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がん治療中に起こる爪のトラブルとは
こんにちは。がん治療専門アドバイザー、本村ユウジです。
がん治療を受けている間に、爪の色が黒ずんできた、爪が割れやすくなった、爪が浮いてきたといった変化を経験する患者さんは少なくありません。
これらは抗がん剤や分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤による副作用として知られており、医学的には「爪甲色素沈着」「爪甲剥離」「爪囲炎」などと呼ばれています。
爪のトラブルは見た目の変化だけでなく、痛みや不快感を伴うことがあります。ボタンをかける、靴を履く、キーボードを打つといった日常的な動作が困難になり、生活の質に影響を与えることもあります。
しかし、適切なケアと保護の方法を知ることで、症状を和らげ、悪化を防ぐことは可能です。この記事では、爪のトラブルが起こる理由から、具体的なネイルケアの方法、日常生活での保護のポイントまで、詳しく解説していきます。
なぜがん治療で爪にトラブルが起こるのか
がん治療による爪の変化は、治療薬の作用機序や治療の種類によって異なります。その原因を理解することで、適切な対処法を選択しやすくなります。
抗がん剤による爪への影響
抗がん剤は、細胞分裂が活発ながん細胞を攻撃する仕組みで働きます。ところが、爪を作る爪母(そうぼ)の細胞も分裂が活発なため、同時にダメージを受けやすくなります。
特にタキサン系薬剤(パクリタキセル、ドセタキセル)は、爪のトラブルを起こしやすいことが知られています。これらの薬剤による爪の症状は、治療開始から数週間から数ヶ月後に現れることが多く、投与回数が増えるにつれて症状が強くなる傾向があります。
| 抗がん剤の種類 | 爪のトラブル発生頻度 | 主な症状 |
|---|---|---|
| タキサン系(パクリタキセル、ドセタキセル) | 高い(30-50%) | 爪の変色(黒褐色)、爪甲剥離、爪囲炎、爪の肥厚 |
| アントラサイクリン系(ドキソルビシン) | 中程度(10-30%) | 爪の色素沈着、横線(ボー線) |
| フルオロウラシル系 | 中程度(10-20%) | 爪の色素沈着、爪の脆弱化 |
| エトポシド | 比較的低い | 爪の色素沈着 |
爪の変色は、メラニン色素の沈着や出血によるものです。黒褐色、茶色、青紫色など様々な色調を示します。爪全体が変色することもあれば、横線や縦線として現れることもあります。
爪甲剥離(そうこうはくり)は、爪が爪床から浮き上がる状態です。爪の先端から始まることが多く、進行すると爪の半分以上が浮いてしまうこともあります。浮いた部分は白っぽく見え、物がぶつかると痛みを感じます。
爪囲炎(そういえん)は、爪の周囲の皮膚に炎症が起こる状態です。赤く腫れ、押すと痛みがあり、化膿することもあります。細菌や真菌(カビ)の感染が起こると、症状が悪化し、治りにくくなります。
分子標的薬による爪のトラブル
EGFR阻害薬(セツキシマブ、パニツムマブ、エルロチニブなど)やマルチキナーゼ阻害薬(スニチニブ、ソラフェニブなど)といった分子標的薬も、爪の周囲の炎症を起こすことがあります。
これらの薬剤では、爪周囲の皮膚が赤く腫れ、膿を持つ「爪囲炎」や、爪が肉に食い込む「陥入爪(かんにゅうそう)」が発生しやすくなります。また、爪の成長が遅くなったり、爪が割れやすくなったりすることもあります。
免疫チェックポイント阻害剤の影響
ニボルマブ(オプジーボ)、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)、アテゾリズマブ(テセントリク)などの免疫チェックポイント阻害剤では、免疫関連有害事象(irAE)として、爪や爪周囲の炎症が起こることがあります。
発生頻度は比較的低いものの、一度発症すると症状が遷延(せんえん)することがあります。爪の変形、爪甲剥離、爪囲炎などが報告されています。
その他の要因
放射線治療が手足に照射された場合にも、爪の成長が遅くなったり、変形したりすることがあります。
治療による食欲不振や味覚変化で栄養状態が悪化すると、爪を作るのに必要なタンパク質、ビタミン、ミネラル(特に亜鉛、鉄、ビオチン)が不足し、爪がもろくなることがあります。
免疫力の低下により、爪の周囲や浮いた爪の下に細菌や真菌が感染しやすくなります。感染が起こると、爪のトラブルはさらに悪化し、治療が困難になることがあります。
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爪を守るネイルケアの実践方法
がん治療中の爪は、健康な時よりも脆弱で敏感な状態です。これまでのネイルケアを見直し、爪に負担をかけない優しいケアに切り替えることが重要です。
清潔と保湿が基本
爪のトラブルを防ぎ、悪化させないための第一歩は、清潔に保つことと保湿です。
手足を洗う時は、低刺激性の石鹸やボディソープを使い、爪の周りを指の腹で優しく洗います。爪ブラシを使う場合は、柔らかいものを選び、力を入れすぎないように注意します。
お湯の温度は、熱すぎると皮膚や爪を乾燥させるため、ぬるま湯(38-40度程度)が適切です。洗った後は、石鹸成分が残らないよう、しっかりとすすぎます。
水分を拭き取る際は、タオルでゴシゴシこすらず、押さえるようにして水気を取ります。爪の周りの皮膚も丁寧に拭きます。
保湿は、洗浄後すぐに行うのが効果的です。爪専用のキューティクルオイルやネイルオイルを爪の根元(甘皮部分)に塗り、爪全体と爪の周囲の皮膚にもしっかりと馴染ませます。
ハンドクリームやワセリン、尿素配合クリームなども使えます。特にワセリンは、皮膚や爪の表面に膜を作り、水分の蒸発を防ぐ効果があります。
保湿は1日に何度も行います。手を洗った後、入浴後、就寝前は必ず保湿し、日中も乾燥を感じたら塗り直します。就寝時には、保湿剤を塗った後に綿の手袋をはめると、保湿効果が高まります。
爪を短く整える
爪が長いと、物にぶつけたり引っかけたりして、割れたり剥がれたりするリスクが高まります。治療中は爪を短めに保つことが推奨されます。
爪切りよりも爪やすりの使用が適しています。爪切りで切ると、爪に衝撃が加わり、割れや欠けの原因になることがあります。爪やすりは、目の細かいガラス製やセラミック製のものを選びましょう。
やすりのかけ方は、爪の端から中央に向かって一定方向に動かします。往復してゴシゴシこするのは避けます。爪の形は、四角く整えるスクエアオフや、角を少し丸めるラウンドが、割れにくくおすすめです。
爪がもろくなっている時は、入浴後など爪が柔らかくなっている時に整えると、割れにくくなります。
甘皮の扱い方
甘皮(キューティクル)は、爪の根元を覆う薄い皮膚で、爪を作る爪母を細菌や外部刺激から守る役割があります。
治療中は、甘皮を無理に切ったり押し上げたりするのは避けましょう。甘皮を傷つけると、そこから細菌が侵入し、爪囲炎の原因になることがあります。
甘皮が硬くなってささくれのようになっている場合は、無理に引っ張らず、保湿を徹底します。どうしても気になる場合は、入浴後に柔らかくなったところを、清潔なガーゼで優しく拭き取る程度にとどめます。
マニキュア・ジェルネイルについて
治療中のマニキュアやジェルネイルの使用については、慎重な判断が必要です。
基本的には、爪がもろくなっている時期は使用を控えるのが賢明です。マニキュアやジェルネイルそのものよりも、除光液に含まれるアセトンや、ジェルネイルを除去する際の削る作業が、爪にダメージを与えます。
どうしても使いたい場合は、以下の点に注意します。
低刺激性のマニキュアを選びます。トルエン、ホルムアルデヒド、DBP(フタル酸ジブチル)などの化学物質が含まれていない「5-free」「7-free」といった表示のある製品を探します。
除光液は、アセトンフリーのものを使用します。アセトンは爪を乾燥させ、もろくする作用があります。
使用頻度は最小限にし、爪を休ませる期間を設けます。週に1-2日は何も塗らない日を作りましょう。
爪の変色を隠すためにマニキュアを使いたい場合は、ベージュや淡いピンクなど、自然な色合いのものを選びます。ベースコートを塗ってから色を重ねると、爪への負担が軽減されます。
ジェルネイルは、通常のマニキュアよりも爪への負担が大きいため、治療中は避けることを強くおすすめします。
爪の観察を習慣に
毎日、爪の状態をチェックする習慣をつけましょう。変色、割れ、浮き、赤み、腫れ、痛み、膿といった症状がないか確認します。
症状が現れたら、日付と状態をメモしておくと、医療者に相談する際に役立ちます。写真を撮っておくのも良い方法です。
日常生活での爪の保護対策
ネイルケアと並んで重要なのが、日常生活の中で爪を物理的な刺激から守ることです。
手作業での保護
水仕事や家事を行う際は、必ず手袋を着用します。
食器洗い、洗濯、掃除などで水や洗剤を使う時は、ゴム手袋やビニール手袋を使用します。長時間作業する場合は、手袋の中に綿の手袋をはめると、蒸れを防ぎ、肌への刺激も軽減されます。
ガーデニングや土いじり、日曜大工など、手に負担がかかる作業では、厚手の作業用手袋を着用します。軍手は爪が引っかかることがあるため、指先が保護された作業用手袋が適しています。
重い物を持つ時、段ボールを扱う時なども、手袋を使うか、指の腹を使うように意識します。
冬場や乾燥する季節には、外出時にも手袋をはめて、冷気や乾燥から手を守ります。
指先への衝撃を避ける工夫
日常の何気ない動作でも、指先や爪には意外と負担がかかっています。
| 動作 | 注意点 | 工夫の例 |
|---|---|---|
| ドアノブを回す | 指先に力が集中 | 手のひら全体で回す、レバーハンドルに変更 |
| 缶のプルタブを開ける | 爪に負担 | スプーンなどの道具を使う |
| キーボード操作 | 爪への反復的な衝撃 | 指の腹で打つ、タイピングの強さを弱める |
| ボタンをかける | 爪が引っかかる | ボタンエイドを使う、マジックテープの服を選ぶ |
| 小銭を扱う | 爪が割れやすい | コインケースを使う、電子マネーを活用 |
スマートフォンやタブレットの操作も、爪でタップするのではなく、指の腹を使うようにします。タッチペンを使うのも良い方法です。
足の爪の保護
足の爪のトラブルは、歩行や立ち仕事に直接影響します。
靴選びは非常に重要です。つま先にゆとりがあり、爪を圧迫しない靴を選びます。足の形に合った、締め付け感のない靴が理想的です。ヒールは低めで、クッション性のあるウォーキングシューズやスニーカーがおすすめです。
新しい靴を履く前に、家の中で試し履きをして、爪に当たる部分がないか確認します。長時間歩く予定がある時は、いつも履き慣れた靴を選びます。
靴下は、締め付け感がなく、吸湿性の良い綿やシルク素材のものを選びます。つま先の縫い目が当たって痛い場合は、縫い目のない靴下や、裏返して履くなどの工夫をします。
足の爪が浮いている時や痛みがある時は、つま先にガーゼやコットンを詰めて、爪が靴に直接当たらないようにすることもできます。ただし、あまり詰めすぎると逆に圧迫するので注意が必要です。
歩行時には、できるだけ足の爪に衝撃がかからないよう、ゆっくりと歩くことを心がけます。急いで歩いたり走ったりするのは避けましょう。
睡眠時の保護
就寝中に無意識に爪を引っかいたり、布団で爪を傷つけたりすることがあります。
就寝前にたっぷりと保湿剤を塗り、綿の手袋や靴下をはめて寝ると、保湿効果が高まるとともに、爪を保護できます。
シーツや布団カバーは、爪が引っかかりにくい滑らかな素材を選びます。
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栄養と生活習慣で爪を内側から支える
爪の健康は、外側からのケアだけでなく、身体の内側からのサポートも大切です。
爪に必要な栄養素
爪はケラチンというタンパク質でできています。良質なタンパク質を十分に摂取することが、爪の健康維持の基本です。
| 栄養素 | 爪への働き | 主な食品 |
|---|---|---|
| タンパク質 | 爪の主成分、強度を保つ | 肉、魚、卵、大豆製品、乳製品 |
| ビオチン(ビタミンB7) | 爪の成長促進、強度向上 | レバー、卵黄、ナッツ類、きのこ類 |
| 亜鉛 | 細胞分裂促進、爪の成長 | 牡蠣、赤身肉、ナッツ類、種実類 |
| 鉄 | 酸素運搬、爪の健康維持 | レバー、赤身肉、ほうれん草、ひじき |
| ビタミンA | 細胞の成長と修復 | レバー、緑黄色野菜、卵 |
| ビタミンC | コラーゲン生成、抗酸化 | 柑橘類、いちご、ブロッコリー、ピーマン |
| オメガ3脂肪酸 | 炎症を抑える、保湿 | 青魚、くるみ、亜麻仁油 |
治療中は食欲が低下することもありますが、少量でも栄養価の高い食品を選び、バランス良く摂取することを心がけます。食事で十分に摂れない場合は、医師や栄養士に相談し、サプリメントの使用を検討することもできます。
水分補給も重要です。体内の水分が不足すると、爪も乾燥しやすくなります。1日1.5-2リットルを目安に、こまめに水分を摂りましょう。
その他の生活習慣
喫煙は血行を悪化させ、爪への栄養や酸素の供給を妨げます。できれば禁煙、少なくとも本数を減らすことが望ましいです。
過度の飲酒も、栄養の吸収を妨げたり、肝機能に影響したりするため、控えめにしましょう。
ストレスは、自律神経のバランスを崩し、血行不良や免疫力低下につながります。リラックスする時間を作り、趣味や軽い運動、音楽を聴くなど、自分なりのストレス解消法を見つけましょう。
十分な睡眠も、身体の回復と爪の成長に必要です。質の良い睡眠を心がけます。
医療者への相談とタイミング
爪のトラブルは、我慢せずに早めに医療者に相談することが重要です。適切な対処で、症状の悪化を防ぐことができます。
相談すべき症状
以下のような症状が現れた場合は、速やかに担当医、看護師、薬剤師に相談してください。
- 爪やその周囲に強い痛みがある
- 爪の周りが赤く腫れている
- 膿が出ている
- 爪が大きく浮き上がっている、または剥がれそうになっている
- 爪の下に血が溜まっている
- 爪の変色が急速に進行している
- 発熱がある(感染の可能性)
- 日常生活に支障が出ている(歩けない、物が持てないなど)
相談時に伝えるべき情報
医療者に相談する際は、以下の情報を具体的に伝えると、適切な対処につながります。
- いつから症状が出ているか
- どの指(足)の爪に症状があるか
- 症状の程度(痛みのレベル、変色の範囲など)
- これまでに行ったケアや使用した薬剤
- 日常生活への影響
- 症状の変化(良くなっているか、悪化しているか)
写真を撮って見せると、より正確に状況を伝えられます。
医療機関での治療
症状の程度に応じて、以下のような治療が行われることがあります。
軽度の炎症には、抗炎症作用のあるステロイド軟膏が処方されます。感染の兆候がある場合は、抗生物質の軟膏や内服薬が使われます。
真菌(カビ)感染が疑われる場合は、抗真菌薬が処方されます。真菌感染かどうかは、爪の一部を採取して検査することで確認できます。
爪がひどく浮いたり剥がれそうになったりしている場合、皮膚科医による専門的な処置が必要になることがあります。浮いた爪の下を清潔に保ち、テーピングや特殊な保護材で固定することがあります。
痛みが強い場合は、鎮痛剤が処方されることもあります。
抗がん剤の投与量の調整や、一時的な休薬が検討されることもあります。爪のトラブルが日常生活に大きな支障をきたしている場合は、治療計画の見直しについて主治医と相談しましょう。
皮膚科医への紹介
がんの主治医だけでなく、皮膚科医の診察を受けることも有効です。がん患者さんの皮膚トラブルに詳しい皮膚科医がいる医療機関もあります。
皮膚科では、爪の状態を専門的に評価し、より詳しいケアのアドバイスや治療を受けることができます。
治療後の爪の回復
がん治療が終了すると、爪のトラブルは徐々に改善していきます。ただし、完全に回復するまでには時間がかかります。
爪の成長速度は、手の爪で1ヶ月に約3mm、足の爪で1ヶ月に約1mmです。爪全体が新しく生え変わるには、手の爪で4-6ヶ月、足の爪で12-18ヶ月かかります。
治療終了後も、しばらくは爪のケアと保護を続けることが大切です。新しく生えてくる爪が健康に育つよう、保湿と栄養摂取を心がけましょう。
変色した爪や変形した爪は、新しい爪に生え変わることで、徐々に正常な状態に戻っていきます。焦らず、根気よくケアを続けることが重要です。
参考文献・出典情報
- 国立がん研究センター がん情報サービス「皮膚の症状」https://ganjoho.jp/public/support/condition/skin.html
- 日本がんサポーティブケア学会「がん薬物療法に伴う皮膚障害への管理」https://jascc.jp/
- 日本皮膚科学会「抗がん剤と皮膚障害」https://www.dermatol.or.jp/
- 日本臨床腫瘍学会「がん薬物療法の副作用対策」https://www.jsmo.or.jp/
- Cancer.Net「Nail Changes During Cancer Treatment」https://www.cancer.net/
- American Cancer Society「Skin and Nail Changes」https://www.cancer.org/
- National Cancer Institute「Skin and Nail Changes」https://www.cancer.gov/
- 日本医療美容協会「がん治療に伴うアピアランスケア」https://www.jaam.or.jp/
- 厚生労働省「がん対策情報」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/gan/index.html
- 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「抗がん剤の副作用情報」https://www.pmda.go.jp/

