乳がんで「乳房温存療法+術後抗がん剤治療+抗HER2療法」を受けた場合の治療費についてモデルケースを提示します。
実際の医療費は病状や施設によって異なりますが、参考にはなると思います。
乳房温存療法+術後抗がん剤治療+抗HER2療法の治療費(モデルケース)
・病状
閉経後の50歳代の女性。しこり2cmの浸潤がん。ホルモン受容体陰性、HER2陽性。
・治療方針
温存療法(乳房温存手術十放射線療法)の後、術後抗がん剤治療と抗HER2療法を併用する。
・治療経過
入院翌日に乳房温存手術とセンチネルリンパ節生検を受ける。リンパ節転移が陽性だったため、リンパ節郭清をして、術後5日目に退院。入院6泊7日。
その後放射線療法を25回。FEC4サイクル+パクリタキセル4サイクルの後、抗HER2療法としてトラスツズマブ(ハーセプチン)18サイクルを行う。
治療費の概算(自己負担額(3割)の金額)
概算費用 | 治療スケジュール | |
手術+入院 | 260,000円(センチネルリンパ生検含む) | 入院6泊7日 |
放射線療法 | 7,000円×25回=175,000円 | 週5回×5週間 |
抗がん剤治療 | FEC 32,230円×4回=128,920円 パクリタキセル(毎週)12,231円×12回=146,772円 計275,692円 |
FECは3週間に1回の点滴を約3か月。 パクリタキセルは週に1回の点滴を約4カ月。 |
抗HER2療法 | ハーセプチン18回=655,310円 | 3週間に1回の点滴を18回で約1年間。 |
合計金額:1,366,002円
分子標的治療薬のトラスツズマブ(ハーセプチン)は高額な薬であるだけでなく、初期治療では抗がん剤との併用が基本となっているため、1年~1年半の問に100万円を超えるお金が必要になります。
HER2陽性の乳がんにはとてもよく効く薬ですが、経済的に大きな負担となることは否めません。
以上、乳がんの治療費についての解説でした。