がん専門のアドバイザー、本村です。
当記事では前立腺がんのホルモン療法「MAB(CAB)療法」について解説しています。
外科的去勢術(精巣の全摘)とLH-RHアゴニストのほかに、前立腺がんのホルモン療法で最近多く選択されているのがMAB(CAB)(Maximum/Combined Androgen Blockade マキシマム/コンバインド・アンドロゲン・ブロッケイド)療法です。
これはLH-RHアゴニストと抗アンドロゲン薬の併用療法です。
実は男性ホルモンは、95%は精巣から分泌されていますが、残り5%は副腎から分泌されています
MAB療法は、精巣から分泌される男性ホルモン(テストステロン)をLH-RHアゴニストで抑え、副腎から分泌される男性ホルモンの作用を抗アンドロゲン薬で抑えることで、男性ホルモンの作用を最大限食い止めるという考え方です。
短期間で効果が出るが経済的負担が大きい
抗アンドロゲン薬には、ステロイド性と非ステロイド性があります。非ステロイド性のほうが男性ホルモンをブロックする作用が強力です。
MAB療法で最もよく使われる抗アンドロゲン薬は、非ステロイド性のビカルタミド(商品名:カソデックス)です。1日1回の服用で、副作用もあまりないことで選択されています。
MAB療法の治療効果は、外科的去勢術やLH-RHアゴニストと比べると、少し高いという程度です。しかし、LH-RHアゴニストよりも効果は早く出ます。ただし、治療費が月5万~10万円くらいと高額で、経済的負担が否めません。
たとえば、MAB療法を短期間行って、前立腺がんを小さくしてから放射線療法を行うと、効果が高くなるといわれています。このように、短期間で行うなら選択として検討できるといえます。
以上、前立腺がんのホルモン療法についての解説でした。