乳がんでは自己検診と触診に加えて、マンモグラフィ(乳房X線撮影検査)と、エコー(超音波検査)を併用することが検査の中心となっています。
マンモグラフィは、シコリとして触れない程度のごく早期の乳がんも見つけることができます。被曝量は少なく、体に影響はありません。
マンモグラフィ検診での乳がん発見率は、視触診のみの約2~3倍の効果があります。欧米の調査報告ではマンモグラフィ検診で、50歳以上なら乳がん死亡率が22%減り、40代でも15%減少したという報告もあります。
マンモグラフィでは乳腺やがんは白く、脂肪は黒く映ります。高齢になると乳腺が萎縮し、組織が脂肪に置き換わるため、黒い背景の中に白い乳腺がある、という感じに見えます。30代~40代の女性は脂肪の割合が少なく、乳腺自体が濃密であるため乳房全体が白く映り、がんの判別がむずかしいといえます。
そういう意味では、若い人や脂肪の少ない人にはエコーのほうが適しています。エコーは乳腺が濃密な人でもシコリを発見できますし、痛みを伴わないという利点もあり、稀に袋状の「嚢胞」の中にあるがんも見つかることもあります。
ただし、エコー検査は検査する人の能力によって差が出るという技術的な問題があります。マンモグラフィとエコーには、それぞれに得意不得意があるため適切に組み合わせて検査を受けることが必要です。
マンモグラフィによる乳がん検診の有効性は、欧米において証明されています。いっぽうエコー検査による乳がん検診の有効性については、まだ証明されていません。
そこで、日本人女性を対象に、エコー検査とマンモグラフィを併用する乳がん検診とマンモグラフィ検診とを比較する臨床試験(J-START試験)が行われています。
以上、乳がんの検査についての解説でした。