2014年に、前立腺がんの治療薬に3つの新たな薬が加わりました。進行前立腺がんと闘う人にとっては、治療法の幅が広がったという点でプラスのニュースです。
しかし選択肢が増えた一方で、治療費が高額であることなど、別の問題も生じてきました。
新薬の薬価は、ホルモン製剤「エンザルタミド」と「アビラテロン酢酸エステル」は1カ月分の薬価はおよそ40万円、抗がん剤「カバジタキセル」は3週間に1度の投与で約60万円と、たいへん高額です。
健康保険が適用されるため本人負担は軽減され、高額療養費制度も使えるとはいえ、治療が長期間にわたれば、治療費が生活を圧迫しかねません。
国全体の医療費を考えると、このような高額な医療費を、健康保険制度のもとでいつまで続けていけるのかという問題も生じてきます。限られた国全体の医療費をどのように分配していくかという課題にもつながっています。
新薬は、早い時期から使って延命効果があるかどうか、まだわかっていません。これらの新しい治療薬については、従来の治療法を続けていて、効果がなくなってはじめて検討すべきだと筆者は考えています。治療効果と医療費という両面から考えて、使い始めるタイミングは、よく考える必要があるのです。
■進行前立腺がんの治療費(30日分。保険適用前)
・初回ホルモン治療薬
リュープロレリン酢酸塩(リュープリン)24,326円
ゴセレリン酢酸塩(ゾラデックス)22,734円
デガレリクス酢酸塩(ゴナックス)24,370円
ビカルタミド(カソデックス)27,312円
フルタミド(オダイン)26,361円
・骨治療薬
ゾレドロン酸(ゾメタ)33,176円
デノスマブ(ランマーク)46,445円
・化学療法薬
ドセタキセル(タキソテール)93,800円
カバジタキセル(ジェブタナ)593,096円
・新規ホルモン治療薬
アビラテロン酢酸エステル(ザイティガ)442,908円
エンザルタミド(イクスタンジ)376,656円