16.前立腺がん

【2026年更新】前立腺がんの進行速度は?ステージ別予後や年齢による特徴と進行性を徹底解説

前立腺がんは加齢がリスク

こんにちは。がん治療専門アドバイザー、本村ユウジです。

前立腺がんと診断されると、多くの患者さんが「このがんはどのくらいのスピードで進行するのか」という疑問を持たれます。

前立腺がんは他のがんと比べて独特の進行パターンを示すため、正確な理解が治療方針の決定に重要な意味を持ちます。

この記事では、前立腺がんの進行速度の特徴、ステージごとの進行度、年齢による影響について詳しく解説していきます。


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前立腺がんの進行速度の基本的特徴

前立腺がんの最も重要な特徴の一つが、多くの場合で進行速度が緩やかであることです。この特性は、診断後の治療選択において患者さんに時間的余裕を与えてくれます。

緩徐進行型が多い理由

前立腺がんの約70〜80%は、PSA倍加時間(PSAが2倍になる期間)が2年以上の緩徐進行型に分類されます。これは、がん細胞の増殖スピードが比較的遅いことを意味しています。

この緩やかな進行により、診断から治療開始まで数週間から数ヶ月の時間をかけて、自分に適した治療法を検討することが可能です。セカンドオピニオンを求めたり、複数の治療選択肢を比較検討したりする余裕があります。

進行性前立腺がんの存在

一方で、全体の20〜30%程度は進行スピードが速いタイプが存在します。特にグリーソンスコアが8以上の高悪性度がんや、診断時点で既に進行しているケースでは注意が必要です。

PSA倍加時間が6ヶ月未満の場合、進行性が高いと判断され、より積極的な治療介入が推奨されることになります。

ステージ別の進行速度と予後

前立腺がんの進行度は、ステージ(病期)によって分類され、それぞれで進行スピードと予後が異なります。

ステージ分類と特徴

ステージ がんの広がり 進行の特徴 5年生存率
ステージI 前立腺内の限局した部分 進行が遅く、症状がほとんどない ほぼ100%
ステージII 前立腺内に留まるが範囲が広い 比較的緩やか、PSA監視が有効 ほぼ100%
ステージIII 前立腺被膜を超えて浸潤 進行速度が上がる傾向 約95〜98%
ステージIV リンパ節や骨などに転移 進行が速く、全身管理が必要 約30〜50%

限局性前立腺がん(ステージI〜II)の進行パターン

限局性前立腺がんでは、がんが前立腺内に留まっているため、進行は極めて緩やかです。特に低リスク群(PSA値10ng/ml未満、グリーソンスコア6以下、臨床病期T1c〜T2a)では、10年経過しても進行しないケースも少なくありません。

このため、70歳以上の高齢者や他に重篤な疾患を持つ患者さんでは、積極的監視療法(アクティブサーベイランス)という選択肢も考慮されます。定期的なPSA検査と生検によって経過を観察し、進行の兆候が見られた時点で治療を開始する方法です。

局所進行性前立腺がん(ステージIII)の特徴

前立腺の被膜を超えて精嚢や周囲組織に浸潤したステージIIIでは、進行速度が上がります。このステージでは、放置すると5〜10年以内にリンパ節転移や遠隔転移を起こすリスクが高まります。

ただし、適切な治療(手術や放射線療法とホルモン療法の併用)を行うことで、進行を抑制し、長期生存が期待できます。

転移性前立腺がん(ステージIV)の進行と管理

リンパ節や骨、肺などに転移が認められるステージIVでは、進行スピードが速くなります。特に骨転移は前立腺がんの特徴的な転移先で、全体の80〜90%の転移性前立腺がんで認められます。

転移性前立腺がんでは、ホルモン療法が治療の中心となります。初期のホルモン療法は高い奏効率を示しますが、平均18〜24ヶ月で去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)へ進行するケースが多く見られます。


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年齢による前立腺がんの特徴

前立腺がんは「加齢とともに増えるがん」として知られており、年齢によって発症リスクや進行特性が異なります。

年齢別発症リスクと罹患率

年齢層 発症リスク 特徴
50歳未満 きわめて低い(0.1%未満) 家族性の場合を除き稀
50〜59歳 約2% PSA検診で発見されるケースが増加
60〜69歳 約10% 最も診断数が多い年齢層
70〜79歳 約20% 潜在がん(症状のないがん)の割合が高い
80歳以上 約30〜40% 多くは生涯気づかれない潜在がん

高齢者における進行速度の特性

高齢者の前立腺がんは、若年層と比較して進行が遅い傾向があります。これは、加齢によるホルモンバランスの変化や、がん細胞自体の増殖能力の低下が関連していると考えられています。

80歳以上で前立腺がんが発見された場合、多くは他の原因で亡くなるまで進行しない可能性が高く、積極的な治療を行わずに経過観察を選択するケースも増えています。

若年性前立腺がんの注意点

50歳未満で診断される前立腺がんは全体の5%未満ですが、このグループでは進行性が高い傾向が見られます。若年での発症は、遺伝的要因が関与している可能性があり、BRCA1やBRCA2などの遺伝子変異が確認されることもあります。

若年性前立腺がんでは、余命が長いことから、長期的な治療効果と生活の質(QOL)の両立が重要な課題となります。

前立腺がんの増加傾向と背景

日本における前立腺がんの罹患数は、過去数十年で顕著な増加を示しています。

国内の罹患数と死亡数の推移

2023年の最新統計では、前立腺がんの罹患数は年間約9万5千人を超え、男性のがんでは肺がん、大腸がんに次いで第3位となっています。2000年代初頭と比較すると、約3.6倍の増加です。

一方、死亡数も増加傾向にあり、年間約1万3千人が前立腺がんで亡くなっています。ただし、罹患数の増加率と比較すると死亡数の増加率は緩やかで、これは早期発見と治療法の進歩による効果と考えられます。

増加の要因

前立腺がん増加の主な要因として、以下が挙げられます。

第一に、PSA検診の普及です。1990年代後半から日本でもPSA検査が広まり、無症状の早期がんが多く発見されるようになりました。人間ドックや健康診断でのPSA測定が一般化したことで、検診受診率が向上しています。

第二に、人口の高齢化です。前立腺がんは加齢とともに増加するため、日本の高齢化社会の進展が罹患数増加に直結しています。2025年時点で、日本の65歳以上人口は約30%に達しており、今後も前立腺がんの増加が予想されます。

第三に、生活習慣の変化、特に食生活の欧米化が関与している可能性が指摘されています。動物性脂肪の摂取量増加や、大豆製品などの伝統的な日本食の摂取減少が、発症リスクを高めているとの研究結果があります。

国際比較

世界的に見ると、前立腺がんの罹患率には地域差があります。年齢調整罹患率(人口10万人当たり)で比較すると、北米やヨーロッパでは日本の5〜10倍の罹患率となっています。

この差には、人種的要因(アフリカ系やヨーロッパ系の人々でリスクが高い)、PSA検診の実施率の違い、食生活や生活習慣の差異などが関連していると考えられています。


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男性ホルモンと前立腺がんの進行

前立腺がんの進行には、男性ホルモン(アンドロゲン)が深く関与しています。

ホルモン依存性の特徴

前立腺がん細胞の多くは、男性ホルモンによって増殖が促進されます。このため、男性ホルモンの分泌を抑制したり、その作用をブロックしたりするホルモン療法が有効な治療法となります。

ホルモン療法を開始すると、多くの患者さんでPSA値が低下し、がんの進行が抑制されます。しかし、時間の経過とともにホルモン療法への抵抗性を獲得し、去勢抵抗性前立腺がんへ移行することがあります。

加齢によるホルモンバランスの変化

年齢とともに男性ホルモンの分泌量は低下していきます。しかし、前立腺がんは高齢になるほど増加するという一見矛盾した現象が見られます。

これは、ホルモンバランスの変化(男性ホルモンとエストロゲンのバランス)、長期的なホルモン曝露による細胞の変異蓄積、加齢による免疫機能の低下などが複合的に関与していると考えられていますが、詳細なメカニズムは現在も研究が進められています。

骨転移の特徴と進行パターン

前立腺がんは骨に転移しやすいという特徴があります。

骨転移の発生メカニズム

前立腺がん細胞は、骨芽細胞(骨を作る細胞)を活性化させる物質を分泌します。このため、骨転移は造骨性(骨を硬くする)転移として現れることが多く、X線検査やCT検査で白く写ります。

骨転移の好発部位は、脊椎(特に腰椎)、骨盤、大腿骨、肋骨などです。これらの部位に転移が生じると、骨の痛み、病的骨折のリスク、脊髄圧迫による神経症状などが出現する可能性があります。

骨転移の進行と管理

骨転移が認められた場合、ホルモン療法に加えて、骨修飾薬(ゾレドロン酸やデノスマブ)の使用が推奨されます。これらの薬剤は、骨関連事象(病的骨折や脊髄圧迫など)の発生を約30〜40%減少させることが示されています。

また、痛みのコントロールには、放射線療法(外照射や放射性医薬品)が有効です。ストロンチウム89やラジウム223などの放射性医薬品は、骨転移部位に集積して治療効果を発揮します。

散在性の進行パターン

前立腺がんは、かたまりを作らずに散らばりやすいという特性があります。

多発性病変の特徴

前立腺内に複数の独立したがん病巣が存在することが多く、生検で一箇所だけがん細胞が見つかっても、実際には他の部位にもがんが存在する可能性があります。このため、前立腺全摘術を行った際に、生検では発見されていなかった部位にもがんが見つかることがあります。

この散在性のため、放射線療法では前立腺全体を照射範囲に含める必要があり、部分的な治療では再発リスクが高くなります。

治療選択における進行速度の考慮

前立腺がんの治療を選択する際、進行速度は重要な判断材料となります。

リスク分類に基づく治療方針

リスク分類 PSA値 グリーソンスコア 推奨される治療選択肢
低リスク 10未満 6以下 積極的監視療法、手術、放射線療法
中リスク 10〜20 7 手術、放射線療法(±ホルモン療法)
高リスク 20以上 8以上 集学的治療(手術+放射線+ホルモン療法)

年齢と期待余命の考慮

75歳以上で低リスクの前立腺がんが見つかった場合、積極的な治療を行わずに経過観察を選択するケースが増えています。これは、治療による合併症のリスクと、がんの緩やかな進行速度を天秤にかけた判断です。

一方、60歳以下の患者さんでは、期待余命が長いため、根治を目指した積極的治療が推奨されることが多くなります。

進行速度を知るための検査

前立腺がんの進行速度を評価するために、いくつかの検査が用いられます。

PSA倍加時間(PSADT)

PSA値が2倍になるまでの期間を計算したもので、進行速度の指標となります。PSADT が3ヶ月未満の場合は急速進行型、3〜12ヶ月は中程度、12ヶ月以上は緩徐進行型と判断されます。

画像検査による評価

MRI検査(特にmpMRI:マルチパラメトリックMRI)は、がんの局在や浸潤範囲を詳細に評価できます。また、骨シンチグラフィーやPET-CT検査は、転移の有無や範囲を把握するために用いられます。

2025年現在、PSMA-PET検査という新しい画像診断法が普及しつつあります。この検査は、前立腺がん細胞に特異的に結合する物質を用いるため、従来の検査では見つけにくい小さな転移病巣も検出できます。

まとめにかえて

前立腺がんの進行速度は、多くの場合緩やかですが、個々の患者さんによって異なります。ステージ、グリーソンスコア、PSA値、年齢、全身状態などを総合的に評価し、自分に適した治療法を選択することが重要です。

参考文献・出典情報

国立がん研究センター

国立がん研究センター がん情報サービス 前立腺がん

厚生労働省

日本泌尿器科学会

日本臨床腫瘍学会

日本放射線腫瘍学会

日本医学放射線学会

American Cancer Society

NCCN ガイドライン

National Cancer Institute

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本村ユウジ
がん治療専門のアドバイザー・本村です。

私の仕事は【がん患者さんに正しい選択を伝えること】です。

「本村さん、おかげで元気になりました」

そんな報告が届くのが嬉しくて、患者さんをサポートしています。

→200通以上の感謝の声(これまでいただいた実際のメールを掲載しています)

しかし毎日届く相談メールは、

「医師に提案された抗がん剤が怖くて、手の震えが止まらない」

「腰がすこし痛むだけで、再発か?転移か?と不安で一睡もできなくなる」

「職場の人も家族さえも、ちゃんと理解してくれない。しょせんは他人事なのかと孤独を感じる」

こんな苦しみに溢れています。

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