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「プロのがん治療専門アドバイザー」本村ユウジです。
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肺腺がんにおけるALK融合遺伝子とは
肺がんは大きく分けて小細胞肺がんと非小細胞肺がんに分類されます。非小細胞肺がんはさらに肺腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんなどに分けられ、このうち肺腺がんが最も多く、非小細胞肺がん全体の約60%を占めています。
肺腺がんの治療において、近年注目されているのが遺伝子変異に基づいた個別化医療です。2007年に発見されたALK融合遺伝子は、肺腺がんにおける重要なドライバー遺伝子変異の1つとして認識されています。
ALK(未分化リンパ腫キナーゼ)は、本来、細胞の増殖や分化に関わる酵素です。このALK遺伝子が他の遺伝子と融合することで「ALK融合遺伝子」が形成されます。
最も頻度が高いのはEML4-ALK融合遺伝子で、この異常な融合遺伝子が作り出すタンパク質は、細胞に対して持続的な増殖信号を送り続けます。その結果、がん細胞の無秩序な増殖が引き起こされるのです。
ALK融合遺伝子陽性肺がんの特徴
ALK融合遺伝子陽性の肺腺がんには、いくつかの臨床的特徴があります。
| 項目 | 特徴 |
|---|---|
| 発生頻度 | 非小細胞肺がん全体の約3~5% |
| 年齢層 | 比較的若年層に多い(50歳以下が多い) |
| 喫煙歴 | 非喫煙者または軽度喫煙者に多い |
| 組織型 | 腺がんが大半を占める |
| 病理学的特徴 | 印環細胞や粘液産生を伴うことが多い |
喫煙歴がない、または少ない若い患者さんが肺腺がんと診断された場合、このALK融合遺伝子変異の可能性を考慮する必要があります。
伝子変異が生じる具体的な原因は現時点では明らかになっていませんが、がん細胞の増殖を促進する明確なドライバー変異であることは確実です。
ザーコリ(クリゾチニブ)の適応と効果
ザーコリ(一般名:クリゾチニブ)は、2012年に日本で承認されたALK阻害薬です。これは第一世代のALK阻害薬として、ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん治療に使用されます。
ザーコリの作用機序
ザーコリはALK融合タンパク質のチロシンキナーゼ活性を選択的に阻害します。この阻害作用により、がん細胞の増殖シグナルが遮断され、腫瘍の縮小や増殖停止が期待できます。また、ザーコリはROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんにも効果を示すことが知られています。
ザーコリの治療効果と奏効率
ザーコリの臨床試験では、化学療法と比較して優れた効果が確認されています。
| 評価項目 | ザーコリ | 標準化学療法 |
|---|---|---|
| 奏効率 | 約60~74% | 約20~30% |
| 無増悪生存期間(PFS)中央値 | 約10~11ヶ月 | 約7ヶ月 |
| 病勢コントロール率 | 約80~90% | 約45~50% |
このデータから、ザーコリは従来の化学療法と比較して、腫瘍縮小効果が高く、がんの進行を抑える期間も長いことがわかります。初回治療(一次治療)として使用されることもあれば、化学療法後の二次治療として使用されることもあります。
ザーコリの副作用
ザーコリは従来の抗がん剤と比較すると副作用は軽度とされていますが、特徴的な副作用があります。
主な副作用として以下のものが報告されています。
| 副作用 | 発現頻度 | 対処方法 |
|---|---|---|
| 視覚障害(光視症など) | 約60% | 通常は軽度で継続可能 |
| 下痢 | 約50~60% | 止痢薬で対応可能 |
| 悪心・嘔吐 | 約50~60% | 制吐薬で対応可能 |
| 肝機能障害 | 約20~30% | 定期的な肝機能検査が必要 |
| 浮腫 | 約30~40% | 利尿薬などで対応 |
| 間質性肺疾患 | 約2~3% | 重篤な場合は中止が必要 |
視覚障害は特徴的な副作用で、暗い場所から明るい場所に移動した際に光の筋が見えるといった症状が現れることがあります。多くの場合、治療を継続しながら経過観察が可能です。
ザーコリの限界と耐性
ザーコリは効果的な治療薬ですが、治療を続けるうちに耐性が生じることが課題です。多くの患者さんでは、治療開始から約1年程度で病勢が進行し始めることが報告されています。この耐性の原因として、ALK遺伝子の二次変異や別の増殖経路の活性化などが明らかになっています。
また、ザーコリは血液脳関門を通過しにくい性質があるため、脳転移に対する効果が限定的であることも指摘されています。実際、ザーコリで治療中の患者さんの約40~50%で脳転移が進行することが報告されています。
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アレセンサ(アレクチニブ)の適応と効果
アレセンサ(一般名:アレクチニブ)は、2014年9月に日本で承認された第二世代のALK阻害薬です。ザーコリの課題を克服するために開発され、より強力で選択的なALK阻害作用を持っています。
アレセンサの作用機序と特徴
アレセンサはザーコリと同様にALK融合タンパク質を阻害しますが、以下の点で優れた特性を持っています。
| 特性 | アレセンサの優位性 |
|---|---|
| ALK阻害活性 | ザーコリより強力で選択的 |
| 血液脳関門通過性 | 優れており脳転移にも効果的 |
| 耐性変異への効果 | ザーコリ耐性の一部の変異にも有効 |
| 副作用プロファイル | 視覚障害などが少ない |
アレセンサの治療効果と奏効率
アレセンサの臨床試験では、ザーコリを上回る効果が確認されています。
化学療法の治療歴はあるがALK阻害薬未使用の患者さんを対象とした試験では、アレセンサは高い奏効率を示しました。客観的奏効率は約93.5%に達し、1年間の無増悪生存率(PFS率)は83%という優れた結果が得られています。
また、ALK阻害薬未治療の患者さんを対象にザーコリと直接比較した国際共同第III相試験(ALEX試験)では、アレセンサの優越性が明確に示されました。
| 評価項目 | アレセンサ | ザーコリ |
|---|---|---|
| 無増悪生存期間(PFS)中央値 | 約34.8ヶ月 | 約10.9ヶ月 |
| 12ヶ月PFS率 | 約68.4% | 約48.7% |
| 中枢神経系進行のリスク | 低い(約12%) | 高い(約45%) |
この結果から、アレセンサはザーコリと比較して、がんの進行を抑える期間が約3倍長く、特に脳転移の予防効果に優れていることがわかります。
脳転移に対する効果
アレセンサの最も重要な利点の1つが、脳転移に対する高い効果です。
脳転移を有する患者さんを対象とした試験では、14例中9例で脳病変が完全に消失し、全例で12ヶ月を超えても脳転移の増悪が認められませんでした。この結果は、従来のALK阻害薬では達成困難だった成果です。
脳転移に対する効果を比較すると以下のようになります。
| 薬剤 | 脳転移に対する奏効率 | 中枢神経系のPFS中央値 |
|---|---|---|
| アレセンサ | 約60~80% | 未到達(非常に長い) |
| ザーコリ | 約20~30% | 約7ヶ月 |
EGFR遺伝子変異陽性肺がんに対して使用されるイレッサ(ゲフィチニブ)やタルセバ(エルロチニブ)も脳転移に一定の効果を示しますが、アレセンサはそれらと比較しても奏効率が高く、効果の持続期間も長いという特徴があります。
アレセンサの副作用
アレセンサの副作用プロファイルはザーコリと比較して良好です。
| 副作用 | 発現頻度 | 特徴 |
|---|---|---|
| 便秘 | 約30~40% | 軽度から中等度 |
| AST・ALT上昇 | 約20~30% | 多くは無症状、定期検査で監視 |
| 浮腫 | 約20~30% | ザーコリより軽度 |
| 筋肉痛 | 約20~30% | CK値上昇を伴うことがある |
| 光線過敏症 | 約10~15% | 日光曝露時の注意が必要 |
| 間質性肺疾患 | 約2~3% | 重篤な場合は中止が必要 |
ザーコリで高頻度に見られた視覚障害はアレセンサではほとんど報告されておらず、消化器症状も比較的軽度です。そのため、患者さんのQOL(生活の質)を維持しながら治療を継続しやすいという利点があります。
ザーコリとアレセンサの使い分けと治療戦略
現在の標準的な治療指針では、ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺がんの一次治療として、アレセンサが推奨されています。これは、前述の臨床試験でアレセンサの優越性が明確に示されたためです。
治療選択の考え方
| 治療状況 | 推奨される薬剤 | 理由 |
|---|---|---|
| 一次治療(初回治療) | アレセンサまたは他の第二世代ALK阻害薬 | 効果と持続期間が優れている |
| アレセンサ後の病勢進行 | 第三世代ALK阻害薬または化学療法 | 耐性機序に応じて選択 |
| ザーコリ後の病勢進行 | アレセンサまたは他の第二・第三世代ALK阻害薬 | 一部の耐性変異にも有効 |
寛解を目指した治療について
分子標的薬であるザーコリやアレセンサは、ALK融合遺伝子陽性の肺がんに対して高い効果を示します。しかし、これらの薬剤によって「完全寛解」、つまりがんが完全に消失し、その状態が長期間持続することは稀です。
多くの場合、これらの薬剤は「病勢コントロール」の役割を果たします。腫瘍を縮小させ、がんの進行を抑えることで、患者さんの生存期間を延長し、症状を緩和することが主な目的となります。
治療を継続する中で、腫瘍が検出できないほど小さくなる「完全奏効」が得られることもありますが、微小ながん細胞が残存している可能性があるため、治療を中断すると再発のリスクがあります。
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こんにちは。17年間の活動実績を持つ、
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がんを治すために必要なことは、たった1つです。
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ALK融合遺伝子検査の重要性
肺腺がん、特に非小細胞肺がんと診断された場合、EGFR遺伝子変異とALK融合遺伝子の検査を受けることが推奨されます。これらの遺伝子検査によって適切な分子標的薬を選択できるため、治療効果を最大化することができます。
遺伝子検査の方法
ALK融合遺伝子の検査には複数の方法があります。
| 検査方法 | 特徴 | 所要時間 |
|---|---|---|
| 免疫組織化学法(IHC) | 迅速で感度が高い、スクリーニングに適している | 約1~3日 |
| FISH法 | 確定診断に使用される、従来の標準的方法 | 約1~2週間 |
| RT-PCR法 | 融合パターンの詳細がわかる | 約1~2週間 |
| 次世代シーケンサー(NGS) | 複数の遺伝子変異を同時に検査可能 | 約2~3週間 |
従来は、まずEGFR遺伝子変異の検査を行い、陰性だった場合にALK融合遺伝子の検査を実施するという順序で行われていたため、結果が出るまでに時間がかかっていました。
しかし、近年では次世代シーケンサー(NGS)を用いた包括的遺伝子検査(がん遺伝子パネル検査)が保険適用となり、一度の検査で複数の遺伝子変異を同時に調べることが可能になっています。これにより、検査期間の短縮と、より多くの治療選択肢の提示が可能になっています。
検査のタイミング
遺伝子検査は、肺がんと確定診断された時点でできるだけ早く実施することが重要です。検査結果に基づいて最適な治療薬を選択できるため、治療開始までの時間短縮につながります。
また、進行が速い場合や症状が強い場合は、検査結果を待つ間に化学療法を開始し、結果が判明した時点で分子標的薬に切り替えることもあります。
ザーコリとアレセンサの治療費について
分子標的薬は高額な治療費がかかることが患者さんにとって大きな関心事です。
薬剤費の目安
| 薬剤名 | 1ヶ月の薬剤費(3割負担) | 高額療養費制度適用後の自己負担額(標準的な所得の場合) |
|---|---|---|
| ザーコリ | 約15~20万円 | 約8~9万円 |
| アレセンサ | 約20~25万円 | 約8~9万円 |
実際の自己負担額は、高額療養費制度を利用することで大幅に軽減されます。高額療養費制度では、所得に応じた自己負担上限額が設定されており、多くの場合、月額8~9万円程度が上限となります。
また、1年間に高額療養費制度を4回以上利用した場合は、「多数回該当」として自己負担上限額がさらに下がります(標準的な所得の場合、約4万4千円)。
医療費負担を軽減する制度
分子標的薬による治療を継続する際は、以下の制度の利用を検討することが重要です。
- 高額療養費制度:医療費の自己負担上限額を設定
- 限度額適用認定証:窓口での支払いを自己負担限度額までに抑える
- 医療費控除:年間の医療費が10万円を超えた場合に所得控除
- 傷病手当金:仕事を休んだ場合の収入補償(健康保険加入者)
- 障害年金:一定の条件を満たす場合に受給可能
これらの制度について、医療機関のソーシャルワーカーや医療相談室で詳しい情報を得ることができます。
治療を続ける上での注意点
ザーコリやアレセンサによる治療を継続する際は、定期的な検査と副作用の管理が重要です。
定期検査の重要性
治療中は以下の検査を定期的に実施します。
- 血液検査(肝機能、腎機能、CKなど):2~4週間ごと
- CT検査による画像評価:2~3ヶ月ごと
- 脳MRI検査:3~6ヶ月ごと(必要に応じて)
- 心電図検査:定期的に(薬剤によって頻度が異なる)
これらの検査によって、薬剤の効果判定と副作用の早期発見が可能になります。
日常生活での注意事項
アレセンサを服用している患者さんは、光線過敏症のリスクがあるため、外出時には日焼け止めの使用や帽子の着用が推奨されます。
また、両薬剤とも特定の薬剤や食品との相互作用がある可能性があるため、他の薬剤を併用する場合や、サプリメントを摂取する場合は、必ず主治医に相談することが必要です。
今後の治療展望
ALK融合遺伝子陽性肺がんの治療は、近年急速に進歩しています。アレセンサに続き、ローブレナ(ロルラチニブ)などの第三世代ALK阻害薬も承認されており、アレセンサ耐性後の治療選択肢が広がっています。
また、ALK阻害薬と免疫チェックポイント阻害薬の併用療法や、複数の分子標的薬の組み合わせなど、新しい治療戦略の研究も進行中です。
次世代シーケンサーを用いた包括的遺伝子検査の普及により、耐性機序の詳細な解析が可能になり、個々の患者さんに最適な治療法を選択できる時代が近づいています。
ALK融合遺伝子陽性肺がんは、分子標的薬の開発によって予後が改善している領域です。適切な遺伝子検査を受け、最新の治療選択肢について主治医と十分に相談しながら、自分に合った治療方針を決定していくことが大切です。


