俳優・歌手の西郷輝彦さんが前立腺がんの再発を公表されました。
再発ということは以前に治療を受けたことになりますが、それに関しても「6年前に全摘出の手術を受けた」ことを明らかにされました。
再発の公表は2017年11月末。
来年(2018年)の春先くらいまで治療を優先し、お仕事はセーブされるとのこと。
現時点で分かっていることはそのくらいなので、西郷さんのファンには「具体的にどういうことなのかがよく分からず不安」という方もいらっしゃると思います。
今日の記事では、前立腺がん全摘後の再発とは何か?どういう状況でどんな治療が必要になるのか、という点について解説したいと思います。
前立腺がんの手術とは
前立腺は男性固有の器官で女性には存在しません。
股関節に近い場所にある器官で、ここにがんが発生すると・・・
1.血液内のPSAという項目が上昇する。
2.前立腺内にがんの腫瘍が顕在化する。
ということになります。
PSAは腫瘍マーカーの一種で、前立腺がんの場合はPSAの値に対する信頼性(がんになれば上昇する可能性がとても高い)があります。
一般的には、人間ドッグなどで血液検査を受けたらPSA値が高く検出され(基準値は5.0)、それを受けて精密検査を受けたら前立腺内に腫瘍がみつかった、という流れで診断に至るケースが多いです。
がんと診断されると「治療しましょう」という話になります。
大きく治療法を分類すると、前立腺内にがんが留まっていれば手術か放射線。前立腺外に浸潤、転移があれば手術や放射線は行わず、薬物治療(ホルモン療法あるいは抗がん剤治療)が提案されます。
西郷さんが手術を受けた、ということは6年前の時点では「前立腺内に限局しているがん」だったことが分かります。
放射線を行うケースもありますが、日本の場合は基本的に手術優先です。大きな病院にかかると往々にして外科が優先となり、手術を第一選択として提案されます。
おのずと西郷さんのような有名な芸能人の場合、手術を受ける確率が高くなります。
手術(前立腺全摘除術)は前立腺と精のうを摘出し、その後、膀胱と尿道をつなぐ、といいう方法になります。
前立腺がんの再発
再発というのは「前立腺がんが再び発生した」という意味になります。
手術で前立腺は切除した、という状況なので体内に前立腺という器官は存在しない状態です。
この場合の再発とはどういう状況なのかというと、「前立腺以外の場所に前立腺がんが現れた」ということです。
状況としては
1.PSA値が基準値を超えて高くなったが、画像上でどこにがんがあるか不明。
2.PSAの高値に加えて、画像上でも膀胱や骨盤内のどこか、あるいは骨にがんが存在することが分かった。
のいずれかです。
「1」の場合は転移という言い方はしませんが、「2」の場合はどこそこに転移があった、という言い方をします。転移=遠隔再発と同じ意味です。
どちらの場合でも「手術」「放射線」という治療法は選択できませんので、薬物治療が中心になります。
がんの薬物治療というと「抗がん剤」のイメージが強いですが、前立腺がんの場合は「抗がん剤」を使う前に、よりダメージの少ない「ホルモン剤」を使って「ホルモン療法」を行います。
これでも体調不良はある程度避けられません。
なお、すでにこれまでの6年間で再発予防のためにホルモン療法を実施していた場合は「もうホルモン療法は効果が薄いので、抗がん剤をしましょう」という話になります。
つまり西郷さんは、いずれにしても薬をつかってがんを抑える、という治療を選択することになります。
体調へ与える影響は様々で、使う薬によって出る副作用も異なります。
「何がどのくらい起きるか分からないし、今まで通り”絶対に約束を遂行しなければならない舞台や演劇などの仕事を組むのは難しい”」ということでしょう。
ホルモン療法をされるのか、抗がん剤治療をされるのかによりますが、前立腺がんは他の部位のがんと比べて進行が遅く、薬の効果が出やすいタイプのがんです。
無事に予定されている治療を終えられ、舞台やテレビなどで元気な姿を見せていただけると思います。