めて30万円〜50万円程度 |
| 高額療養費制度 | 自己負担額の上限が設定される。年齢や所得により異なる |
| その後の定期検査 | CT・MRI検査費用が3〜4カ月ごとに必要 |
ラジオ波焼灼術と他の治療法の比較
| 治療法 | 侵襲度 | 5年生存率 | 繰り返し治療 | 入院期間 |
|---|---|---|---|---|
| 外科手術(肝切除) | 大きい | 約60〜70% | 困難 | 2〜4週間 |
| ラジオ波焼灼術 | 小さい | 約55〜60% | 可能 | 1週間前後 |
| 肝動脈塞栓療法 | 中程度 | 約30〜50% | 可能 | 1〜2週間 |
まとめ
ラジオ波焼灼術は、身体への負担が少なく、繰り返し治療が可能な有効な肝臓がん治療法です。
治療の成功には医師の技術と経験が重要です。年間症例数が多く、経験豊富な医師が在籍し、先進的な設備を備えた医療機関を選ぶことが大切です。
この記事で紹介した施設は、いずれも豊富な治療実績を持つ医療機関です。ただし、治療実績は時期により変動する可能性があるため、受診の際は最新の情報を各医療機関に直接確認してください。
治療を検討する際は、主治医とよく相談し、ご自身の病状や肝機能、全身状態に応じた最適な治療法を選択してください。