05.肺がん

【2026年更新】肺がん手術後の定期検査について詳しく解説。経過観察のタイミングと検査内容について

肺がん治療後の定期検査

こんにちは。がん治療専門アドバイザー、本村ユウジです。

肺がんの手術を終えて退院した後、多くの患者さんが「これからどのくらいの頻度で病院に通うのか」「どのような検査を受けるのか」といった疑問を持たれます。

手術後の定期検査は、再発の早期発見だけでなく、手術による合併症の管理、残った肺の機能評価、生活の質を保つために重要な役割を果たします。この記事では、肺がん手術後の定期検査について、具体的なスケジュールと検査内容を詳しく解説します。


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肺がん手術直後の経過観察期間

肺がんの手術を受けて退院した直後は、手術創の回復状況や術後合併症の有無を確認するため、比較的短い間隔での通院が必要になります。

退院後の最初の1~3ヶ月間は、患者さんの状態や手術の規模に応じて、1~4週間に1回のペースで外来を受診します。この時期は、手術による影響が最も現れやすい期間です。

手術直後に注意すべき合併症

肺がん手術後に起こりうる合併症には、いくつかの種類があります。

手術創の感染は、退院後数週間以内に起こる可能性があります。創部の赤み、腫れ、熱感、膿が出るなどの症状が見られた場合は、早めに受診が必要です。

気管支断端瘻(きかんしだんたんろう)は、切除した気管支の縫合部から空気が漏れる合併症です。発熱や呼吸困難、胸痛などの症状が現れることがあります。

肺炎は、手術によって肺の防御機能が低下するため、術後数週間から数ヶ月の間に発症しやすくなります。発熱、咳、痰の増加などの症状に注意が必要です。

無気肺は、肺の一部が膨らまなくなる状態です。手術後の痛みで深呼吸ができない、痰が十分に出せないなどの理由で起こります。

不整脈は、特に肺葉切除や肺全摘出など大きな手術の後に起こりやすい合併症です。動悸や息切れ、めまいなどの症状が現れることがあります。

これらの合併症は、手術直後だけでなく、退院後数ヶ月経過してから現れることもあります。そのため、手術後3ヶ月頃までは特に注意深い観察が必要です。

通院する病院の選択

経過観察のための通院先は、手術を受けた病院で継続することもできますし、自宅近くの病院に紹介してもらうこともできます。

遠方の専門病院で手術を受けた患者さんの場合、地元の医療機関と連携しながら経過観察を行うことが一般的です。定期的な画像検査は専門病院で受け、日常的な診察は地元の病院で受けるという形も可能ですので、主治医に相談してみましょう。

肺がん手術後の定期検査スケジュール

手術直後の集中的な経過観察期間を過ぎると、長期的なフォローアップのための定期検査に移行します。

一般的に、肺がん手術後は3~6ヶ月に1回の頻度で定期検査を受けることが推奨されます。ただし、このスケジュールは患者さんの病理結果、がんの進行度、切除範囲によって調整されます。

病理病期別の定期検査頻度

手術で摘出した組織の病理検査結果により、がんの進行度(病理病期)が確定します。この病期に応じて、定期検査の頻度が設定されます。

時期 病理病期IA期 病理病期IB~II期 病理病期III期
手術後1年目 3~6ヶ月ごと 3~4ヶ月ごと 2~3ヶ月ごと
手術後2年目 6ヶ月ごと 4~6ヶ月ごと 3~4ヶ月ごと
手術後3~5年目 6~12ヶ月ごと 6ヶ月ごと 4~6ヶ月ごと
手術後5年以降 12ヶ月ごと 6~12ヶ月ごと 6ヶ月ごと

これらの頻度は標準的な目安であり、患者さん個々の状態、術後補助療法の有無、全身状態などに応じて調整されます。

術後補助療法を受けた場合

手術後に化学療法や放射線治療などの補助療法を受けた患者さんは、その治療期間中も定期的な検査が行われます。

術後化学療法を受ける場合、通常は手術後4~8週間以内に開始され、3~4週間ごとに4サイクル程度実施されます。この期間中は、化学療法の効果と副作用を確認するため、治療のたびに血液検査や画像検査が行われます。

術後放射線治療を受ける場合も、治療期間中は週に1回程度の診察と、必要に応じた画像検査が行われます。


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手術後の定期検査で行われる検査項目

定期検査では、再発の有無だけでなく、手術による長期的な影響や残存肺の機能を確認するため、複数の検査が組み合わせて行われます。

問診と身体診察

まず、医師による問診と身体診察が基本となります。

問診では、息切れの程度、咳や痰の状態、体重の変化、食欲、疲労感、痛みなどについて確認します。新たに現れた症状がないか、日常生活に支障がないかなどを医師に伝えることが大切です。

身体診察では、聴診器で呼吸音を聞いたり、手術創の状態を確認したり、リンパ節の腫れがないかを触診したりします。

血液検査

血液検査は定期検査の基本項目です。手術後の経過観察では、以下のような項目を確認します。

血球数(白血球、赤血球、血小板)の測定により、全身状態や貧血の有無を確認します。手術後や補助化学療法後は、一時的に血球数が低下することがありますが、時間とともに回復します。

肝機能検査(AST、ALT、ALP、γ-GTPなど)では、肝臓への転移の可能性や、手術や薬物による肝機能への影響がないかを確認します。

腎機能検査(クレアチニン、尿素窒素、eGFRなど)では、腎臓の機能を評価します。造影CT検査を行う前には、造影剤の使用が可能かどうかを判断するため、必ず腎機能を確認します。

電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウムなど)のバランスも確認します。

腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカーは、がんの存在や再発を示唆する血液中の物質です。肺がん手術後の経過観察では、以下のような腫瘍マーカーが測定されます。

腫瘍マーカー 主に上昇する肺がんの組織型 特徴
CEA(癌胎児性抗原) 腺がん 最も一般的に測定される
CYFRA(サイトケラチン19フラグメント) 扁平上皮がん、腺がん 肺がん全体で感度が高い
SCC(扁平上皮癌関連抗原) 扁平上皮がん 扁平上皮がんに特異的
ProGRP(ガストリン放出ペプチド前駆体) 小細胞がん 小細胞がんで高感度
NSE(神経特異エノラーゼ) 小細胞がん 小細胞がんの経過観察に有用

手術前に腫瘍マーカーが上昇していた患者さんでは、手術後に正常値まで下がることが期待されます。その後の定期検査で再び上昇してきた場合は、再発の可能性を考えて精密検査が行われます。

ただし、腫瘍マーカーは単独で診断に使うのではなく、画像検査など他の検査結果と合わせて総合的に判断します。また、腫瘍マーカーは、がん以外の原因(炎症、喫煙、良性疾患など)でも上昇することがあるため、一度の上昇だけで再発と判断するわけではありません。

画像検査

画像検査は、肺の状態や他の臓器への転移の有無を確認するために不可欠です。

胸部X線検査

胸部X線検査は、最も基本的な画像検査です。簡便で放射線被曝も少ないため、外来受診のたびに行われることが多い検査です。

手術後の肺の状態、胸水の有無、新たな陰影の出現などを確認します。ただし、小さな病変の検出には限界があるため、より詳細な評価にはCT検査が必要です。

胸部CT検査

胸部CT検査は、X線検査よりも詳細に肺や縦隔の状態を観察できる検査です。肺がん手術後の定期検査では、最も重要な画像検査といえます。

定期検査では、通常3~6ヶ月に1回程度の頻度で行われます。手術後1~2年目は3~6ヶ月ごと、3年目以降は6~12ヶ月ごとというように、年数が経つにつれて間隔を延ばしていくことが一般的です。

CT検査で確認する内容は、手術を行った側の肺の状態、反対側の肺の状態、縦隔リンパ節の腫大の有無、肝臓や副腎などへの転移の有無などです。

造影剤を使用するかどうかは、患者さんの腎機能や、前回の検査結果などを考慮して判断されます。造影剤を使用すると、リンパ節や血管の評価がより正確にできますが、腎機能が低下している患者さんでは使用できない場合があります。

呼吸機能検査

肺がん手術後は、肺の一部または全部を切除しているため、呼吸機能が低下します。呼吸機能検査は、残存肺の機能を評価し、日常生活への影響を確認するために行われます。

スパイロメトリーという検査では、肺活量(肺に入る空気の最大量)や1秒量(息を吐き出すときの最初の1秒間に吐き出せる空気の量)を測定します。

手術直後は呼吸機能が大きく低下しますが、残った肺が代償的に機能を補うことで、数ヶ月かけて徐々に改善していきます。定期的に測定することで、回復の経過を確認できます。

気管支鏡検査

気管支鏡検査は、細いカメラを気管支に挿入して、肺の内部を直接観察する検査です。

すべての患者さんに定期的に行われるわけではありませんが、気管支の断端(切除部位)の状態を確認したい場合や、画像検査で気管支内に異常が疑われる場合に実施されます。

特に、気管支の内側に発生した中枢型肺がんの手術後では、6~12ヶ月ごとに気管支鏡検査を行うことがあります。この検査により、画像検査では分かりにくい早期の再発や、新たながんの発生を発見できる可能性があります。

肺がん手術後の再発について

肺がんの手術によってがんを完全に切除できた場合でも、目に見えない微小ながん細胞が残っていて、時間が経ってから増殖して再発することがあります。

再発の時期

肺がん手術後の再発は、統計的に手術後2年以内に起こることが最も多いとされています。そのため、最初の2年間は特に注意深い経過観察が必要です。

ただし、2年を過ぎてから再発するケースもあります。一般的には、手術後5年間再発がなければ「治癒」と判断されることが多いですが、5年以上経過してから再発することもあります。

再発のリスクは、がんの進行度、組織型、リンパ節転移の有無などによって異なります。病理病期が進んでいるほど、リンパ節転移があるほど、再発のリスクは高くなります。

再発のパターン

肺がん手術後の再発には、いくつかのパターンがあります。

局所再発は、手術を行った部位やその周辺に再びがんが現れることです。気管支断端(切除した気管支の端)や、手術創の近くに発生します。

リンパ節再発は、縦隔(胸の中央部)や肺門(肺の付け根)、首、鎖骨上などのリンパ節に転移が現れることです。

遠隔転移は、肺から離れた臓器に転移が現れることです。肺がんの手術後は、脳、骨、肝臓、副腎、反対側の肺などへの転移が起こりやすいとされています。

再発のパターン 発生部位 主な症状
局所再発 手術部位周辺、気管支断端 咳、血痰、呼吸困難
リンパ節再発 縦隔、肺門、頸部、鎖骨上 声のかすれ、顔や腕のむくみ
遠隔転移(脳) 頭痛、吐き気、麻痺、けいれん
遠隔転移(骨) 脊椎、肋骨、骨盤など 腰痛、背部痛、骨折
遠隔転移(肝臓) 肝臓 腹部膨満感、黄疸(進行時)
遠隔転移(副腎) 副腎 多くの場合無症状

再発の早期発見

再発が起きた場合でも、早期に発見して治療を開始することで、症状を軽減したり、生存期間を延長したりできる可能性があります。

定期検査で発見される再発は、症状が出る前の早期段階であることが多く、治療の選択肢も広がります。逆に、症状が出てから受診した場合は、すでに進行していることが多く、治療が難しくなります。

このため、定期検査を欠かさず受けることが重要です。また、定期検査の間隔の間に、気になる症状が現れた場合は、次の定期検査を待たずに早めに受診することが勧められます。


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手術後の生活における注意点

定期検査による医学的な管理だけでなく、日常生活での注意も、良好な経過を保つために大切です。

呼吸機能の回復と管理

肺がん手術で肺を切除した患者さんは、残った肺で呼吸機能を補う必要があります。手術の規模が大きいほど、息切れを感じやすくなります。

ゆっくりとした腹式呼吸を心がけることで、残存肺の機能を効率的に使うことができます。鼻から息を吸い、お腹を膨らませながらゆっくり吐く練習を、日常的に行うとよいでしょう。

息苦しさが強い場合、特に肺全摘出術を受けた患者さんや、もともと呼吸機能が低下していた患者さんでは、在宅酸素療法が必要になることがあります。これは、自宅で酸素吸入用の機械を使用する治療法です。医師に相談して、必要性を判断してもらいましょう。

呼吸リハビリテーションも有効です。理学療法士の指導のもと、呼吸訓練や運動療法を行うことで、呼吸機能の改善や、日常生活動作能力の向上が期待できます。

感染症の予防

肺の機能が低下していると、肺炎などの呼吸器感染症にかかりやすくなります。また、手術や術後補助療法により免疫力が低下している可能性もあるため、感染症予防は重要です。

具体的な予防策として、こまめなうがいと手洗いが基本です。外出から帰宅した際や食事の前には必ず行いましょう。

室内の湿度を適切に保つことも大切です。乾燥すると気道の粘膜が傷つきやすくなり、感染のリスクが高まります。加湿器を使用するなどして、湿度を50~60%程度に保つよう心がけましょう。

人混みを避けることも、特に冬季のインフルエンザ流行期には重要です。やむを得ず人混みに行く場合は、マスクを着用しましょう。

インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの接種が推奨されます。肺がん手術後の患者さんは、これらの感染症にかかると重症化しやすいため、予防接種を受けることが勧められます。接種の時期や回数について、主治医に相談してください。

禁煙の徹底

喫煙は、肺がんの再発リスクを高めるだけでなく、残存肺の機能低下を促進し、手術後の合併症のリスクも増加させます。手術後も喫煙を続けることは、健康にとって大きなマイナスです。

手術を機に禁煙に成功した患者さんも、ストレスや周囲の喫煙者の影響で、再び喫煙してしまうことがあります。禁煙は長期的な取り組みが必要ですので、必要に応じて禁煙外来などのサポートを利用しましょう。

受動喫煙も避けることが大切です。家族に喫煙者がいる場合は、協力を求めましょう。

栄養管理と体重維持

手術後は、食欲低下や味覚の変化などにより、体重が減少することがあります。適切な栄養摂取と体重維持は、体力回復や免疫力の維持に重要です。

バランスの取れた食事を心がけ、タンパク質を十分に摂取しましょう。肉、魚、卵、大豆製品などを毎食取り入れることが推奨されます。

食欲がない場合は、1回の食事量を減らして、食事の回数を増やす方法もあります。栄養補助食品を利用することも検討できます。

体重が減少し続ける場合や、食事が十分に取れない場合は、主治医や栄養士に相談しましょう。

体力の回復と社会復帰

肺がん手術後、合併症がなく回復が順調であれば、徐々に日常生活を送ったり、仕事に復帰したりすることが可能です。

ただし、手術前と比べると、体力や呼吸機能が低下していることが多いため、無理をせず、ゆっくりと社会復帰を進めることが大切です。

退院直後から、散歩などの軽い運動を始め、少しずつからだを動かして慣らしていきましょう。最初は短い距離や時間から始め、徐々に延ばしていきます。息切れや疲労を感じたら、無理せず休憩を取りましょう。

仕事への復帰は、主治医と相談しながら、勤務時間や業務内容を調整することが望ましいです。いきなりフルタイムで働くのではなく、短時間勤務から始めたり、デスクワークに配置換えしてもらったりするなど、段階的に進めることで、からだへの負担を減らせます。

重い物を持つ、階段の上り下りが多い、粉塵が多いなど、呼吸器に負担がかかる作業は避けるか、配慮してもらうよう相談しましょう。

定期検査を継続することの意義

定期検査を受け続けることは、通院の時間や費用、検査による身体的負担を伴いますが、その意義は大きいです。

まず、再発を早期に発見できる可能性が高まります。定期検査で発見される再発は、症状が出る前の段階であることが多く、治療の選択肢が広がり、予後の改善につながります。

また、手術後の合併症や長期的な影響の管理も定期検査の重要な役割です。呼吸機能の低下、栄養状態の悪化、心臓への負担などを早めに見つけて対処することで、生活の質を保つことができます。

定期的に医師と顔を合わせることで、不安や疑問を相談する機会も得られます。からだの変化や日常生活での困りごとについて、気軽に相談できる関係を築くことは、精神的な支えにもなります。

定期検査の予定や内容について分からないことがあれば、遠慮せずに医療スタッフに質問しましょう。

参考文献・出典情報

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス「肺がん 治療後の経過観察」https://ganjoho.jp/public/cancer/lung/follow-up.html
  2. 日本肺癌学会「肺癌診療ガイドライン 2023年版」https://www.haigan.gr.jp/guideline/
  3. 国立がん研究センター東病院「肺がんの手術後の経過観察」https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/clinic/thoracic_surgery/
  4. 日本呼吸器外科学会「肺がん手術について」https://www.jacsurg.gr.jp/
  5. 日本呼吸器学会「呼吸器疾患診療ガイドライン」https://www.jrs.or.jp/publication/jrs_guidelines/
  6. 国立がん研究センター中央病院「肺がん診療科」https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/clinic/thoracic_oncology/
  7. 日本臨床腫瘍学会「がん診療ガイドライン」https://www.jsmo.or.jp/about/guideline.html
  8. 厚生労働省「がん対策情報」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/gan/
  9. がん研究会有明病院「肺がんの診断と治療」https://www.jfcr.or.jp/hospital/cancer/type/lung.html
  10. 日本癌治療学会「がん治療ガイドライン」https://www.jsco.or.jp/

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本村ユウジ
がん治療専門のアドバイザー・本村です。

私の仕事は【がん患者さんに正しい選択を伝えること】です。

「本村さん、おかげで元気になりました」

そんな報告が届くのが嬉しくて、患者さんをサポートしています。

→200通以上の感謝の声(これまでいただいた実際のメールを掲載しています)

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「医師に提案された抗がん剤が怖くて、手の震えが止まらない」

「腰がすこし痛むだけで、再発か?転移か?と不安で一睡もできなくなる」

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