
こんにちは。がん専門のアドバイザー、本村ユウジです。
大阪府内で高精度放射線治療を検討されている患者さんから「サイバーナイフやトモセラピー、重粒子線治療が受けられる病院はどこですか」といったご質問を数多くいただきます。
放射線治療は手術と並ぶがん治療の主要な選択肢であり、近年では技術の進歩により、より正確で副作用の少ない治療が可能になっています。この記事では、大阪府内で利用できる最新の放射線治療施設について、導入時期、適応、実績などの情報をまとめています。
サイバーナイフ治療が受けられる大阪府内の主要施設
サイバーナイフは、体にメスを入れることなく、がんなどの病巣に多方向から放射線を集中照射する定位放射線治療装置です。ロボットアームが最大1,200の方向から正確に照射できるため、脳腫瘍だけでなく、体幹部の腫瘍にも対応できる点が特徴です。
吹田市:大阪大学医学部附属病院のサイバーナイフ
【所在地】大阪府吹田市山田丘2番15号
大阪大学医学部附属病院では、1998年からサイバーナイフによる治療を開始し、主に脳腫瘍・頭頸部腫瘍に対して定位放射線治療を行ってきました。2014年1月には新機種に更新され、呼吸追尾システムを搭載した装置となっています。
この呼吸追尾システムにより、患者さんの体内で呼吸により移動する照射ターゲットを、ロボットアームにて追尾しながら照射することが可能になりました。これにより、従来は困難だった体幹部の腫瘍治療にも対応できるようになっています。
対象疾患は、脳腫瘍、頭頸部腫瘍、肺がん、肝臓がん、前立腺がんです。前立腺がんに対するサイバーナイフ治療は2016年4月から健康保険の適用となりました。同院では適応となる以前から臨床試験として治療を行ってきた実績があります。
サイバーナイフによる治療依頼の受診については、同院放射線治療科へ直接紹介可能です。CTやMRI、PETCTなどの画像診断資料や腫瘍マーカーなどの血液検査データを紹介状に添付して受診することになります。
なお、大阪大学医学部附属病院には重粒子線治療や陽子線治療の設備はありませんが、これらの治療に関する専門の相談外来が設けられています。
高槻市:大阪医科薬科大学三島南病院
【所在地】大阪府高槻市玉川新町8番1号
大阪医科薬科大学三島南病院は、救急告示病院に指定されている病院で、一般病床123床、療養病床91床を有しています。
元記事では「大阪医科大学三島南病院サイバーナイフセンター」として紹介されていましたが、2021年に病院名称が「大阪医科薬科大学三島南病院」に変更されています。現在の診療科目には放射線科が含まれており、常勤換算で31名以上の医師が勤務しています。
サイバーナイフの適応としては、転移性脳腫瘍(肺がん・乳がんなどからの脳転移)、頭蓋骨や頭蓋底の腫瘍、頸椎・頸髄の腫瘍、耳鼻咽頭科領域の頭頸部腫瘍、眼球など眼科領域の腫瘍、口腔外科領域の腫瘍などが対象とされています。
受診を希望される場合は、現在の主治医に相談し、紹介状を準備したうえで同院へ連絡することになります。
トモセラピー治療が受けられる大阪府内の施設
トモセラピーは、CT装置のようにX線が患者さんの周りを回転しながら照射を行う強度変調放射線治療(IMRT)専用の装置です。360度あらゆる角度から、あらゆる形に、放射線の強度を変えながら照射することで、標的とする病変に集中して多くの放射線を照射することが可能です。
治療直前に装置本体でCT撮影を行い、照射位置のずれを三次元的に補正できるため、より精度の高い治療(画像誘導放射線治療:IGRT)を実現しています。
大東市:野崎徳洲会病院のトモセラピー
【所在地】大阪府大東市谷川2丁目10番50号
野崎徳洲会病院は、大阪府内で初めてトモセラピーを導入した施設として知られています。2011年10月よりトモセラピーを導入し、運用を開始しました。
放射線科には専門医である常勤医師1名、読影専任として4名の非常勤医師、そして18名の診療放射線技師が在籍しています。泌尿器科や放射線科、前立腺センターなどと連携し、トモセラピーを利用した治療を推進しています。
治療精度の向上をはかるため、内視鏡手術支援ロボット「ダヴィンチSi」も導入しており、複数の治療選択肢を提供できる体制を整えています。
大阪市北区:行岡(ゆきおか)病院のトモセラピー
【所在地】大阪府大阪市北区浮田2丁目2番3号
行岡病院は2014年に「行岡病院がん医療センター」を開設し、同時にトモセラピーを導入しました。大阪大学放射線科の協力を得て導入されたもので、脳腫瘍患者さんを中心にトモセラピーを用いた治療を積極的に行っています。
現センター長が脳神経外科の専門であることから、脳腫瘍への対応が治療全体の約80%を占めています。年間では約80症例をトモセラピーにて実施しており、肺がん、食道がん、前立腺がんなど体幹部への照射も実績があります。
行岡病院は、最後までがん患者さんに寄り添った治療や支援ができるよう、出来得る限りのサポートの提供に努めている病院です。がん治療を提供するにあたっては、外科療法や化学療法だけでなく、トモセラピーによる放射線治療をうまく活用し、根治治療から緩和ケアまで「がんの集学的治療」のさらなる展開を目指しています。
大阪市都島区:大阪市立総合医療センターのトモセラピー
【所在地】大阪市都島区都島本通2番13番22号
大阪市立総合医療センターは、2015年5月よりトモセラピーを稼働させています。同センターは日本医学放射線学会より認定放射線科専門医総合修練機関として認定されている医療機関です。
スタッフは全員が放射線治療を専門とする資格を持っている点が特徴で、強度変調放射線治療・画像誘導放射線治療専用のトモセラピーなど、複数の装置を有しています。症例ごとに適切な装置を選択できる体制を整えています。
その他の体外照射設備としてリニアック、ガンマナイフを保有しており、体外照射以外には小線源治療(前立腺がん、子宮頸がん)やRI治療(多発骨転移疼痛緩和)も実施可能です。
和泉市:和泉市立総合医療センター
和泉市立総合医療センターでもトモセラピー治療が実施されています。大阪府内でトモセラピーに対応している主要施設の一つとして、患者さんの受け入れを行っています。
「自分の判断は正しいのか?」と不安な方へ
がん治療。
何を信じれば?
不安と恐怖で苦しい。
がん治療を左右するのは
治療法より“たった1つの条件”です。
まず、それを知ってください。
がん専門アドバイザー 本村ユウジ
大阪府内の重粒子線治療施設
重粒子線治療は、炭素イオン線を用いた放射線治療で、エックス線や陽子線と比較してがん細胞を殺傷する効果が大きいとされています。従来の放射線治療に比べて正常組織への副作用が少なく、治療回数や日数も少なくすむため、仕事や日常生活を続けながら外来での治療が可能です。
大阪市中央区:大阪重粒子線センター
【所在地】大阪府大阪市中央区大手前3丁目1番56号
大阪重粒子線センターは、2018年3月に大阪国際がんセンター(大手前地区)の隣接地にオープンした、民設民営の重粒子線がん治療施設です。日本で6番目の重粒子線治療施設として、2018年10月から治療を開始しました。
重粒子線治療は、切らずに、痛みもなく、高齢者にもやさしい治療として注目されています。体内に入射した重粒子線は、ある深さまで体内組織にエネルギーをあまり与えず速い速度で駆け抜け、その途中で急に速度を落として多くのエネルギーを与え、線量のピークを作ったあと体内で停止します。
大阪重粒子線センターでは、重粒子線として炭素イオン線を採用しており、スキャニング照射方式を用いています。この方式は、細いビームを使用し、腫瘍の形状に合わせて正確に照射できる技術で、従来のブロードビーム照射方式と比較すると、周囲の正常な細胞への影響を抑えやすいとされています。
2019年12月末までに536名の治療実績があり、内訳は前立腺がん401名、頭頸部33名、肝臓がん30名、肺腫瘍25名、膵臓がん11名、骨軟部腫瘍10名、およびその他26名となっています。
2024年6月より、早期肺がん(Ⅰ期~ⅡA期)、局所進行子宮頸部扁平上皮がん(長径6cm以上)、婦人科領域の悪性黒色腫の3疾患が新たに公的医療保険適用となりました。
重粒子線治療の適応となる共通の条件として、以下の項目を満たすことが必要です。
| 条件項目 | 内容 |
|---|---|
| 病巣の状態 | 病巣(がん)が限局し、広範囲でないこと |
| 放射線治療歴 | 治療対象部位に、放射線治療を受けていないこと |
| 治療時の体位 | 30分間程度安静な状態で横になっていられること |
| 全身状態 | 治療開始時のPS(Performance Status)が0~2(KI60以上)であること |
| 感染症 | 照射予定領域に活動性で難治性の感染症を有しないこと |
| 治療への同意 | がんの告知を受け、重粒子線治療を自らの意思で希望していること |
大阪重粒子線センターの受診は完全予約制となっており、初診・セカンドオピニオンのご予約はいずれも同センターの医療連携担当が受け付けています。紹介元医療機関の(地域)医療連携室の担当者や看護師に予約申込をお願いする必要があります。
大阪府では「大阪府重粒子線治療費利子補給制度」を設けています。これは、大阪重粒子線センターで治療を受ける大阪府民(その家族等を含む)が、公的医療保険の適用を受けない重粒子線治療の照射技術料にかかる治療費を、大阪府が連携する金融機関の専用ローンで借り入れた場合、その利子分を大阪府が補助する仕組みです。
対象額は重粒子線治療に要する技術料350万円(上限)で、対象者は課税総所得600万円以下の世帯に属する府内在住の患者、または患者と同一世帯に属する者、患者の親族となっています。
大阪府内の陽子線治療施設
陽子線治療は、水素の原子核である陽子を加速して体内の腫瘍に照射する治療法です。陽子線も重粒子線と同様に、体内のある深さで止まる性質があり、正常組織への影響を抑えながら腫瘍に集中的に照射できます。
大阪市此花区:大阪陽子線クリニック(医療法人伯鳳会)
【所在地】大阪府大阪市此花区春日出中1丁目27番9号
大阪陽子線クリニックは、2017年9月に開設した陽子線治療を行うクリニックです。スキャニング照射を実施可能な陽子線治療装置とIMRT専用装置のトモセラピーの両方を備え、保険診療と先進医療を実施しています。
2018年4月より前立腺がんに対する陽子線治療は保険診療となり、高額療養費制度による自己負担の軽減が受けられるようになっています。全症例について、従来の標準治療であるIMRT(強度変調放射線治療)と線量分布を比較し、陽子線のメリットを目に見える形で説明した上で治療を提供しています。
適応症は、頭頸部腫瘍(脳腫瘍を含む)、肺・縦隔腫瘍、消化管腫瘍、肝胆膵腫瘍、泌尿器腫瘍、乳腺・婦人科腫瘍または転移性腫瘍(いずれも根治的な治療法が可能なものに限る)です。2017年11月1日から先進医療としての陽子線治療を実施しています。
受診には現在かかっている主治医からの紹介が必要です。まず陽子線治療を検討されていることを主治医に相談し、大阪陽子線クリニックまで連絡することになります。
大阪市内:大阪なんばクリニックでの陽子線治療相談
大阪なんばクリニックでは、陽子線治療に関するセカンドオピニオン診察を月1回行っています。診察は月1回の実施で、費用は30,000円(税別)となっています。
陽子線治療の有効性が確認されている代表的な疾患は、前立腺がん・肝がん・肺がん・頭蓋内病変・頭頸部腫瘍(副鼻腔がんなど)および眼腫瘍(ぶどう膜メラノーマなど)です。受診には現在かかっている主治医からの紹介が必要です。
各治療法の選択について
サイバーナイフ、トモセラピー、重粒子線、陽子線など、それぞれの治療法には独自の特徴がありますが、一概にどれが最も優れているとは言えません。がんの種類、部位、進行度、患者さんの全身状態などによって、最適な治療法は異なります。
サイバーナイフとトモセラピーは、どちらも高精度な放射線治療を可能にする装置で、同じような治療効果を出せるようになっています。ただし、ガンマナイフに関しては脳腫瘍に特化した治療器具となるため、その点には注意が必要です。
重粒子線治療と陽子線治療は、粒子線治療に分類され、従来のX線による放射線治療よりも正常組織への影響を抑えやすい特徴があります。ただし、すべての症例に適用できるわけではなく、適応判断には専門医による総合的な評価が必要です。
放射線治療の病院を選ぶときの大切なポイントの一つは、サイバーナイフ、トモセラピー、ノバリスといった高性能な放射線治療ができる機械を持っているかということです。これらの機械を持っていれば、機械の性能という面では安心できます。
その次に大切なことは、放射線治療を計画する医師の技術と経験です。放射線治療の計画の立て方は、医師の能力に大きく依存します。経験豊富な医師であれば、少しでも副作用が出ないよう、細心の配慮をした治療計画を立てることができます。
現在の主治医に相談する際には、放射線治療の選択肢について詳しく説明を求め、必要に応じて各治療施設でのセカンドオピニオンを受けることも検討すると良いでしょう。各施設では、患者さんの病状に応じて最適な治療法を提案してくれます。
受診から治療までの一般的な流れ
高精度放射線治療を受ける場合、一般的には以下のような流れになります。
まず、現在の主治医に相談し、放射線治療の適応があるかどうかを確認します。適応があると判断された場合、主治医から希望する治療施設への紹介状を書いてもらいます。このとき、CT・MRI・PET-CTなどの画像データ、病理検査結果、血液検査データなどを準備する必要があります。
次に、治療施設での初診となります。放射線腫瘍医が患者さんの病状を確認し、放射線治療の適否を判断します。この段階で、治療の方法、効果、考えられる副作用について詳しい説明を受けます。
治療が適応と判断された場合、治療計画の作成に入ります。CT撮影を行い、そのデータをもとにコンピューターを使った詳細な治療計画を作成します。この計画作成には数日から1週間程度かかることがあります。
治療計画が完成したら、実際の治療が始まります。1回の治療時間は装置によって異なりますが、概ね20分から1時間程度です。治療回数も病状によって異なり、1回から数十回まで幅があります。多くの場合、通院での治療が可能です。
治療終了後は、定期的な経過観察が必要です。画像検査(CT・MRI・PET)や採血などを実施し、治療部位の効果や副作用、新たな病変の有無を観察します。紹介元の医療機関と連携しながら、長期的なフォローアップを行います。
費用と保険適用について
放射線治療の費用は、治療の種類や保険適用の有無によって大きく異なります。
前立腺がんに対する陽子線治療や、一部の重粒子線治療は公的医療保険の適用となっており、高額療養費制度の利用により、自己負担額を軽減できます。高額療養費制度を利用すれば、所得に応じた上限額までの負担で済みます。
一方、保険適用外の先進医療として実施される場合、治療費の全額が自己負担となります。重粒子線治療の場合、照射技術料だけで300万円を超えることがあります。ただし、先進医療特約のある民間の医療保険に加入している場合、その給付金を利用できることがあります。
大阪府では、重粒子線治療に関して利子補給制度を設けており、経済的な負担を軽減する支援を行っています。また、小児がん患者さんに対しては別途助成制度も用意されています。
費用に関しては、各治療施設で詳しく説明を受けることができます。治療を検討する際には、事前に費用についても十分に確認し、経済的な準備を整えておくことが重要です。
まとめ:大阪府の高精度放射線治療の現状
大阪府内では、サイバーナイフ、トモセラピー、重粒子線、陽子線など、複数の高精度放射線治療を受けることができる環境が整っています。
サイバーナイフは大阪大学医学部附属病院や大阪医科薬科大学三島南病院などで実施されており、脳腫瘍から体幹部の腫瘍まで幅広く対応しています。トモセラピーは野崎徳洲会病院、行岡病院、大阪市立総合医療センターなど複数の施設で実施されています。
重粒子線治療は大阪重粒子線センターが2018年から治療を開始し、すでに多くの治療実績を積み重ねています。陽子線治療は大阪陽子線クリニックで受けることができ、保険診療と先進医療の両方に対応しています。
これらの治療法は、従来の放射線治療と比べて正常組織への影響を抑えながら、腫瘍に集中的に放射線を照射できる特徴があります。患者さんの体への負担が少ないため、高齢の方や持病のある方でも治療の対象となる可能性があります。
ただし、すべての患者さんにこれらの治療が適用できるわけではありません。がんの種類、部位、進行度、患者さんの全身状態などを総合的に判断して、最適な治療法を選択する必要があります。
放射線治療を検討される際には、まず現在の主治医に相談し、どのような治療選択肢があるのかを十分に理解することが大切です。必要に応じて、各治療施設でのセカンドオピニオンを受けることも検討しましょう。
参考文献・出典情報:
1. 大阪大学大学院医学系研究科 放射線治療学教室 サイバーナイフ
http://www.radonc.med.osaka-u.ac.jp/general_cyberknife.html
2. 大阪重粒子線センター公式サイト
https://www.osaka-himak.or.jp/
3. 公益財団法人 医用原子力技術研究振興財団「日本の粒子線治療施設の紹介」
https://www.antm.or.jp/information/clinic/
4. 医療法人伯鳳会 大阪陽子線クリニック公式サイト
https://www.hakuho.or.jp/opc/
5. 大阪府「重粒子線がん治療に対する患者支援事業」
https://www.pref.osaka.lg.jp/o100070/kenkozukuri/jyuuryuushi/index.html
6. 大阪医科薬科大学三島南病院公式サイト
https://www.ompummh.jp/
7. 大阪市立総合医療センター放射線治療科
8. 野崎徳洲会病院放射線科
9. 行岡病院がん医療センター
10. 重粒子線治療ガイド「大阪重粒子線センター」
https://www.particle.or.jp/hirtjapan/facility/osaka.html