
こんにちは。がん専門のアドバイザー、本村ユウジです。
バナナは身近な果物として日本でも広く親しまれていますが、近年の研究によってがん予防や免疫システムの活性化に関する興味深い効果が報告されています。
この記事では、バナナに含まれる栄養成分とがんへの作用について、最新の研究データをもとに詳しく解説します。
バナナの基本的な栄養成分
バナナは、すぐにエネルギーになるブドウ糖と、ゆっくりと変化する多種類の糖を含んでいます。これにより、エネルギーの補給が速やかで、かつ持続的に行われる特徴があります。忙しい朝や、勉強・運動の前後に食べることで効果的なエネルギー補給が可能です。
バナナ1本(可食部100g)あたりのカロリーは93kcalです。ご飯1杯(150g)の234kcalや食パン1枚(80g)の197kcalと比較すると、かなり低い値となっています。果物の中では比較的カロリーが高めですが、栄養バランスに優れているため、健康維持に適した食品といえます。
バナナに含まれる主な栄養素(100gあたり)
| 栄養素 | 含有量 | 主な働き |
|---|---|---|
| カリウム | 360mg | 余分な塩分を排出、血圧調整、むくみ予防 |
| マグネシウム | 32mg | 骨の健康維持、代謝促進、約300種類の酵素の働きを保つ |
| ビタミンB6 | 0.38mg | たんぱく質の代謝、皮膚・髪・歯の健康維持、神経機能の正常化 |
| ビタミンC | 16mg | 抗酸化作用、免疫機能のサポート、皮膚の健康維持 |
| 食物繊維 | 1.1g | 腸内環境の改善、便秘解消、血糖値の上昇を緩やか化 |
| βカロテン | 42μg | 抗酸化作用、細胞の老化抑制 |
バナナの抗がん作用に関する研究
帝京大学薬学部による研究
1999年に日本癌学会総会で発表された帝京大学薬学部の山崎正利名誉教授による研究は、バナナの抗がん作用について注目すべき結果を示しました。
この研究では、バナナ、ブドウ、パイナップルなどの身近な果物のジュースをマウスの静脈内に注射し、血中のTNF(腫瘍壊死因子)量がどう変化するかを調べました。TNFはマクロファージから産生されるサイトカインの一種で、腫瘍細胞を壊死させる作用を持つことから、血中TNF値は免疫システム活性化の指標として使われています。
実験の結果、バナナは他の果物と比較してTNFの生産量を増やす効果が強く、がん治療などで使用される免疫増強剤に匹敵する効果がみられることが分かりました。
マウス実験での具体的な効果
別の実験では、バナナの成分がどの程度がん細胞を抑制するかが調べられました。腹腔内にがん細胞を移植したマウスを2群に分け、一方にはエサと水だけを与え、もう一方にはエサと水に加えて、定期的にバナナジュースを注射し、65日間観察を続けました。
その結果、エサと水だけのマウスはすべて死亡しましたが、バナナジュースを注射したマウスは10匹中3匹が完治し、7匹にはがんの進行を遅らせる効果がみられました。
さらに別の実験では、がん細胞を移植したマウスに乾燥バナナを食べさせたところ、食事の30パーセントに乾燥バナナを混ぜて約2カ月与えたマウスでは、バナナを食べないマウスと比較してがんの重量が15パーセント減少したという結果が得られました。
白血球の活性化効果
バナナ液をマウスに注射して白血球の変化を調べた実験では、注射しないマウスと比べて、白血球の働きが質的に強化されたことを示すTNF産出量が100倍以上に増え、白血球の数も20倍近く増えたことが確認されました。
これらの実験はマウスを使ったものであり、静脈に果汁を注射するという特殊な方法であるため、現段階では人間の免疫力やがん抑制についても同じ効果があるとは断定できません。しかし、今後のさらなる研究に期待が寄せられています。
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熟したバナナの免疫活性効果
バナナの免疫活性作用は、皮に黒い斑点(シュガースポット)が出るまで熟すと、作用が1.7倍も強まることが確かめられています。
別の実験では、エチレン処理して4日目(お店で売っている黄色い状態のバナナ)と比較して、10日目(熟して黒い斑点が出てきた状態)では好中球の数が約8倍になることが分かりました。
バナナの皮が6割程度黒くなってきた頃が食べ頃で、その前の状態は熟していない状態であるため、完熟したバナナほど健康への効果は期待できません。また、熟していないものを食べることでお腹を下してしまうこともあるので注意が必要です。
研究者によると、完熟した黒い斑点を持つバナナにはTNFと呼ばれるがん細胞を死滅させる成分が多く含まれています。また、黒バナナは高い抗酸化作用を持つため、体の免疫力を高め、がんの発症を抑える白血球の数を増やします。
バナナに含まれる抗酸化成分
ポリフェノール
果物に含まれるポリフェノールには活性酸素の抑制効果があるため、がん予防に良いとされています。フルーツの中ではブドウに多く含まれていると思われがちですが、実はバナナの方が多くのポリフェノールを含んでいます。
ポリフェノールには強い抗酸化作用があり、活性酸素を取り除いてくれるため、細胞の老化を抑制し、がん予防に役立つと考えられています。
βカロテン
バナナにはβカロテンが含まれており、抗酸化作用を持つ成分として知られています。βカロテンは細胞の老化抑制に期待でき、がん予防によいとされています。
バナナの白い筋
バナナの白い筋には抗酸化作用があり、がん予防に効くとされています。バナナを食べる際は、白い筋も一緒に摂取することで、より高い健康効果が期待できます。
腸内環境の改善とがん予防
バナナには、オリゴ糖と水溶性食物繊維のペクチンが含まれているため、腸内環境を整えます。
バナナに含まれる食物繊維1.1gのうち、水に溶ける水溶性食物繊維は0.1g、水に溶けない不溶性食物繊維は1.0gで、バナナに含まれる食物繊維のほとんどが不溶性食物繊維です。不溶性食物繊維は、水分を吸収して腸を刺激し、排便を促す働きがあります。
バナナにはビフィズス菌を増やす働きを持つフラクトオリゴ糖も含まれています。フラクトオリゴ糖は小腸で消化されず大腸まで到達し、ビフィズス菌や乳酸菌などの栄養源になり、善玉菌が増殖します。しかし、大腸菌や悪玉菌であるウエルシュ菌には利用されないので、腸内環境を良好に保つ働きがあります。
腸内環境の改善は、がん予防において重要な要素の一つとされています。善玉菌が増殖すると、乳酸などが合成され、腸内が酸性になり、腸の蠕動運動を刺激するため、便秘の解消に効果があります。
カリウムの働きと健康効果
バナナに豊富に含まれるカリウムは、体内の塩分バランスを整え、血圧の調整に役立つ重要なミネラルです。
カリウムには以下のような働きがあります。
- ナトリウムとともに細胞内液の浸透圧を調整する
- ナトリウムを排出し、血圧を正常に保つ
- 心臓、筋肉の機能を調節する
- むくみを予防する
カリウムは調理によって失われやすい栄養素で、野菜に含まれるカリウムはゆでることで約30パーセントが減ってしまいます。一方、バナナは生で食べられるため、カリウムを損なう心配がありません。
既存の研究に関する大規模なレビューによると、1日あたり1.3から1.4グラムのカリウムを摂取すると、心臓病のリスクが26パーセント減るという報告があります。バナナ1本(可食部100g)で18歳以上の女性が1日に必要なカリウムの目安量の18パーセントが補えます。
ビタミンB群の働き
バナナにはビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6などのビタミンB群がバランス良く含まれています。
ビタミンB1
糖質の代謝を助けるビタミンで、中枢神経や末梢神経の働きを正常に保ち、むくみ対策や疲労の回復にも関わっています。調理による損失が大きい栄養素ですが、バナナは生で食べられるため摂取しやすいといえます。
ビタミンB2
脂質の代謝をサポートします。体の成長や、髪・皮膚・爪の健康を維持するためにも大切な栄養素で、不足すると口内炎になりやすいことで知られています。クエン酸とともに疲労の防止や回復に役立ちます。
ビタミンB6
たんぱく質の代謝を助けるビタミンです。髪や皮膚、歯などの健康を維持したり、神経の働きを正常に保つ作用を持ちます。貧血や皮膚炎、口内炎の対策などに重要な栄養素です。バナナ1本(可食部100g)には0.38mgのビタミンB6が含まれており、1日の推奨摂取量の27パーセントを摂取できます。
エネルギー補給とがん患者さんの栄養管理
バナナは、でんぷん、ブドウ糖、果糖、ショ糖などさまざまな糖質を含んでいて、種類によって体内で消化吸収される時間が異なります。即効性と持続性を併せ持っていることから、持続的なエネルギー補給が可能です。
がん患者さんの中には、治療の副作用などで食欲が低下している方も多くいらっしゃいます。そのような状況下では、少量でも効率的に栄養を摂取できる食品が重要となります。
バナナは皮をむくだけで食べられる手軽さに加えて、消化吸収が良く、エネルギーと栄養素をバランス良く摂取できるため、体力の維持や回復を目指す際に適した食品といえます。
バナナの選び方と保存方法
良いバナナを選ぶポイント
全体がまんべんなく黄色で、付け根がしっかりしているものを選ぶのが良いです。免疫活性効果を期待する場合は、黒い斑点(シュガースポット)が出ているものを選びましょう。
保存方法
バナナは常温保存が基本です。バナナは冷えに弱いため、冷蔵庫での保存は避けましょう。冷蔵庫に入れると低温障害を起こし、皮が黒くなったり、追熟が止まってしまったりします。
室温(15度から20度程度)の風通しの良い場所で保存することをおすすめします。夏場など室温が高い時期は、早めに食べきるようにしましょう。
調理方法のコツ
バナナは切ったままにしておくと、酵素の働きで切り口が褐色に変化してしまいます。変色を防ぐには、酸味の強いレモンやオレンジなどの果汁をかけるのが良いです。
バナナの適量と摂取上の注意
「食事バランスガイド」によると、1日に果物は約200グラムが目安とされています。バナナ1本の可食部は約100グラムであるため、1日に1本から2本程度が適量といえます。
バナナは他の果物と比較して摂取エネルギーが多めです。そのため、活動量が少ない日にはバナナを2本食べると、摂取エネルギーが必要量を超える可能性があります。
また、バナナにはカリウムが豊富に含まれているため、腎機能に問題がある方は、医師や栄養士に相談してから摂取することをおすすめします。カリウム制限が必要な場合は、バナナの摂取量に注意が必要です。
がん予防における食生活の考え方
バナナの抗がん作用に関する研究は、主にマウスを使った動物実験の段階であり、人間に対して同様の効果があるかどうかは、現時点では科学的に十分に証明されていません。
しかし、バナナに含まれる抗酸化成分、食物繊維、ビタミン、ミネラルなどは、健康維持やがん予防において重要な役割を果たす可能性があると考えられています。
がん予防においては、特定の食品だけに頼るのではなく、バランスの良い食事を心がけることが大切です。野菜、果物、全粒穀物、良質なたんぱく質などを組み合わせて、多様な栄養素を摂取することが推奨されています。
バナナは、手軽に栄養補給ができる優れた果物の一つとして、日常の食生活に取り入れることができます。朝食にヨーグルトやシリアルと合わせたり、間食として摂取したりすることで、健康的な食生活をサポートします。
まとめ
バナナには、免疫システムを活性化させる可能性を示す研究結果があり、抗酸化成分、食物繊維、ビタミン、ミネラルなど、健康維持に役立つ栄養素がバランス良く含まれています。
特に熟したバナナには、免疫活性効果が高いことが実験で示されており、がん予防における食生活の選択肢の一つとして注目されています。
ただし、「食事でがんが治る」という単純な結論を出すことはできません。がん予防や治療においては、バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠、ストレス管理など、総合的な生活習慣の改善が重要です。
バナナを日常的に摂取することは、健康的な食生活の一部として意義がありますが、それだけに頼るのではなく、多様な食品から栄養を摂取することを心がけましょう。