MRガイド下集束超音波療法(FUS)は2004年から臨床試験がスタートした治療法です。超音波を集束させてがん部分を焼灼します。患者は局所麻酔もすることなく、鎮痛剤、鎮静剤を投与したあとに治療に入ります。
MRI(磁気共鳴画像装置)を使って患者の乳がん部分を撮影し、コンピュータでどこに超音波のエネルギーを集束するかを計算し、集束照射します。FUSは208本の超音波ビームを乳がん部分に集束して照射します。
集束照射をするとがん部分はピンポイントで90度くらいになります。照射を続けると熱くなりすぎるので照射、クールダウン、照射、クールダウンで治療を進めてがん細胞を焼灼するのです。治療に要する時間は2~3時間程度です。
この治療法が適応となる条件は、「シコリが1.5センチまで」「針生検で乳がんの確定診断がなされている」「腫瘍が皮膚から5ミリ以上離れている」などです。そして、治療後には乳房温存療法と同じで放射線の照射は必須とされています。
FUSの場合は、ラジオ波(RFA)や冷凍凝固療法が針を刺すのとは異なり、針を刺すこともない治療法であることが特徴です。ただし、FUSの場合もがん部分を切除するのではないため、がん細胞が確実に焼灼されているかどうかの確認ができません。その点はデメリットといえます。
以上、乳がんのFUSについての解説でした。