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16.前立腺がん

【2026年更新】前立腺がんの外科的去勢手術(両側精巣摘除術)とは?効果・メリット・デメリットと現在の治療状況

前立腺がんの外科的去勢術(両側精巣摘除術)とは

こんにちは。がん専門のアドバイザー、本村ユウジです。

前立腺がんの治療において、男性ホルモンを抑制する方法は重要な役割を果たしています。この記事では、前立腺がんのホルモン療法の一つである外科的去勢術(両側精巣摘除術)について、2026年現在の治療状況を含めて詳しく解説します。


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外科的去勢術(両側精巣摘除術)とは

外科的去勢術は、前立腺がんに対するホルモン療法として最も古くから行われている治療法です。両側の精巣(睾丸)を手術によって摘出することで、男性ホルモンであるテストステロンの分泌を抑制する治療法です。

前立腺がんの多くは、男性ホルモンの影響を受けて増殖する性質があります。男性ホルモンの約95%は精巣から分泌されており、残りの約5%は副腎から分泌されています。外科的去勢術は、この精巣からの男性ホルモン分泌を完全に止めることで、前立腺がん細胞の増殖を抑制します。

手術の方法と入院期間

外科的去勢術の手術方法は、比較的シンプルです。局所麻酔または下半身麻酔(腰椎麻酔)を使用し、陰嚢の皮膚を切開して精巣を摘出します。手術時間は通常30分程度で、体への負担が少ない手術として知られています。

重要な点として、陰嚢(袋)ごと切除するわけではなく、中にある精巣だけを取り出すため、外見上の変化は比較的少なくなります。入院期間は施設によって異なりますが、3日から7日程度が一般的です。


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治療効果とそのメカニズム

外科的去勢術の効果は確実で即効性があります。手術後1週間から2週間で、血液中のテストステロン値は急激に低下します。去勢状態とは、血清テストステロン値が50ng/dL(0.5ng/mL)未満の状態を指し、外科的去勢術ではこの状態が手術後すぐに達成され、そのまま維持されます。

前立腺がん細胞は男性ホルモンを「栄養」として成長するため、この栄養が断たれることでがん細胞は増殖できなくなり、多くの場合、がんが縮小していきます。この効果はLH-RHアゴニストやアンタゴニストといった薬物療法と同等であることが確認されています。


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外科的去勢術のメリット

外科的去勢術には以下のようなメリットがあります。

確実な効果

一度の手術で確実にテストステロン値を低下させることができ、効果が持続します。薬物療法のように定期的な投薬や注射が不要となります。

経済的負担の軽減

長期的に見ると、外科的去勢術は経済的な利点があります。LH-RHアゴニストの注射薬は月1回で4万円から5万円、3か月に1回では1回あたり7万円から8万円かかります。抗男性ホルモン薬を併用すると、1か月の薬代は7万円を超え、3割負担でも月2万円以上の自己負担が発生します。

これに対して外科的去勢術は、初回の手術費用と入院費用が一時的にかかりますが、以降は定期的な薬剤費用が不要となるため、長期治療となる前立腺がんでは経済性に優れています。

治療の確実性

注射薬の場合、通院が困難な患者さんや定期的な通院を忘れてしまう可能性がある患者さんでは、治療の継続に問題が生じることがあります。外科的去勢術では、一度手術を受ければその後の通院頻度を減らすことができます。

体への負担が少ない

手術自体は30分程度で終了し、全身への影響が少ない局所麻酔または腰椎麻酔で行えます。高齢の患者さんでも比較的安全に受けることができる手術です。

外科的去勢術のデメリット

一方で、外科的去勢術には以下のようなデメリットもあります。

心理的な抵抗感

最も大きなデメリットは、精巣を取り去ってしまうことへの心理的な抵抗感です。男性のシンボルである精巣を失うことは、子どもをつくる年代を過ぎた患者さんであっても、心理的ダメージが大きいことは否めません。多くの患者さんが、この点を理由に薬物療法を選択しています。

不可逆的な治療

薬物療法の場合、治療を中止すれば男性ホルモンの分泌は回復する可能性があります。しかし外科的去勢術は、一度手術を受けると元に戻すことができない不可逆的な治療法です。

副作用

外科的去勢術でも、他のホルモン療法と同様の副作用が現れます。

副作用の種類 症状
性機能障害 性欲の減退、勃起障害(ED)が高い頻度で起こります
更年期様症状 体のほてり(ホットフラッシュ)、発汗など女性の更年期障害に似た症状
骨粗鬆症 男性ホルモンの低下により骨密度が減少し、骨折リスクが高まります
貧血 治療開始後半年以内に起こることがあります
女性化乳房 LH-RHアゴニストより頻度は低いですが、乳房が張ることがあります

現在の実施状況と治療の選択

2026年現在、外科的去勢術を選択する患者さんは減少傾向にあります。これは、LH-RHアゴニストやLH-RHアンタゴニストといった注射薬が開発され、外科的去勢術と同等の効果が得られるようになったためです。

LH-RHアゴニストとの比較

LH-RHアゴニスト(商品名:リュープリン、ゾラデックスなど)は、脳の下垂体に作用して男性ホルモンの分泌を抑制します。1か月製剤、3か月製剤、6か月製剤があり、定期的な注射で治療効果を維持します。

注意点として、LH-RHアゴニストは投与開始直後に一時的にテストステロンが上昇する「フレアアップ現象」が起こることがあり、骨転移部の痛みや排尿困難などの症状が悪化することがあります。このため、初回投与時には抗男性ホルモン薬を併用することが一般的です。

LH-RHアンタゴニストとの比較

LH-RHアンタゴニスト(商品名:ゴナックス)は、LH-RHアゴニストと異なり、投与初期のテストステロン上昇(フレアアップ)が起こりません。より進行した前立腺がんの患者さんや、心臓病の既往がある患者さんには、アンタゴニストの方が適している場合があります。

どのような患者さんに適しているか

2026年現在、外科的去勢術は以下のような患者さんに適応となることがあります。

転移のある進行がん(ステージD)の患者さんで、長期的なホルモン療法が必要と判断される場合、外科的去勢術は選択肢の一つとなります。特に以下のような状況では、外科的去勢術のメリットが大きくなります。

  • 定期的な通院が困難な患者さん
  • 長期的な治療費の負担を軽減したい患者さん
  • 薬物療法の副作用(注射部位の皮膚反応など)が問題となる患者さん
  • 経済的な理由から継続的な薬剤費用の支払いが困難な患者さん

治療費用について

外科的去勢術の費用は、健康保険が適用されます。手術費用と3日から7日程度の入院費用を含めて、3割負担の場合、総額で10万円から20万円程度が目安となります。ただし、個室を希望する場合の差額ベッド代は保険適用外となります。

高額療養費制度を利用すれば、自己負担額をさらに軽減できます。標準報酬月額28万円から50万円の方の場合、月の自己負担限度額は約8万円程度となります。

長期的な費用比較

外科的去勢術と薬物療法の費用を長期的に比較すると、以下のようになります。

治療期間 外科的去勢術(3割負担) LH-RHアゴニスト(3割負担・3か月製剤)
初回 約10~20万円 約2万円
1年間 約10~20万円(初回のみ) 約8万円(年4回)
3年間 約10~20万円(初回のみ) 約24万円(年4回×3年)
5年間 約10~20万円(初回のみ) 約40万円(年4回×5年)

このように、治療が長期化するほど外科的去勢術の経済的メリットが大きくなります。

ホルモン療法が効かなくなる場合

ホルモン療法を継続していくと、治療効果が徐々に薄れてくることがあります。これを「去勢抵抗性前立腺がん」と呼びます。

去勢抵抗性前立腺がんになるまでの期間は個人差が大きく、2年から10年程度とされています。骨転移のある患者さんでも、ホルモン療法だけで10年以上コントロールされる場合もあります。

去勢抵抗性前立腺がんに対しては、新規ホルモン剤(イクスタンジ、ザイティガなど)や化学療法(ドセタキセル、カバジタキセルなど)といった治療選択肢があります。

治療選択における考え方

外科的去勢術と薬物療法のどちらを選ぶかは、患者さん一人ひとりの状況や価値観によって異なります。担当医とよく相談して、以下の点を考慮しながら決定することが大切です。

  • 治療効果:どちらも同等の効果が期待できます
  • 心理的な抵抗感:精巣摘出への心理的影響を考慮します
  • 通院の利便性:定期的な通院が可能かどうか
  • 経済的な負担:長期的な費用を含めて検討します
  • 副作用:両者で共通する副作用が多いですが、薬物療法では注射部位の反応などがあります
  • 治療の可逆性:将来的に治療を中止する可能性を考慮します

現在の医療では、外科的去勢術を第一選択とする医療機関は少なくなっていますが、患者さんの状況によっては有効な選択肢となります。特に経済的な理由や通院の困難さがある場合には、外科的去勢術の利点が大きくなります。

2026年の治療トレンド

2026年現在、前立腺がんのホルモン療法では、転移のある進行がんに対して、従来のLH-RHアゴニスト・アンタゴニストに加えて新規ホルモン剤を併用する「ダブレット療法」や、さらに抗がん剤を組み合わせた「トリプレット療法」が行われることが増えています。

外科的去勢術は、こうした新しい治療法の基盤となる去勢状態を作り出す方法の一つとして、引き続き重要な役割を果たしています。

前立腺がんの治療は、患者さんの年齢、全身状態、がんの進行度、価値観など、さまざまな要因を総合的に考慮して決定されます。外科的去勢術について正しく理解し、担当医とよく相談しながら、ご自身に最適な治療法を選択しましょう。

参考文献・出典情報

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本村ユウジ
本村ユウジ
がん治療専門のアドバイザー・本村です。

私の仕事は【がん患者さんに正しい選択を伝えること】です。

「本村さん、おかげで元気になりました」

そんな報告が届くのが嬉しくて、患者さんをサポートしています。

→200通以上の感謝の声(これまでいただいた実際のメールを掲載しています)

しかし毎日届く相談メールは、

「医師に提案された抗がん剤が怖くて、手の震えが止まらない」

「腰がすこし痛むだけで、再発か?転移か?と不安で一睡もできなくなる」

「職場の人も家族さえも、ちゃんと理解してくれない。しょせんは他人事なのかと孤独を感じる」

こんな苦しみに溢れています。

年齢を重ねると、たとえ健康であっても、つらいことはたくさんありますよね。

それに加えて「がん」は私たちから、家族との時間や、積み重ねたキャリア、将来の夢や希望を奪おうとするのです。

なんと理不尽で、容赦のないことでしょうか。

しかしあなたは、がんに勝たねばなりません。

共存(引き分け)を望んでも、相手はそれに応じてくれないからです。

幸せな日々、夢、希望、大切な人を守るには勝つしかないのです。

では、がんに勝つにはどうすればいいのか?

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経験18年以上。プロのアドバイザーによる徹底解説。

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