17.膵臓がん

【2026年更新】すい臓がんと糖尿病の関連性を解説。リスク因子、早期発見のポイント、検査方法などを詳しく

すい臓がんと糖尿病

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すい臓がんと糖尿病の密接な関係性

こんにちは。がん治療専門アドバイザー、本村ユウジです。

すい臓がんと糖尿病の間には、多くの方が知らない重要な関連性があります。2023年には膵臓がんによる死亡者数が40,000人を超え、がん種別死亡者数では胃がんを抜いて第3位となりました。

すい臓は胃の後ろにある長さ約15~20cmほどの臓器で、2つの重要な機能を持っています。1つは消化液である膵液を分泌する外分泌機能、もう1つは血糖値を調整するホルモン(インスリンなど)を分泌する内分泌機能です。

この2つの機能のうち、特に内分泌機能と糖尿病の関係が、すい臓がんの早期発見において重要な手がかりとなることがあります。

すい臓がんの患者さんにおける糖尿病の割合

すい臓がんと診断された患者さんのうち、糖尿病を合併している方の割合は高いことが知られています。研究によると、すい臓がん患者さんの約半数が糖尿病を有していると報告されています。

しかし、この事実は意外にも医療現場で見過ごされることがあります。糖尿病の治療を専門とする内分泌科の医師は、消化器領域については専門外であるため、すい臓の状態を詳しく調べることが少ない傾向があるのです。

双方向の関連性:どちらが原因でどちらが結果か

すい臓がんと糖尿病の関係には、2つの側面があります。

関連性のパターン 詳細
すい臓がんが糖尿病を引き起こす がんによって膵臓の組織が破壊され、インスリンを分泌する細胞(β細胞)の機能が低下することで糖尿病を発症する
糖尿病がすい臓がんのリスク因子となる 特に2型糖尿病では、インスリン抵抗性により高インスリン血症となり、これが細胞増殖を促進してがん発生リスクを高める

どちらが先でどちらが後かという因果関係は完全には解明されていませんが、糖尿病を持つ方はすい臓がんの発症リスクが約1.5~2倍高いことが複数の研究で明らかになっています。

糖尿病から見たすい臓がんのリスク

糖尿病の発症時期とすい臓がんリスクの関係

糖尿病とすい臓がんの関連では、糖尿病の発症時期が重要な意味を持ちます。

研究によると、糖尿病発症からの経過年数によって、すい臓がんの発症リスクは次のように変化します。

糖尿病発症からの期間 すい臓がんの発症リスク
1年未満 約5.4~6.7倍
1~4年 約1.86倍
5~9年 約1.72倍
10年以上 約1.36倍

この数字から分かるように、新たに糖尿病と診断された方、特に発症後1年未満の方では、すい臓がんのリスクが極めて高くなっています。

これは、すい臓にできた小さながんがインスリンの分泌を妨げることで糖尿病を引き起こしている可能性を示唆しています。

注意が必要な糖尿病のパターン

以下のような状況では、すい臓がんが隠れている可能性があり、特に注意が必要です。

新たに糖尿病と診断された場合、特に高齢になってから初めて糖尿病を発症した方では、すい臓の精密検査を受けることが推奨されます。

また、これまで安定していた糖尿病の血糖コントロールが、治療を続けているにもかかわらず急に悪化した場合も要注意です。研究によると、経口血糖降下薬からインスリンに切り替えた患者さんでは、その3か月以内にすい臓がんと診断される割合が約12倍に上昇したという報告もあります。

痩せている方や比較的高齢になってから糖尿病を発症した方は、膵臓疾患を原因とする糖尿病である可能性が高く、すい臓がんの危険性に特に注意が必要です。

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すい臓がんによる糖尿病発症のメカニズム

インスリン分泌への影響

すい臓がんがどのように糖尿病を引き起こすのか、そのメカニズムを理解することは重要です。

インスリンは、すい臓にあるランゲルハンス島のβ細胞で作られています。すい臓にがん細胞ができると、膵管が圧迫されて膵管の一部が狭くなります。すると膵液が流れにくくなって内部の圧力が上がり、膵管が拡張します。

この膵管の拡張によって、ランゲルハンス島のβ細胞が障害を受けます。その結果、インスリンの分泌ができなくなって血糖値が上昇し、糖尿病を発症するのです。

がんが大きくなるほど障害を受けるβ細胞も多くなるため血糖値は上昇しますが、早期のがんでも血糖値が上昇することがあります。

高インスリン血症との関連

一方で、糖尿病がすい臓がんのリスクを高める仕組みについても、最近の研究で明らかになってきました。

2型糖尿病、特に肥満を伴う2型糖尿病では、インスリン抵抗性が問題となります。インスリン抵抗性とは、体の細胞がインスリンに適切に反応しなくなる状態です。

この状態が続くと、体は代償的にインスリンの分泌量を増やして「高インスリン血症」となります。高インスリン血症は、消化液を産生している膵外分泌細胞に炎症を引き起こし、それが前がん状態につながると考えられています。

すい臓がんの早期発見が困難な理由

解剖学的な位置による発見の難しさ

すい臓がんは非常に発見が困難ながんとして知られています。その理由は、すい臓の位置と周辺環境にあります。

すい臓は体の中心部、胃の後ろに位置し、十二指腸、小腸、大腸、肝臓などの臓器に囲まれています。この深い位置にあるため、内視鏡などの検査機器が直接届く場所ではありません。

また、すい臓は脂肪や腸管のガスの影響を受けやすく、特に膵尾部(すい臓の左側)は通常の腹部超音波検査では十分に評価できないことがあります。

初期症状の乏しさ

すい臓がんは早期の段階では特徴的な症状がほとんどありません。

がんが進行してから現れる症状には、以下のようなものがあります。

みぞおちや背中の重い感じや痛み、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、体重減少、食欲不振、全身倦怠感などです。

これらの症状が現れたときには、すでにがんが進行している場合が多いのが実情です。

腫瘍マーカーの限界

血液検査で測定できる腫瘍マーカー(CA19-9、CEAなど)は、進行したすい臓がんでは陽性率が高くなりますが、早期のがんでは検出感度が低いという問題があります。

ステージ0やステージ1の早期すい臓がんでは、これらの腫瘍マーカーの異常高値は低率であることが報告されています。

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すい臓がんを早期に発見するための検査

画像検査の種類と特徴

すい臓がんの早期発見には、複数の画像検査を組み合わせることが重要です。

検査方法 特徴 発見できる情報
腹部超音波検査(腹部エコー) 簡便で体への負担が少ない。初期スクリーニングとして有用 膵臓の形状、膵管拡張、膵嚢胞の有無
CT検査 造影剤を使用することで詳細な画像が得られる 腫瘍の位置、大きさ、周囲への浸潤の程度
MRI/MRCP検査 膵管や胆管の描出に優れている 膵管・胆管の拡張や狭窄、膵嚢胞やIPMNの詳細
超音波内視鏡(EUS) 胃や十二指腸から直接膵臓を観察できる高解像度検査 1cm以下の小さな膵臓がんの検出が可能

通常、腹部超音波検査やCT、MRIでまずスクリーニングを行い、すい臓がんが疑われた場合に超音波内視鏡(EUS)や内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)などの精密検査を実施するのが一般的な流れです。

最新の早期発見法

2025年には、すい臓がんの早期発見に向けた新しい検査法が実用化されています。

大阪大学の研究グループは、胃カメラ検査の際に十二指腸乳頭部を洗浄して回収液中のKRAS遺伝子変異を検出する方法により、高い診断精度で早期すい臓がんを診断できることを明らかにしました。この検査は通常の胃カメラ検査に1~2分の追加で実施できる簡便な方法です。

また、九州大学のチームも、胃の内視鏡検査の際に十二指腸液を採取してタンパク質を解析する世界初のスクリーニング法を開発しました。福岡赤十字病院では2025年春以降に導入予定となっており、今後の普及が期待されています。

さらに、尿中のマイクロRNAをAI技術で解析する検査法も登場しており、すでに全国2,000か所以上の医療機関で導入されています。

糖尿病の方が受けるべき検査とタイミング

定期的な膵臓の精密検査の重要性

糖尿病で治療を受けている方は、定期的にすい臓の状態を確認する検査を受けることが推奨されます。

特に以下のような方は、すい臓がんのハイリスク群として、積極的に検査を受けることが重要です。

新たに糖尿病と診断された方、急に血糖コントロールが悪化した方、50歳以上の方、すい臓がんの家族歴がある方、喫煙習慣のある方、慢性膵炎や膵嚢胞を指摘されたことがある方などです。

検査を受けるべきサインと症状

糖尿病の方で、以下のような変化や症状があった場合は、すい臓の精密検査を検討することをおすすめします。

治療をしているのに血糖コントロールが急に不安定になった場合、経口血糖降下薬の効果が低下してインスリン療法への変更が必要になった場合、原因のはっきりしない腹痛や背部痛が続く場合、尿の色が濃くなったり白目が黄色みを帯びたりする場合、理由もなく体重が減少している場合などです。

保険診療での検査について

糖尿病の方は、保険診療ですい臓のMRI検査を受けることが可能です。

特に複数のリスク因子を持つ方では、危険度が増すことに注意が必要です。かかりつけの糖尿病専門医に相談して、消化器内科や膵臓外来での精密検査を受けることを検討してください。

すい臓がんのリスク因子と予防

主なリスク因子

すい臓がんの発症には、複数の要因が関与しています。

リスク因子 リスクの程度
糖尿病(特に新規発症・急激な悪化) 約1.5~2倍(発症1年未満では約5.4~6.7倍)
慢性膵炎 約6.9~11.8倍
膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN) 年率1.1~2.5%で膵がん発生
喫煙 明確なリスク因子
肥満(BMI 30以上) 約3.5倍
家族歴(血縁者にすい臓がん患者がいる) 人数が多いほど高リスク

生活習慣の改善

すい臓がんを完全に予防することは困難ですが、リスクを減らすための対策は可能です。

禁煙は最も重要な予防策の一つです。喫煙はすい臓がんをはじめ多くのがんの独立したリスク因子となっています。

適正体重の維持も重要です。肥満は2型糖尿病のリスクを高め、それがすい臓がんのリスク増加につながります。

過度の飲酒を避けることも大切です。アルコール性慢性膵炎は膵性糖尿病を高率に発症させることが知られています。

すい臓がんの生存率と治療の重要性

病期別の生存率

すい臓がんは、現在でも治療が難しいがんの一つです。5年相対生存率は全体で約8.5~10%程度と報告されています。

しかし、病期によって生存率には大きな差があります。ステージ1で発見できた場合の5年生存率は約40%ですが、ステージ2では約18%、それ以降では数%にまで低下します。

このことから、すい臓がんではステージ0やステージ1の段階で発見し、手術などの治療を行えることが極めて重要であることが分かります。

早期発見の価値

長期予後が期待できる早期のすい臓がんは、腫瘍径1cm以下とされており、主膵管の拡張や嚢胞性病変が間接所見として重要であると提唱されています。

しかし、人間ドックで一般的に行われる腹部超音波検査では、2cm以下のすい臓がんの発見率は50~60%、1cm以下では30%程度とされており、早期発見の難しさがうかがえます。

だからこそ、ハイリスクの方は定期的に、より精度の高い検査を受けることが推奨されるのです。

糖尿病とすい臓がん:医療連携の重要性

専門科の連携が必要な理由

糖尿病で内分泌科や糖尿病内科にかかっている方の中には、すい臓がんが進行していても気づかれないケースが少なからずあります。

これは、糖尿病治療の専門医が消化器領域について十分にフォローできていないことが一因です。逆に、消化器内科医が糖尿病の微妙な変化に気づかないこともあります。

理想的には、糖尿病の治療を受けている方、特に新規発症や急激な悪化があった方については、内分泌科と消化器内科が連携して、すい臓の状態を定期的にチェックする体制が望まれます。

患者さん自身ができること

医療連携が十分でない場合、患者さん自身が積極的に検査を求めることも大切です。

糖尿病で通院している方は、担当医に対して「すい臓の検査も受けたい」と申し出ることができます。特に血糖コントロールが不安定になった場合や、新たに糖尿病と診断された場合は、遠慮せずに相談してください。

また、定期的な人間ドックや健康診断を受ける際には、腹部の検査が含まれているか確認し、可能であれば膵臓に特化した検査オプションを追加することも検討してください。

すい臓がんの症状と見逃してはいけないサイン

部位別の症状の違い

すい臓がんの症状は、がんができる部位によって異なります。

膵頭部(十二指腸に近い部位)にがんが発生すると、多くの場合、黄疸の症状が出現します。これは膵頭部のがんが胆管を圧迫したり胆管に浸潤したりすることで胆汁の流れに障害が出るためです。

黄疸の初期症状としては、尿の色が褐色になることや、目の白目の部分が黄色味を帯びることがあります。進行すると全身の皮膚が黄色くなり、かゆみが出現します。

膵体尾部(すい臓の中央から脾臓寄り)にがんが発生すると、腹痛や背部痛などの痛みを感じることがあります。これはがんが近くにある神経節に浸潤することが原因とされています。

糖尿病の変化との関連

糖尿病を持つ方では、血糖値の変化そのものがすい臓がんのサインとなることがあります。

これまで安定していた血糖コントロールが、食事療法や薬物療法を続けているにもかかわらず急に悪化する場合は、すい臓がんの可能性を考慮する必要があります。

また、糖尿病ではなかった方が、急に糖尿病と診断された場合も、特に高齢の方や痩せている方では、すい臓の精密検査を受けることが推奨されます。

今後の展望:すい臓がん早期発見への取り組み

新しい検査技術の開発

すい臓がんの早期発見に向けて、世界中で研究が進められています。

リキッドバイオプシー(液性生検)と呼ばれる、血液や体液中のがん由来の物質を検出する技術が進歩しています。十二指腸液を用いた検査法や、尿中のマイクロRNAを利用した検査法などが実用化されつつあります。

また、新しい腫瘍マーカーとして、アポリポ蛋白A2(APOA2)アイソフォーム検査が注目されています。この検査は、従来のマーカー(CA19-9)と併用することで、早期のすい臓がんの検出率を向上させる可能性があります。

ハイリスク者のスクリーニング体制

現在、日本では胃・大腸・肺・子宮・乳がんなどに対しては公的ながん検診がありますが、すい臓がんに対する標準的な検診方法は存在していません。

しかし、糖尿病患者さんや家族歴のある方など、ハイリスク者に対しては、積極的なスクリーニングを行う取り組みが広がっています。

今後、2年に1回推奨されている胃がん検診(胃カメラ)の際に、すい臓がんハイリスク者を対象としたスクリーニング検査を追加する体制が整備されれば、より多くの早期すい臓がんが発見される可能性があります。

食事と生活習慣による予防的アプローチ

血糖値管理の重要性

糖尿病を持つ方にとって、適切な血糖値管理はすい臓がんのリスク軽減にもつながる可能性があります。

バランスの取れた食事、適度な運動、適正体重の維持は、糖尿病管理の基本であると同時に、すい臓の健康を保つためにも重要です。

特に2型糖尿病では、インスリン抵抗性を改善することが、高インスリン血症による細胞増殖の抑制につながると考えられています。

定期的な健康チェック

症状がない段階でも、定期的な健康診断や人間ドックを受けることが早期発見につながります。

特に50歳以上の方、喫煙歴のある方、家族にすい臓がんの方がいる方、糖尿病の方、膵嚢胞を指摘されたことがある方などは、腹部の検査を含む検診を定期的に受けることをおすすめします。

異常が見つからなくても、前回の検査結果と比較することで、わずかな変化を捉えることができる場合があります。

参考文献・出典情報

糖尿病、肥満、膵臓がんの関連性が明らかに|医師向け医療ニュースはケアネット

糖尿病の人は「膵臓がん」を発症しやすい 早期発見プロジェクトの成果|糖尿病ネットワーク

【早期発見】糖尿病と膵臓がんについて知っておくべき6つのポイント|パンキャンジャパン

膵臓がんと糖尿病の関係は?~膵臓がんの早期診断に大切なこと~|岡山済生会総合病院

膵がん:膵臓の病気と治療|東京科学大学病院肝胆膵外科

膵性糖尿病|日本内分泌学会

糖尿病診療ガイドライン2024 トピックス|日本糖尿病学会

胃カメラしながら膵がんの早期発見|大阪大学

世界初の膵癌特異的スクリーニング法を開発|九州大学病院

膵臓:国立がん研究センター がん統計

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本村ユウジ
がん治療専門のアドバイザー・本村です。

私の仕事は【がん患者さんに正しい選択を伝えること】です。

「本村さん、おかげで元気になりました」

そんな報告が届くのが嬉しくて、患者さんをサポートしています。

→200通以上の感謝の声(これまでいただいた実際のメールを掲載しています)

しかし毎日届く相談メールは、

「医師に提案された抗がん剤が怖くて、手の震えが止まらない」

「腰がすこし痛むだけで、再発か?転移か?と不安で一睡もできなくなる」

「職場の人も家族さえも、ちゃんと理解してくれない。しょせんは他人事なのかと孤独を感じる」

こんな苦しみに溢れています。

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それに加えて「がん」は私たちから、家族との時間や、積み重ねたキャリア、将来の夢や希望を奪おうとするのです。

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