はじめに:「何をしてあげればいいのか」と悩むあなたへ
がんと向き合う家族や友人を支える中で、
「自分にできることは何だろう」
「どうすればあの人のためになるだろう」
と悩むことはありませんか?
特別な知識やスキルがなくても、私たちにできることはあります。
それは、「今、ここにある時間」を大切にすること。
この記事では、がん患者とともに過ごす時間をかけがえのないものにするヒントをお伝えします。
1. 「特別なこと」よりも「いつも通り」を
闘病中は、どうしても日常が非日常になります。
そんな中で、患者さんが安心できるのは“変わらない時間”だったりします。
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一緒にごはんを食べる
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昔話をする
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静かにテレビを見る
「何かしてあげなきゃ」と頑張らなくてもいいのです。
“いつも通りのあなた”でいることが、一番の支えになることがあります。
2. 小さな“共有体験”が思い出になる
「今を一緒に生きている」と感じられる体験は、
あとから思い出す宝物のような記憶になります。
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季節を感じる散歩
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好きな音楽を一緒に聴く
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簡単なお菓子作り
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写真を撮る、小さな日記を書く
何気ない出来事でも、共に感じた時間が、心に残ります。
3. 無言の時間にも“意味”がある
言葉を交わさない時間にも、ちゃんと意味があります。
そっと隣に座っているだけ、手を握っているだけでも、深い安心感が生まれます。
ときには、沈黙こそが一番の対話になることも。
「何かを話さなきゃ」と焦らず、
空気や気配を共有することを大切にしてください。
4. 記録を残すという選択肢
がん患者の方との時間は、いつもより“かけがえのなさ”を意識させられる時間でもあります。
その時間を形に残すことで、あとから思い出を振り返る助けになります。
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写真や動画を撮る(許可を得て)
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一緒にメッセージを書き合う
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手紙を書く(受け取る側だけでなく、渡す側としても)
かたち”が残ると、言葉では伝えきれなかった思いが、後から届くこともあるのです。
5. 自分の心も、忘れずに守る
誰かのために一生懸命になっていると、つい自分の感情や疲れを後回しにしがちです。
でも、あなたが笑えること、心に余裕があることも、
患者さんにとっては大きな安心材料になります。
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ほんの少しだけ自分の趣味の時間をつくる
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誰かに話を聴いてもらう
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感じたことをメモに書き出す
自分を満たしてこそ、相手を支えることができるということを、どうか忘れないでください。
おわりに:今日のこの瞬間も、大切な“かけがえ”の一部
がん患者さんと過ごす日々には、喜びも、不安も、涙も、たくさんの感情が混ざり合っています。
それでも、「一緒にいられる時間」は、いつか必ず心の支えになります。
「何をしたか」よりも、「どう一緒にいたか」。
あなたの思いが患者さんにとって大きな力になるのです。
▼このシリーズについて
このブログでは、がん患者とそのご家族を支えるための言葉や接し方について、シリーズでお届けしています。