ブロック療法とは、キース・I・ブロック医師が開発したプログラムで、一般的ながん治療との組み合わせで用いることと目的としている栄養療法の1つです。
ブロック氏によると、このプログラムは医療の補助として行うことを意図したものであり、医療に替わるものではないとしています。
この療法はアメリカイリノイ州エバンストンにある同氏の診療所、および、シカゴのある医療センターで実践されているようです。
ブロック氏の方法では、患者それぞれに合わせて作った食事指針と栄養面での処置を、医学的措置、運動、ストレスを軽減するための心理的補助と組み合わせて導入します。
全体的な食事指針の作成は、体質分析、血液および組織検査、窒素バランスの測定、その他の生化学的・臨床的評価を含む栄養評価に基づいて行われます。
食事指針では5つの食品群(穀類、野菜、果物、脂質、たんぱく質)を網羅し、一定の範囲で患者に食品の選択肢を与えています。
また交換可能な食品をグループごとにリストアップしており、患者はプログラム全体の栄養条件を満たしながら自分の味覚に合った食品を選ぶことができる、という形です。
癌(がん)患者さん向けの「ブロック療法」はどんな内容なのか
ブロック氏の推奨する食事療法は半菜食主義的で、繊維を多く含み、低脂肪で蛋白質を制限した食物を、大豆製品・しいたけ・海草など特に指定した食品と一緒にとるというものです。
大まかに言って、総エネルギーの50~60%を炭水化物、12~25%を脂質、残りを蛋白質からとるよう勧めています。
この構成は個々の患者に応じて多少の修正が加えられるが、全体的に、ビタミン・ミネラルなど、がんのリスクを軽減すると考えられる物質を多く含んだ食品に重点が置かれています。
ブロック氏の食事療法はマクロビオティックの原則を一部に採用して開発したものであり、また、他からの情報(主に腫瘍の増殖を抑えたり、免疫応答を刺激したりすると考えられる物質に関する文献に示された実験データ)を盛り込んだ修正が加えられています。
ブロック氏のプログラムの栄養学的正当性は、栄養分析により繰り返し証明されてきたとされています。
1日の栄養所要量(RDA)の目標数値が公に確立しており、栄養分析が可能な栄養素のほとんどすべてについて、ブロック氏のプログラムは目標値を満たしているか、それを越えるものであり、ビタミンA・C・B12、カルシウム、鉄分、マグネシウム、その他数種の栄養素について規定の所要量を越えているとされています。
がん治療の補助的手段としてのブロック氏の食事療法にはいくつかの目標があり、適用した患者の観察から、それらの目標のいくつかは既に達成されたと彼は報告しています。
目標の1つは、適切な量の栄養をできるだけ口からとることによって患者の生活の質を高め、「自分自身に力を与えるという感覚と治療を受ける際の自立性」を維持するというものです。
このプログラムを実践した人には末期における拒食症の場合を除いて、体重減少がほとんど認められず、化学療法中にも抜け毛がほとんどなかった、と彼は述べています。
もう1つの目標は、低脂肪食の実行で、免疫機能を高め、腫瘍の増殖を抑え、患者の病気に対する抵抗力を高めるというものです。
低脂肪食にすることでがんを助長する物質の摂取を抑える、としており、ビタミンAを含む野菜を多くとる食生活は、従来の医学的がん治療法に対する患者の応答力を高めると考えらています。
総合的にいうと、ブロック医師は、自分のプログラムが従来の治療法における副作用を減らし、患者の生活の質を高めるものであると考えています。
この療法の詳細に関してはいくつかの資料がありますが、今のところ系統だった研究は行われていないため、患者に及ぼす影響について正確な判断についてはよく分かっていません。