
こんにちは。がん治療専門アドバイザー、本村ユウジです。
子宮頸がんがステージ4と診断されると、患者さんやご家族は大きな不安を感じるものです。
しかし、ステージ4であっても治療の選択肢は複数あり、適切な治療を選ぶことで症状をコントロールし、生活の質を保ちながら治療を続けることが可能です。
この記事では、子宮頸がんステージ4の分類、治療法、生存率、転移の特徴、緩和ケアについて、2025年時点の最新情報をもとに解説します。
子宮頸がんステージ4とは
子宮頸がんのステージ4は、がんが子宮頸部から離れた臓器に広がった状態を指します。国際産婦人科連合(FIGO)の分類では、ステージ4はさらに4a期と4b期に分けられます。
ステージ4aとステージ4bの違い
ステージ4a期は、がんが膀胱や直腸の粘膜に直接浸潤している状態です。がんは骨盤内にとどまっていますが、隣接する臓器まで進展しています。
ステージ4b期は、がんが骨盤を越えて遠隔臓器に転移している状態です。肺、肝臓、骨など、離れた場所にがん細胞が広がっています。
| 分類 | がんの広がり | 主な特徴 |
|---|---|---|
| ステージ4a期 | 膀胱や直腸の粘膜への浸潤 | 骨盤内での進行、隣接臓器への直接浸潤 |
| ステージ4b期 | 遠隔臓器への転移 | 肺、肝臓、骨などへの転移、鼠径リンパ節転移を含む |
子宮頸がんステージ4で転移する場所
子宮頸がんステージ4では、がん細胞が血液やリンパの流れに乗って、体のさまざまな場所に転移します。転移しやすい臓器には特徴があります。
主な転移先
最も多い転移先は肺です。子宮頸がんの遠隔転移では、約30%から40%の患者さんに肺転移が見られます。肺転移は複数の小さな結節として現れることが多く、呼吸困難や咳などの症状が出る場合があります。
肝臓も転移の多い臓器です。肝臓に転移すると、腹部の不快感や黄疸、肝機能の低下が起こることがあります。
骨への転移も見られます。特に脊椎、骨盤骨、大腿骨などに転移しやすく、痛みや骨折のリスクが高まります。
リンパ節転移では、傍大動脈リンパ節や鼠径リンパ節への転移が確認されることがあります。これらのリンパ節が腫れると、下肢のむくみや痛みが生じる場合があります。
その他、腹膜播種や脳転移が起こることもありますが、これらは比較的まれです。
子宮頸がんステージ4の症状
ステージ4の子宮頸がんでは、がんの進行に伴ってさまざまな症状が現れます。症状の種類や強さは、がんの広がり方や転移の場所によって異なります。
原発巣からの症状
不正出血が続くことが多く、性交後や排便時の出血も見られます。おりものが増加し、悪臭を伴うこともあります。
骨盤内での腫瘍の増大により、下腹部や腰、骨盤の痛みが持続します。痛みは鎮痛剤で管理する必要が生じることもあります。
膀胱や直腸への浸潤による症状
ステージ4a期で膀胱に浸潤すると、頻尿、血尿、排尿時の痛みが出ます。直腸に浸潤すると、便秘、下痢、血便、排便困難などの症状が現れます。
遠隔転移による症状
肺に転移すると、咳、息切れ、胸痛などの呼吸器症状が出ます。肝臓に転移すると、腹部膨満感、食欲不振、黄疸が見られることがあります。
骨転移では、転移した部位に強い痛みが生じ、骨折のリスクが高まります。リンパ節転移による下肢のむくみは、患者さんの生活の質を低下させる要因となります。
全身症状
体重減少、倦怠感、発熱などの全身症状も現れます。がんの進行により体力が低下し、日常生活に支障をきたすこともあります。
子宮頸がんステージ4の治療手段
ステージ4の子宮頸がんでは、がんが広範囲に広がっているため、根治を目指す手術は基本的に困難です。治療の目的は、症状を緩和し、生活の質を維持しながら、可能な限りがんの進行を抑えることになります。
治療法は、がんの広がり方、患者さんの全身状態、年齢、希望などを総合的に考慮して選択されます。
化学療法
子宮頸がんステージ4の主要な治療法は化学療法です。抗がん剤を使ってがん細胞の増殖を抑え、腫瘍のサイズを縮小させることを目指します。
標準的な化学療法は、プラチナ製剤(シスプラチンやカルボプラチン)とタキサン系薬剤(パクリタキセル)の併用療法です。これらの薬剤を3週間から4週間ごとに投与するのが一般的なスケジュールです。
さらに、2014年以降、日本でもベバシズマブ(商品名アバスチン)という分子標的薬が使用できるようになりました。ベバシズマブは血管新生を阻害する薬で、化学療法と併用することで治療効果を高めることが期待されます。
化学療法単独で腫瘍が縮小した場合、後から手術が可能になるケースもあります。ただし、これは限られた症例であり、主治医との十分な相談が必要です。
放射線療法
放射線療法は、ステージ4aの患者さんで、骨盤内に病変が限局している場合に選択されることがあります。外部照射と腔内照射を組み合わせて行うことで、局所のがんをコントロールします。
放射線療法は、化学療法と同時に行う同時化学放射線療法として実施されることもあります。この方法は、放射線の効果を化学療法で増強することを目的としています。
ステージ4bで遠隔転移がある場合でも、骨転移による痛みや出血を緩和する目的で、緩和的放射線療法が行われることがあります。
姑息的手術
ステージ4では、がんを完全に取り除く根治手術は困難ですが、症状を軽減する目的で姑息的手術が行われることがあります。
姑息的手術とは、がんの根治を目指すものではなく、腫瘍量を減らして症状を改善し、その後の化学療法や放射線療法の効果を高めることを目的とした手術です。
具体的には、単純子宮全摘出術と両側付属器(卵巣と卵管)摘出術が行われます。これにより原発巣を取り除き、出血や痛みなどの症状を軽減します。
手術後は、化学療法や放射線療法を追加して、残存するがん細胞の制御を図ります。
ホルモン療法
子宮頸がんの一部のタイプでは、ホルモン受容体を持つものがあります。このような場合、黄体ホルモン療法が選択肢となることがあります。
ただし、子宮頸がんに対するホルモン療法の効果は限定的であり、主に類内膜腺がんなど特定の組織型で検討されます。
免疫チェックポイント阻害薬
2020年以降、子宮頸がんの治療に免疫チェックポイント阻害薬が使用できるようになりました。ペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)は、PD-L1陽性の進行・再発子宮頸がんに対して承認されています。
免疫チェックポイント阻害薬は、患者さん自身の免疫機能を活性化させてがん細胞を攻撃する治療法です。化学療法とは異なる作用機序を持つため、化学療法が効きにくくなった場合の選択肢として期待されています。
子宮頸がんステージ4の治療の組み合わせ
実際の治療では、複数の治療法を組み合わせることが一般的です。患者さんの状態やがんの進行度に応じて、以下のような治療が選択されます。
| 治療パターン | 内容 | 適用される主なケース |
|---|---|---|
| 化学療法単独 | 抗がん剤による治療、効果があれば手術を検討 | 遠隔転移があり手術が困難な場合 |
| 姑息的手術+化学療法 | 子宮と付属器の摘出後、抗がん剤治療 | 原発巣の症状が強く、手術が可能な全身状態 |
| 姑息的手術+放射線療法 | 子宮と付属器の摘出後、放射線治療 | 骨盤内病変が主体で局所制御が必要な場合 |
| 放射線療法単独 | 外部照射や腔内照射 | 手術が困難で骨盤内病変の制御が必要な場合 |
| 緩和ケア中心 | 症状緩和を目的とした治療 | 全身状態が低下している場合 |
日本では、姑息的手術に化学療法を組み合わせる治療が多く行われています。一方、欧米では放射線療法の役割が大きく、手術後に放射線療法を追加するアプローチも一般的です。
治療法の選択は、医療機関の方針や地域によっても異なるため、複数の医師の意見を聞くセカンドオピニオンも重要な選択肢となります。
子宮頸がんステージ4の生存率と余命
子宮頸がんステージ4の生存率は、がんの進行度や治療への反応によって大きく異なります。一般的な統計データを理解することは重要ですが、個々の患者さんの状況は統計では測れない部分も多くあります。
5年生存率のデータ
日本の全国がん登録データによると、子宮頸がんステージ4の5年相対生存率は約20%から25%程度とされています。この数値は、治療を受けた患者さんのうち、診断から5年後に生存している割合を示しています。
ステージ4aとステージ4bでは生存率に差があり、4a期の方が4b期よりも予後が良い傾向にあります。4a期では約30%から35%、4b期では約15%から20%程度の5年生存率が報告されています。
余命についての考え方
余命は統計的な平均値であり、個々の患者さんの経過を正確に予測するものではありません。治療への反応、全身状態、年齢、合併症の有無など、多くの要因が予後に影響します。
近年の治療の進歩により、ステージ4であっても長期生存する患者さんも増えています。特に、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の登場により、治療の選択肢が広がっています。
生存率に影響する要因
治療への反応が最も重要な要因です。化学療法や放射線療法でがんが縮小し、症状が改善する患者さんは、予後が良好な傾向にあります。
全身状態(パフォーマンスステータス)も重要です。日常生活を自立して送れる患者さんの方が、治療に耐えられる可能性が高く、予後も良好です。
転移の範囲や数も影響します。単一臓器への転移よりも、多臓器に広がっている場合の方が予後は厳しくなります。
組織型も予後に関係します。扁平上皮がんと腺がんでは、治療への反応や予後が異なることがあります。
子宮頸がんステージ4の完治の可能性
医学的に「完治」とは、がんが完全に消失し、再発の可能性がほぼない状態を指します。ステージ4の子宮頸がんでは、完治は困難とされていますが、長期間にわたってがんをコントロールし、通常の生活を送ることは可能です。
寛解という状態
完治が難しい場合でも、「寛解」という状態を目指すことができます。寛解とは、がんの症状や検査所見が消失し、病気の活動性が認められない状態です。
完全寛解は、画像検査や血液検査でがんの存在が確認できない状態を指します。部分寛解は、がんの大きさが縮小し、症状が改善した状態です。
寛解の状態が続けば、患者さんは日常生活を取り戻し、仕事や趣味を楽しむことができます。ただし、定期的な検査を継続し、再発の早期発見に努めることが重要です。
長期生存例
ステージ4であっても、適切な治療を受けて長期生存している患者さんは存在します。特に、化学療法が効果的だった場合や、限局した転移に対して集学的治療(手術、化学療法、放射線療法を組み合わせた治療)が成功した場合、長期の生存が得られることがあります。
また、新しい治療法の開発により、今後さらに予後が改善する可能性もあります。
緩和ケアの重要性
ステージ4の子宮頸がんでは、がんの治療と並行して緩和ケアを受けることが推奨されています。緩和ケアは、がんによる痛みや苦痛を和らげ、生活の質を向上させることを目的としています。
緩和ケアの内容
痛みのコントロールは緩和ケアの中心です。鎮痛剤(オピオイドなど)を適切に使用することで、がんによる痛みを軽減できます。痛みが軽減されることで、睡眠の質が向上し、日常生活の活動範囲が広がります。
吐き気や食欲不振に対しては、制吐剤や栄養サポートが提供されます。呼吸困難がある場合は、酸素療法や薬物療法で症状を和らげます。
精神的なサポートも重要です。不安や抑うつに対して、カウンセリングや心理療法、必要に応じて抗うつ薬や抗不安薬が処方されます。
緩和ケアチーム
緩和ケアは、医師、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー、心理士など多職種のチームで提供されます。患者さんとご家族の希望や価値観を尊重しながら、最善のケアを提供します。
在宅での緩和ケアを希望する場合は、訪問診療や訪問看護のサービスを利用することもできます。
早期からの緩和ケア
緩和ケアは、終末期だけでなく、診断の早期から開始することが推奨されています。がんの治療と並行して緩和ケアを受けることで、症状が軽減され、治療への耐性も高まることが研究で示されています。
子宮頸がんステージ4と向き合うために
ステージ4の診断は、患者さんとご家族にとって大きな衝撃です。しかし、適切な情報を得て、治療の選択肢を理解することで、前向きに病気と向き合うことができます。
主治医とのコミュニケーション
治療方針を決める際には、主治医との十分なコミュニケーションが不可欠です。治療の目的、期待される効果、副作用、代替案などについて、納得がいくまで説明を受けることが大切です。
疑問や不安があれば、遠慮せずに質問しましょう。家族や信頼できる人と一緒に診察を受けることも、情報を正確に理解するために有効です。
セカンドオピニオンの活用
治療法に迷った場合や、他の選択肢がないか確認したい場合は、セカンドオピニオンを受けることも一つの方法です。別の医師の意見を聞くことで、より納得のいく治療選択ができることがあります。
生活の質を保つ工夫
治療を受けながらも、できる範囲で日常生活を楽しむことが大切です。趣味や家族との時間を大切にし、心の健康を保つことが、治療の継続にもつながります。
栄養管理も重要です。食欲が低下している場合でも、少量ずつでも栄養価の高い食事を摂るよう心がけましょう。必要に応じて栄養士のサポートを受けることも有効です。
サポート体制の活用
がん相談支援センターや患者会など、サポート体制を活用することも助けになります。同じ病気を経験した人との交流は、精神的な支えとなることがあります。
経済的な問題がある場合は、ソーシャルワーカーに相談することで、利用できる制度や支援について情報を得ることができます。
まとめ
子宮頸がんステージ4は進行した状態ですが、化学療法、放射線療法、免疫療法、緩和ケアなど、さまざまな治療の選択肢があります。患者さん一人ひとりの状態に合わせた治療を選択することで、症状をコントロールし、生活の質を保ちながら治療を続けることが可能です。
治療の進歩により、ステージ4であっても長期生存する患者さんも増えています。
正しい情報を得て最善の選択することが、病気と向き合う第一歩となります。

