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16.前立腺がん

【2026年更新】前立腺がんホルモン療法の副作用と対策は?薬剤別の特徴と最新治療


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前立腺がんホルモン療法の副作用について

こんにちは。がん専門のアドバイザー、本村ユウジです。

当記事では前立腺がんにおけるホルモン療法の副作用について、2026年時点の最新情報をもとに解説します。

前立腺がんの治療において、ホルモン療法は中心的な役割を果たしています。

早期がんでは手術や放射線治療の補助療法として使われることが多く、進行したり転移がある場合は薬物療法の第一歩としてホルモン療法が採用されます。

重用される最大の理由は、抗がん剤よりも副作用の影響が比較的軽く、一定の効果があり、その効果が長期間持続することにあります。

しかし長期間使うことになる薬ですから、副作用がまったくないわけではありません。この記事ではホルモン療法の作用や使われる薬ごとの副作用、その対策について解説します。

ホルモン療法の仕組みと効果

前立腺がんは男性ホルモン(テストステロン)によって増殖するという特徴があります。

ホルモン剤が登場する以前は、精巣を取り除く外科的去勢が前立腺がん治療の一環として行われていました。現在でも状況によっては実施されることがあります。

ホルモン剤は男性ホルモンを抑える働きがあり、外科的去勢したときとほぼ同様の効果を期待できます。

男性ホルモンの役割

男性ホルモン(テストステロン)は、文字通り男性らしい体作りのために必要なものです。

男性ホルモンの数値が高い男性は、冒険心や野心が強く、リーダー気質を持つ傾向が高いとされています。同時に骨や筋肉が丈夫で体つきもしっかりしている人が多いことが知られています。

男性ホルモンは肉体的にも精神的にも男性らしさの根源となっているため、このホルモンの産出が抑えられると、筋肉量が減り脂肪が増え、今まで感じていた気持ちの張りや気力が衰えるということが起こります。


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ホルモン療法で起こりやすい副作用

ホルモン療法による副作用は、男性ホルモンが抑制されることによって起こります。

身体的な症状としては、骨密度の低下(骨粗しょう症)、心筋梗塞や脳梗塞のリスク増加、高血圧やメタボリックシンドローム、記憶力や認知力の低下、性欲の低下などがあります。

前立腺がんの治療で使われるホルモン剤の作用と主な副作用の一覧は以下のとおりです。

薬品名(薬剤名) 分類 投与方法 主な副作用
ゾラデックス(ゴセレリン)
リュープリン(リュープロレリン)
LH-RHアゴニスト 皮下注射
(1カ月、3カ月、6カ月型)
フレアアップ現象(初回投与後の一過性の症状悪化)、性機能障害、ホットフラッシュ、骨粗しょう症
ゴナックス(デガレリクス) GnRHアンタゴニスト 皮下注射
(4週間間隔)
注射部位の痛み・硬結、性機能障害、ホットフラッシュ、骨粗しょう症
カソデックス(ビカルタミド)
オダイン(フルタミド)
抗男性ホルモン薬(第一世代) 経口 女性化乳房(21〜71%)、乳房痛、肝機能障害
プロスタール(クロルマジノン) 抗男性ホルモン薬 経口 女性化乳房、乳房痛、性機能障害、脂質異常症、糖尿病悪化
イクスタンジ(エンザルタミド) 新規抗男性ホルモン薬(AR阻害薬) 経口 疲労感、けいれん発作(稀)、食欲不振、中枢神経系の副作用
ザイティガ(アビラテロン) CYP17阻害薬 経口(ステロイド併用) 高血圧、電解質異常、肝機能障害、心臓障害
アーリーダ(アパルタミド) 新規抗男性ホルモン薬(AR阻害薬) 経口 皮疹(15%)、疲労、けいれん発作(稀)、甲状腺機能低下症
ニュベクオ(ダロルタミド) 新規抗男性ホルモン薬(AR阻害薬) 経口 疲労、肝機能障害

従来のホルモン剤と新規ホルモン剤の違い

上記のうち、イクスタンジ(エンザルタミド)とザイティガ(アビラテロン)は2014年に登場した薬です。アーリーダ(アパルタミド)は2019年、ニュベクオ(ダロルタミド)は2020年に承認されました。

これらの新規ホルモン剤は、従来のホルモン療法が効きにくくなった「去勢抵抗性前立腺がん」に対しても効果を示します。

ホルモン療法の平均的な効果持続期間は約3年とされています。効果が薄れると、男性ホルモンが低く抑えられているにもかかわらず前立腺がんが増殖します。この状態を「去勢抵抗性前立腺がん」といいます。

近年では、転移のある前立腺がんに対して、初期治療の段階からこれらの新規ホルモン剤を併用することで、より良い治療成績が得られることがわかってきました。


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薬剤ごとの特徴的な副作用

イクスタンジ(エンザルタミド)の副作用

イクスタンジは脳に影響することがあり、稀ですが神経に関する障害(てんかん発作、意識低下、けいれん)を起こすことがあります。

過去にこれらの症状を経験したことがある人や、脳損傷、脳卒中の既往がある人には注意が必要です。

また血液系の副作用も報告されており、具体的には血小板減少による血が止まりにくい症状や、鼻血、血尿などです。

中枢神経系に移行しやすい特性があるため、倦怠感や食欲不振の副作用が比較的多く報告されています。

ザイティガ(アビラテロン)の副作用

ザイティガは心臓や肝臓に関する副作用が起きることがあります。

心臓関連としては心不全や不整脈、動悸などです。心臓の既往症がある人には注意が必要です。

肝臓関連としては肝機能障害があり、自覚症状としてはかゆみ、黄疸、食欲不振、吐き気などが現れます。

ザイティガは必ずステロイド(プレドニゾロン)と併用する必要があり、高血圧や電解質異常(カリウム低下)にも注意が必要です。

アーリーダ(アパルタミド)の副作用

アーリーダの特徴的な副作用は皮疹です。約15%の患者さんに皮疹が現れるとされています。

イクスタンジと同様にけいれん発作のリスクがありますが、イクスタンジに比べて中枢神経系への移行性が改善されているため、倦怠感や食欲不振は少ないとされています。

その代わり、組織移行性が高められているため、皮膚への影響が出やすくなっています。皮疹が現れた場合は早期に皮膚科医に相談することが推奨されます。

また、疲労感(約23%)、甲状腺機能低下症(約5%)、体重減少なども報告されています。

ニュベクオ(ダロルタミド)の副作用

ニュベクオは2020年に承認された新しい薬剤で、他の新規ホルモン剤と比べて血液脳関門を通過しにくい構造をしています。

そのため、けいれん発作などの中枢神経系の副作用が少ないとされています。

主な副作用としては疲労感や肝機能障害がありますが、全体的に副作用プロファイルは良好とされています。

2023年2月には、転移性前立腺がんに対して、ホルモン療法と抗がん剤(ドセタキセル)、そしてニュベクオの3剤を併用する「トリプレット療法」が保険収載されました。

起こりやすい副作用とその対策

ホットフラッシュ(ほてり、発汗、のぼせ)

投与を開始して間もなく起こりやすいのはホットフラッシュです。

約80%の患者さんに現れるとされており、女性の更年期障害の一つとして起こりやすいものですが、男性ホルモン減少により男性にも起きやすくなります。

全身がカーっと熱くなったと思えば直後に寒くなったりします。

対策

ほてりやのぼせのような症状を感じたときは、額や首筋を少し冷やしましょう。

また、夏でも一枚羽織るものを持ち歩くなど、急激な体感温度の変化に対応できるようにしておくことが推奨されます。

症状が強い場合は、抗うつ薬の一種や低用量の薬剤が有効との報告がありますが、保険適用外の使用となります。主治医に相談してください。

骨粗しょう症と骨折リスク

骨密度の低下による骨粗しょう症は、投与後1〜2カ月後から現れてきます。

12カ月間で骨密度は2〜5%減少し、骨折のリスクは1.5〜1.8倍になるとされています。

最初の1年で骨のミネラルが3〜5%減少し、その後も緩やかにミネラルは減少し続けます。

対策

医療的な対処としては、ビスホスホネート製剤(リクラスト、ゾレドロン酸など)や抗RANKL抗体(プラリア、ランマークなど)を投与する方法があります。

順天堂医院などの先進的な施設では、ホルモン療法の開始と同時に骨密度の評価を行い、年1回リクラストなどの骨粗しょう症予防薬を点滴投与しています。

プラリア(デノスマブ)は、もともと骨粗しょう症の予防・治療薬として使われている薬で、半年に1回の皮下注射で投与します。骨転移に伴う骨折をある程度予防できる重要な対策と考えられています。

ただし、これらの薬剤には顎骨壊死という副作用があるため、投与前と投与後も定期的に歯科受診をすることが必要です。

生活面での対策としては、カルシウムや亜鉛などのミネラル類をバランスよく摂取すること、禁煙、アルコールやカフェインの摂取を控えること、負荷のかかる運動を定期的に行うことが挙げられます。

性機能障害

ホルモン療法を受ける患者さんの90%以上に性欲低下や勃起不全が発症します。

性欲減退は通常1年以内に起こります。6カ月間のホルモン療法は18カ月間の実施と比べて性機能に対する影響は明らかに少ないことが報告されています。

ホルモン療法の際の勃起障害は治療抵抗性と考えられており、休薬することにより改善が期待できます。

なお、抗アンドロゲン薬単独の治療では、テストステロン値が低下しないため、約60%の方で勃起などの性機能が保たれるという報告があります。

女性化乳房

女性の乳房のように膨らみを持つことがあります。全体では約20%の人に起きるとされています。

特に抗アンドロゲン薬単独療法では、16〜71%と高率で起こると報告されています。

発症時期は投与開始から6カ月以内が多いとされています。これは、抗アンドロゲン薬投与により脳下垂体機能が亢進し、増加したテストステロンがエストラジオール(女性ホルモン)に変換されることで、乳腺組織の増殖が起こるためです。

対策

対応としては抗エストロゲン薬のノルバデックスの投与、乳房への放射線照射に効果が見られると報告されていますが、ノルバデックスの使用は保険外です。

また薬に薬を重ねたり、放射線を当てるというのは対策としてあまり良いものではありません。

高度な女性化乳房では乳腺切除術などの形成手術が必要になることもあります。

疲労・倦怠感

約40%でみられ、その原因は男性ホルモン低下による筋肉量の低下、体脂肪の増加に加え、自律神経への影響による抑うつ状態などが原因とされています。

対策

有酸素運動やレジスタンス運動(ストレッチ、腹筋、腕立て伏せなど)が効果があるとされていますが、疲労を感じているときにこれらの運動を積極的に行うことは難しい問題です。

最近の研究では、ホルモン療法により腸内細菌の種類が減少し、それが肥満やうつ、フレイル(虚弱)などの副作用に関わっている可能性が指摘されています。

腸内細菌の種類を保つための食事メニューの開発などが研究されており、今後の対策に期待が持たれています。

メタボリックシンドローム・心血管疾患

男性ホルモンの低下により脂肪が増え、インスリン感受性が低下するなど、メタボリックシンドロームのような病状となります。

2型糖尿病や冠動脈疾患のリスクが増加することが指摘されています。

対策

低脂肪食、適度な運動が大切です。

血圧、血中脂質、血糖のコントロールが難しい場合は、降圧剤、スタチン剤、血糖降下薬などによる治療を行います。

対策のない副作用への対応

上記のような医療的な対策がない副作用に関しては、「数週間から数か月、投薬を休止する」という対策を検討することになります。

これを前立腺がんのホルモン療法においては「間欠療法」といいます。

間欠療法とは

いつ、どのタイミングで休薬するのかはケースバイケースですが、主に「薬が効いてPSA値が落ち着いているが、副作用が顕著に現れている」ような場合に休薬して様子をみることが多いです。

放射線療法などとホルモン療法を併用する際は、ホルモン療法を一定期間のみ継続し、一旦中止することで長期的な使用による副作用を減らすことができます。

「休薬することで治療効果が弱くなるのでは」と考える人もいれば、「薬が耐性を獲得するまでの期間を延ばせるので間欠療法のほうがよい」という意見もあります。

これに関しては明確なエビデンスがないため、副作用が厳しいと感じるときはいったん休薬するというスタンスで対応します。

また、薬剤性の副作用が強い場合は、外科的去勢術に切り替えるなどの対応も可能です。

副作用への長期的な対応

ホルモン療法の効果持続期間には個人差がありますが、前立腺がんの悪性度を示すグリソンスコアの点数が高い人、PSA値が最初から高い人、転移をすでに認める人は比較的早期に効かなくなる傾向があります。

一方で、治療を継続することで10年以上も病気が進行しない人もいます。

長期的なホルモン療法が必要な場合は、副作用が出やすいことに注意したうえで、漢方薬などを用いて症状の緩和を行ったり、運動やダイエットなど生活習慣の改善によって生活習慣病の予防を行うことが重要です。

定期的な血液検査により、肝機能障害や貧血などの副作用を早期に発見することも大切です。

治療中にいつもと違う症状があると感じたら我慢せずに担当医に相談しましょう。

最新の治療戦略

2026年現在、前立腺がんのホルモン療法は大きく進化しています。

転移のある前立腺がんに対しては、初期治療の段階から従来のホルモン療法に新規ホルモン剤(アーリーダ、イクスタンジ、ザイティガなど)を併用することで、より良い治療成績が得られることがわかっています。

さらに、2023年には抗がん剤のドセタキセルと新規ホルモン剤のニュベクオを組み合わせた「トリプレット療法」が保険収載され、リスクの高い患者さんに対する新たな治療選択肢となっています。

また、遺伝子検査(FoundationOneやBRACAnalysis)によりBRCA遺伝子変異が見つかった場合は、PARP阻害剤(リムパーザ、ターゼナ)を使用することで高い治療効果が期待できます。

このように治療選択肢は増えていますが、それぞれに特徴的な副作用があるため、患者さんの状態や前立腺がんの状況に応じて、最適な治療法を選択することが重要です。

まとめ

前立腺がんのホルモン療法は効果的な治療法ですが、男性ホルモンを抑制することによる副作用は避けられません。

主な副作用としては、ホットフラッシュ、骨粗しょう症、性機能障害、女性化乳房、疲労感、メタボリックシンドロームなどがあり、使用する薬剤によって特徴的な副作用も存在します。

骨粗しょう症に対しては骨密度を補う治療薬の使用、ホットフラッシュに対しては温度調節の工夫、メタボリックシンドロームに対しては食事・運動による生活習慣の改善など、適切な対策を行うことで副作用を軽減できます。

副作用が強い場合は間欠療法や薬剤の変更も検討できますので、担当医とよく相談しながら治療を進めていきましょう。

参考文献・出典情報

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス - 前立腺がん 治療
  2. 東北大学病院 泌尿器科 - 前立腺癌に対するホルモン療法について
  3. 順天堂大学医学部附属順天堂医院 - 前立腺がんの薬物療法
  4. 順天堂大学・順天堂医院泌尿器科 - 前立腺がんの薬物療法
  5. 四国がんセンター - 去勢抵抗性前立腺がんの治療について
  6. 中野駅前ごんどう泌尿器科 - 前立腺がんに対するホルモン療法について
  7. がん治療におけるホルモン療法について - 費用・保険適用など解説
  8. 新薬情報オンライン - アーリーダ(アパルタミド)の作用機序と副作用
  9. 日本経済新聞 - 前立腺がんのホルモン療法、副作用に腸内細菌関与か
  10. がんプラス - 前立腺がんに多い骨転移と骨修飾薬

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本村ユウジ
本村ユウジ
がん治療専門のアドバイザー・本村です。

私の仕事は【がん患者さんに正しい選択を伝えること】です。

「本村さん、おかげで元気になりました」

そんな報告が届くのが嬉しくて、患者さんをサポートしています。

→200通以上の感謝の声(これまでいただいた実際のメールを掲載しています)

しかし毎日届く相談メールは、

「医師に提案された抗がん剤が怖くて、手の震えが止まらない」

「腰がすこし痛むだけで、再発か?転移か?と不安で一睡もできなくなる」

「職場の人も家族さえも、ちゃんと理解してくれない。しょせんは他人事なのかと孤独を感じる」

こんな苦しみに溢れています。

年齢を重ねると、たとえ健康であっても、つらいことはたくさんありますよね。

それに加えて「がん」は私たちから、家族との時間や、積み重ねたキャリア、将来の夢や希望を奪おうとするのです。

なんと理不尽で、容赦のないことでしょうか。

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