【レジメン】
CDDP(シスプラチン)=80mg/m2:点滴静注(2時間以上)
GEM(ゲムシタビン)=1,000mg/m2:点滴静注(30分間)
【前投薬】
1,000~2,000mLの輸液
【制吐対策】
①5-HT3受容体拮抗薬(Day1)
②アプレピタント:125mg (Day1) ,80mg(Day2~3)
③デキサメタゾン:9.9mgIV(Day1),8mgPO(Day2~3)
④オランザピン:5mg(Day1~4)(糖尿病患者には禁忌)
【投与後】
①1,000~2,000mLの輸液
②20%マンニトール200~300mL、フロセミド注10mg(必要に応じ投与)
基本事項
【適応】
非小細胞肺がん
・StageⅢBおよびStageIV
【奏効率】
・奏効率
30.1%
・生存期間(中央値)
14カ月
・1年生存率
59.6%
・2年生存率
31.5%
【副作用】
<Grade3以上>
・好中球減少:32%
・血小板減少:23%
・貧血:13%
・出血:2%
・蛋白尿
・血栓塞栓症:6%
レジメンチェックポイント
①投与前の確認:輸液の前負荷、制吐薬
②投与量の確認
<CDDP:腎障害時の減量基準>
・GFR(mL/min)=10~50:25%減量、10>:50%減量
または
・Ccr(mL/min)=60~46:25%減量、45~31:50%減量、30≧:使用中止
<GEM>
投与当日の白血球数が2,000/mm3未満または血小板数が7万/mm3未満であれば骨髄機能が回復するまで投与延期
③点滴速度の確認
・CDDP:2時間以上かけて点滴静注
・GEM:30分間で点滴静注
※GEMでは週2回以上あるいは1回の点滴を60分以上かけて行うと、副作用が増強した例の報告がある(海外臨床試験)
④GEMは胸部への放射線療法を施行している患者は禁忌である
⑤相互作用
CDDP:アミノグリコシド系抗菌薬、バンコマイシン、注射用アムホテリシンB、フロセミドとの併用で腎障害リスク増大。アミノグリコシド系抗菌薬、バンコマイシン、フロセミドとの併用で聴器障害リスク増大。フェニトインとの併用でフェニトインの血漿中濃度が低下したとの報告がある
副作用対策と服薬指導のポイント
①悪心・嘔吐:CDDPは90%に急性、30~50%に遅発性の悪心・嘔吐の発現があり得る。患者の症状に留意し必要に応じて制吐薬の追加を行う。また、デキサメタゾン、アプレピタント、オランザピンの服用意義を説明する
②腎障害:CDDPでは予防として水分の摂取を心がけるように伝える(目安:1.5~2L/日程度)。アミノグリコシド系抗菌薬との併用で増強されることがある。尿量の確保、体重測定を行い、適宜、利尿薬を併用する
③神経障害:CDDPでは手足のしびれなどの末梢神経障害と4,000~8,000Hz付近の高音域聴力障害が問題とされている。一般的にCDDPの総投与量が300~500mg/m2以上になると聴器障害の頻度が高くなると報告されており、軽度なものは投与中止により軽減することもあるが、不可逆的な場合も少なくない
④GEMでは発熱、発疹が好発するため、ステロイド前投与が有効とされている
⑤GEMでは注射部位の静脈炎、疼痛、紅斑の発現頻度が高い。症状の訴えがあった場合は5%ブドウ糖の輸液に変更すると軽減されるとの報告がある