前立腺がんの治療のなかで男性ホルモンを抑制する方法として最も古くから行われているのが、外科的去勢術です。
両側の精巣(睾丸)を手術によって摘出し、精巣から分泌される男性ホルモンをなくすことを目的とします。効果は確実で、手術の1~2週間後には、血液中のテストステロンの量は急激に低下し、そのままの状態を保ちます。
また、手術も30分程度ですみ、体の負担が少ないのが大きな利点。袋(陰嚢)ごと切除するわけではなく、中にある精巣だけを取り出すので、外見上はそれほど違和感がありません。治療費も比較的安価で行えることも利点の1つです。
ただし、男性のシンボルである精巣を取り去ってしまうことは、子どもをつくる年代を過ぎた人でも、心理的ダメージや抵抗感があることは否めません。
現在では、外科的去勢術と同じ効果を得られる薬剤のLH-RHアゴニスト・アンタゴニストがあるので、この治療法は減る傾向にあります。